第4話 3歳

——クイン・ステッレの古城——


母上の城に身を置いてから早2年 ——母上というのはクイン・ステッレもとい陛下もとい最強の吸血鬼『久遠の純血エターナル・ロード』の事である!!—— が経過した。


『お、起きた。おっぱい飲む? …あんま飲み過ぎちゃダメよ』

『のー! (ふっ…このシュヴァルツ・フェイトグランデは僕を蔑ろにしたりなどしない、任せろ)』

『…アンタに吸われると、何か魔力が異様にへるのよね〜』


—朝はリリィから魔力を供給し(断じて授乳などではない!!! そんな風に感じたのであれば闇の炎に抱かれて消えろ!!!)…


『これが「影文字」…古の頃はルーンなどとも呼ばれておったの』

『いん…でぃあ!!(†蒼影の刻む紋章インビジブル・タトゥー†…ふっ、まさかこれ程の古代遺物を学ぶ事になろうとはな)』

『いや、影文字じゃ…ヴァルの想像力にはついぞ驚かされるわ、全く』


—昼は母上の膝の上で学問を学び…


『アタシって魔神の魔力が半分入ってるから、多分おっぱいにも魔神の魔力が混じってるんだけど。アンタ良く灰にならずに済むわね〜』

『…っば! (このシュヴァルツ・フェイトグランデは不死身だ…魔神とやらの†悪魔の滾る黒血デモニック・ブラッド†を以てしてもな!!!)』

『アタシには何言ってるんだかサッパリ分からないんだけど、意味不明な事を考えてる事だけは分かるわ…まだ吸うの〜??? そんなに情熱的だと変な気分に…イッタァ〜〜!?』

『未就学児に発情するな!!!』

『急にメッチャ喋れるじゃん!?』


—夜はアホ淫魔にビンタをかました。



そんな俺は明日で3才…いや、世界が俺より出て千日以上も経過した記念すべき日である。このシュヴァル…ツ…おやすみ世界……。


「しかし陛下、コイツの魔力とか精力とか人間を超越しちゃってますけど。これを見越してお拾いになってきたので??」

「まさか。拾った折には間違いなく純粋なヒトであったよ…魔神の母乳を喰ろうた影響であろう。赤子に精力て」

「あ、失礼致しました! そして陛下。魔神は基本男しかおりません」

「母乳の出る男くらいいるかろう」

「…そう、ですね。重ねて非礼をお詫び致します」

「よい。して、明日でヴァルも3つを刻むの」


反消失している意識が母上の手の温もりで更に消失していく。


「…本当にやるんですか、陛下?」

「うむ、余を母上と…呼ぶからにはな。

 愚息を立派・・にしてやるのも

 母たる者の必然であろう?」

「左様ですね。にしても…」

「ん?」

「髪も白いし目も赫色だし、本当に親子みたいですよね〜」

「……」


意識が完全に†夢の泡沫ナイト=ジャーニー†に堕ちる直前、母上が大事そうに俺の手を握っているのを感じた。







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