第6話 港町ダイアリー

 翌日、猛吹雪だった天候は快晴な天気へと変わっていた。俺はコロウと共に小屋を出て、雪山を下りに歩いた。


 この異世界に雪や子供たちが連れ去られているのにたとえ帰る手段が見つかってもこのまま帰るわけにはいかない。


 コロウはでかい背中に猟銃を背負って棚からポケットに金貨を数枚しまった。


 悠「オイじいさん、いつまで歩くんだよ。」

 コロウ「もう少しだ、もう少しで見えてくるはずだ。」


 悠「雪山の下にこんな海が...」

 見えてきたのは、さっきまでの猛吹雪の雪山とは思えないほど、綺麗で鮮やかな海だった。


 コロウ「着いたぞ、港町ダイアリーだ」

 街に入るとガヤガヤとした街の住民たちの会話や出店の声で埋め尽くされていた


 悠「なんであいつら耳が尖ってるんだ?」

 街を歩く住民たちは皆耳が三角形に尖っていた。

 コロウ「いいか、この世界の住民はみなエルフという異種族だ。」

 悠「エルフ?なんだそれ」

 コロウ「まぁはっきり言って、耳以外人間と変わらん」

 コロウ「だが、一つだけ人間とは違うところがある。それは...」


 キャー!!!


 ガヤガヤとした街は一瞬で静まり、八百屋へ注目した

 街角の八百屋からバタバタと騒音を鳴らして走り去る男の姿があった。


 コロウ「ただの泥棒か」


 悠「コソ泥が...即刻逮捕だろうが」

 俺はネクタイを外して、第一ボタンを開けて、にやりと笑った


 コロウ「行く気か?」

 悠「勿論だ」

 颯爽と走り出し、拳銃を構えて


 バァン!!


 逃げ出す泥棒の腹部に発砲した

 泥棒「ぎゃあぁぁ!!」

 悠「ははは!何してんだよぉ!てめぇええ!!」

 膝から倒れ込む泥棒にまたがり、顔を殴る


 一発、二発、三発

 男を殴り終えたあと、無線機を取り出し、


 悠「飛鳥探偵事務所より各署へ、八百屋から逃げた男を現行犯で確保。いつになるかわからんが必ず連行する」


「あ、あの、ありがとうございます...お怪我はありませんか...?」

 八百屋から女の子が駆け寄ってきた

 悠「あぁ、ありがとう。金は無事、回収できた。あんたに返すよ」

 アリス「私、アリスっていって、家の八百屋の手伝いしながら王都の大魔術学校に通ってるの、よかったら御礼をさせて!」

 悠「いや、金を取り返しただけだって」

 アリス「いいからいいから!パパとママに伝えてくるね!」

 アリスは八百屋に走り去っていった



 コロウ「済んだか?」

 悠「あぁ、終わったよ」

 コロウはおもむろにポケットから金貨を取り出した。

 コロウ「お前に100ポカやる、どの店でもいいからなんか買ってみろ」

 悠「あ?なめんなよ、おつかいぐらいできるわ」


 コロウ「お主はこの世界の常識を知らん、よそ者じゃ。わしはそんなお前さんをかくまっとる」

 悠「何がいいてぇんだよ」

 コロウ「いいか、この世界のエルフを信用するな」

 コロウ「その理由はあの会場で見ただろ」

 コロウ「この世界のエルフは人間を食う」


 俺は驚いたが、にやりと微笑みこう言った。

 悠「安心しろよ、食われる前に、俺が全員殺してやる」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る