大図書館にて②
花「アデーラ.......」
アデーラと名乗る女の人は、私のデザイン案をジッと見つめた後..........こう言った。
アデーラ「まさかとは思うけど..........あなた、コルセットを使わないつもりなの?」
花「はい。一応、使わない方向でやろうと思ったまして........」
私がそう言うと、アデーラさんは
アデーラ「..........馬鹿なの?」
と言った。
花「..........え?」
アデーラ「コルセットは、女の魅力を引き立たせる道具の一つ...........それを使わないということは、あなたの負けは既に確定しているわ」
はぁぁぁぁぁ!?
花「あ、あの.....別に、勝ち負けとかは無いと思いますけど..........」
アデーラ「何を言っているの?今回のメイド服の案件は、私を含めた、全ての裁縫師の憧れである、【宮廷裁縫師】になれる名誉が与えられるのよ!!」
自信たっぷりに、そう言うアデーラさん。
花「もしかして..........アデーラさんは、【宮廷裁縫師】を目指しているんですか?」
アデーラ「もちろん、そのつもりよ。だって...........私の家は、代々【宮廷裁縫師】なのだから」
なるほど。
つまり...........アデーラさんは、【宮廷裁縫師】の家の人間として、メイド服のデザインを考えていたってことなのかな?
アデーラ「だからこそ.......私は、あなたに負けるわけにはいかないのよ」
そう言うと、私に向けて、鋭い眼光を見せるアデーラさん。
oh..........これぞまさしく、ライバル心剥き出しってやつだね。
アデーラ「ところで..........あなたは何のために、アレに応募したの?」
花「何でって.......力試し?ですかね?」
アデーラ「...........馬鹿じゃないの?」
花「ゔっ.......」
ぐ、ぐうの音も出ない!!
花「でも!!チャレンジしないで後悔するよりかは、マシだと思います!!」
アデーラ「...........そう」
アデーラさんはそう呟いた後、席を立ち、どこかへ行ってしまった。
花「..........何だったんだろう?」
.......もしかして、宣戦布告なのかな?
そう思いながら、テーブルの方へ視線を移すと............そこには、アデーラさんが没にしたデザイン案があった。
花「アデーラさん..........」
あなたの負けは既に確定している。
この言葉には、かなりイラっとしたけど...........多分、アデーラさんが実力者だからこそ、言えることなんだろうな。
だけど......
花「そこまで、ストイックにならなくともいいんじゃないかな..........?」
あの様子だと...........アデーレさんは、今回のメイド服のコンペに、命をかけているのかもしれない。
だったら!!
花「私も頑張らなきゃ!!」
そう呟いた後、しばらく調べ物を続ける私なのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます