僕の”当たり前”の日常

コッケコッコー!

ニワトリの鳴き声で起きる。うちのニワトリは毎朝決まった時間に叫んでくれるので、目覚まし時計としてとても助かっている。

僕はソル。この小さな星に住むただの凡人だ。

「今日のご飯、どうしようかな…あ、昨日畑で取れたキュウリと卵があったはず。今日は卵サンドだな」

僕の日常はいたってシンプルだ。

まず朝ごはんを作り食べる。

「いただきます。………うん、おいしい。我ながら上出来だ。」

次は川で洗濯。この川の水はものすごく透き通っているから、洗濯できて便利である。

バケツに水を入れ、じゃぷじゃぷと服を洗う。

不思議なことに、洗剤も何も使わなくても自然と汚れが落ちるのだ。

洗濯をした後は畑仕事。水やりを念入りにする。

「トマトやナスも育ってきたな。お前ら、元気に育てよ〜」

野菜たちにそう言うと、もちろんというかのように水滴で実をきらきら輝かせる。

果樹園は見回りをして、収穫できそうな果物があったら収穫する。

今日は果物じゃないかもしれないけどスイカが取れた。

後で川で冷やして食べるとしよう。

次は牧場に行き、動物達の世話をする。

4種類飼っているが、全動物放牧している。

まずはニワトリ。卵を回収し餌やりをする。

「コケェェェェ」

「よしよし。食べて大きくなれよ」

「コッコ」

「おぉチビ。相変わらずお前は人懐っこいなぁ」

この前ニワトリの子供が生まれた。まるで猫かのように僕に寄ってくる。

僕が頭を撫でると、チビは嬉しそうに体をふりふりする。

ニワトリは可愛い。

次に牛だ。

餌やりをした後に乳しぼりをする。

「モ〜」

「うん。今日も牛乳をありがとう。」

乳しぼりが終わったらフンを回収して、畑の肥料にするためにため所に持っていく。

そしたらブラッシングをする。

「ンモ〜」

気持ちよさそうに鳴いてくれた。

牛も可愛い。

次に豚だ。

まずは餌やりをする。

「ブヒィィィ」

「あーあーそんな焦らなくてもちゃんとみんなの分あるから争うなって」

どれだけ言っても伝わるわけがないので、ずっとごはん争いをしている。

次に豚の体に水をかけ綺麗にする。

「今綺麗にするからな〜」

「ブヒ」

みんな大人しくじっとしててくれるので、とても助かっている。

「ブゥブゥ」

「よしよし。」

豚も可愛い。

最後に羊。

餌をやると、羊は必ず

「ンメ〜」

と言ってくれるので、

「おいしい?よかったよかった」

と内心めちゃくちゃ嬉しくなる。まぁもちろん他の動物でも嬉しいんだけど、しっかり「おいしい」といってくれる(ように感じる)ので、もっと嬉しいのだ。

普段はこれで終わりだが、今日は羊の毛を切ろうと思う。

「よし、ちょっと失礼〜」

「メェ〜」

羊も毛を切る時にじっとしててくれるので、本当に助かってる。

「よし、さっぱりしたな」

「メ〜メ〜」

羊も可愛い。

結果みんな可愛い。

家に帰りお昼ご飯を食べた後は、お楽しみタイム。

僕はスマホを手に取る。

(スマホといってもカメラとチャットと通話しかできないけど)

通話開くと、既に2人が話をしていた。

『午前作業終わったから来た』

『ソルおつかれ〜』

彼女はベガ。別の星に住んでいる。

僕がチャットに来るといち早く反応してくれる優しい子なんだ。

『今日はいつもより遅かったな』

彼はリゲル。彼も別の星に住んでいる。時々口が悪くなるが、仲間思いでいい人なんだ。

『羊の毛切ってたから。そういえば今日はこの3人だけ?』

『他のヤツらは今日は話せないって』

『そうか…残念』

そして他愛もない話を夜までする。

『じゃあ落ちるね』

『うん、また明日ね』

『明日は遅くなるなよ』

通話を切ったら夜ご飯を作り、今日収穫したスイカも少し添えて、写真を撮ってチャットに送って食べる。

僕は料理ができる方らしく、よくベガから

『おいしそう!いつかソルの料理食べてみたい』

と言われる。

ご飯を食べた後にお風呂を沸かす。

僕のお風呂は屋根のついた露天風呂。僕1人にしては十分すぎるくらい広い。

お風呂に入り温まりながら午前作業の疲れを癒す。

遠くを見ながらぼーっとして入るお風呂は最高だ。

お風呂から上がったあとは部屋でだらだらとすごし、時間が来たら寝る。

今日も充実した1日だった。おやすみ。


僕のそんな何気ない1日。この暮らしが嫌なわけでわないし、むしろ好きだ。

しかし、そんな僕の”当たり前”の日常がある日を境にガラリと変わり、運命の選択をしなければいけないことになるとは、まだ知る由もなかった。

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