第4話 遭難

 目が覚めると、古びた小屋の中の暖炉の前にいた。


「どうなってんだ...」ポケットにしまっていたはずの拳銃がない。雪山に放り出されたときに落としたのか。

 小屋の中を見渡すと、机の上に拳銃が置いてあった。俺はすかさず拳銃を回収した。すると、


 ガチャリ。小屋の扉が開き、猟銃を背負った男が入ってくる。

「動くなや!」男に拳銃を構えた


「おぉ、起きたか。早速物騒なものを持っておるようだが、ちゃんと残弾は確認したのか?」

「あ?」俺は拳銃の残弾を確認した。弾が抜き取られているのだ。


「諦めろ小僧、わしには勝てぬ。安心しろ敵意はない」

 俺は睨みつけて手に持った拳銃をポケットにしまった。


「さて、わしの名はコロウだ。このスモーク山で猟師をしている。お主の名は?」


「浪田悠だ。」


 コロウは猟銃を壁に立てかけ、やかんに水を入れ始めた。

 コロウ「紅茶は飲めるか?」

 水の入ったやかんを火にかけ、棚から二つのマグカップを取り出す。

 見たことのない紅茶パックをマグカップに入れ、沸騰した熱湯を注いだ。


 コロウ「お主、その恰好を見るに、この地の者ではないな?一体どこから来た?なぜスモーク山道にいた。」

 悠「わからない、パーティー会場で誘拐された子供を見つけたけど...あれ、どうなったんだっけ」


 コロウは紅茶を差し出し、椅子に腰かけた。

 コロウ「何やら、訳ありのようだな」

 コロウ「まさか...な」

 悠「なんだよ」


 コロウ「誘拐された子供といったな。その子供は海賊がさらったものではないか?」

 その時、あのどくろマークが頭によぎった。

 悠「まさか、海賊とかいう連中が犯人なのか?」

 コロウ「もしそうなら、海賊共に心当たりがある。」


 悠「是非教えてくれ!俺は一刻も早く恋人を取り返さなきゃならねんだ!」

 コロウ「やめておけ、お前が太刀打ちできる相手じゃない。奴らはティード海賊団という人身売買で世界的に有名で極めて危険な海賊団だ」


 コロウ「なんといっても奴らは並行世界を自在に移動でき、いつでも逃げ隠れ出来て、王国からの目から上手く逃れておる」

 悠「そんな海賊がこの世にいたのか...!」

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