第70話 変わってしまった世界

 池袋の惨劇から2週間


 1月15日 AM10時 那覇ホテル


 全国各地から集まったボランティア団体、救急隊員が未だ行方が不明である東京都民を毎日捜索していた


 世界は変わってしまった


 米軍基地、池袋、沖縄


 これらの事件で未知の軍勢の存在、異世界の存在が明るみになった


 イギリスのニュースキャスター「では、次のニュースです。一瞬でアメリカ全土、東京を崩壊させたあの暴挙、いま世界中の研究者が研究を続けています」


 コメンテーター「いやぁ、まさかほんとにあるとは...並行世界」

 コメンテーター「その異世界に住む者たちは、魔法と呼ばれる未知の兵器を多用して私たちを攻めてくるでしょうね、奴らは昔から人間を攫う日本で多発している行方不明事件の真犯人、悪魔ですから」


 ニュースキャスター「一体世界はどうなってしまうのでしょうか、続報をお待ちください」


 俺たちが救出した被害者たちは無事家族の元へ送り届けられた

 だが、東京は壊滅、東京に住んでいた被害者の家族はサダベルによって焼かれてしまった。


 日本警察はこのの機をきっかけに俺の世界を繋げる能力で異世界に繋げて、異世界各地に囚われている被害者の救出へと踏み出した。


 ティードとヴェンデッタ、海賊団の残党、所長の行方は未だ不明である


 沖縄 那覇ホテル

 ピピピピ!と目覚まし時計がホテルの部屋に鳴り響く


 悠「んー...」


 雪「ほら、起きて!寝ぼすけ!」


 悠「わかってる...あと五分だけ...」

 悠「そうか...もう帰ってきたんだな...」

 俺は目をハッと開いた


 そうだ、雪はもう大丈夫なんだ


 雪「どした?怖い夢でも見た?」


 悠「いや、何でもないよ」


 二度と失わないように、守らなきゃ


 俺は強く念じた


 グリス「久しぶりだな、探偵」

 悠「は?」

 透過魔法で姿を消していた男が立っていた


 悠「あ、あんたは...」


 あの時、重要参考人として捕らわれていた、海賊団のグリス


 悠「なんで生きてる...石になったはずじゃ...」


 グリス「忘れたのか?俺は石化を逃れて、警察たちの記憶を改ざんし、逃げ延びたと」


 そうだった、あの後何事もなかったかのようにみんな過ごしていたな...


 悠「魔法って便利なんだな、でも人の部屋に透明で居座るなんて悪趣味でしかないぞ」


 グリス「話が終われば出ていく」


 雪「悠...」

 雪はぎゅっと俺の袖を掴み、震えていた


 悠「大丈夫だよ、少し外してくれ、すぐ終わる」

 雪「うん、わかった...」

 そういうと雪は部屋を出た


 グリス「お前が助けたケッカイ島の人間たちはまだ出荷されていない人間だ」

 グリス「おそらく、まだティードは死んでいない、復帰したら真っ先に日本に攻め込んでくるぞ、それに、今テレビをつけてみろ」


 悠「テレビ?」


 グリス「いいから」


 俺はリモコンでテレビをつけた


 悠「なんだよ...これ...」


 映ったのはニュース番組だった、そこには


 狼野悠、エルフの手先として全国指名手配


 俺が、指名手配?


 グリス「どういう訳かお前はサダベルの仲間として追われている、おそらく世界を繋げる能力を目の当たりにして、サダベルやティードを送り込んだ張本人として追われているらしいな」



 唖然としている俺を尻目に

 グリス「せいぜい生き延びろよ、探偵」

 姿を消してしまった


 雪「悠?どうしたの...?」

 待ちくたびれた雪が部屋に入ってきた


 どうする...?とにかく、今すぐ逃げないと


 悠「雪!!逃げ!」

 ピンポーン!


 部屋のインターンホンが鳴り響いた


 悠「雪、部屋の奥で待ってろ」


 恐る恐る覗き穴を見ると、そこには誰もいない


 雪「きゃあああ!」

 部屋の奥にいる雪の悲鳴が聞こえ、俺はすぐに駆け付けた


 雪を拘束していたのは、パーカーを着たフードを被った数人の男たち


 悠「てめぇら動くなぁ!」


 俺は銃を構えた


 ???「お前がな」

 ドン!と後頭部を銃で殴られ、俺は倒れ込んでしまった


 目を開けると、そこは事務所のような場所で10人ほどの強面の男たちが立っていた

 手足を縛られ、身動きが取れない

 悠「クソ...ここは...」


 中央の椅子に腰かけたサングラスの男が口を開いた

「起きたか、探偵さん」


 悠「なにもんだよ...あんたら」


 ザック「俺たちはロシアンマフィア スカー、俺はそのボス、ザックだ」


 ロシアンマフィア?どういうことだ、まさか...ここは


 悠「ここは...どこなんだ...」


 ザック「言いそびれていたな、ここはロシアの孤島、カリ島だ」

 ザック「安心しろ、お前さんの彼女には一切乱暴してない、ただ彼女を返してほしけりゃ俺たちに協力してもらう」


 悠「何が目的だ...?」


 ザック「異世界に攫われた俺の娘を取り返す」


 ザック「おらぁ、戦争したいんだよ、エルフたちを皆殺しにしてやるんだ」


 フフっと鼻で笑い、そう言った


 ザック「銃と魔法ってさ、どっちが強いと思うか?」

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