星の住人の地球捜索記
ベル
故郷を離れ、それぞれの
「──さよなら、
煙に包まれた地球を見て、僕はたくさんの感情を胸に抱いた。
今まで育った故郷を離れる悲しさと寂しさ、
あげればキリが無い。
平和だったあの頃に戻りたい。平和だったあの頃に戻りたい。
何度も何度も、そう思った。
どれだけこれが夢だと思い込んでも、迫り来るのは現実だけ。
窓に手を当て、必死に地球を眺めていた。
すると、扉が開く。
「ここにいたのか。…離れて行く地球を見るのは切ないことだろう?」
博士だった。
「…そうですね。人生で1番辛いです」
母なる星を離れることほど、辛いことなんかない。
「そうそう、君。この薬を飲んでくれ」
そう言い博士は、赤いカプセルの薬と青い粉薬を渡してきた。
「これは…?」
「赤いのが1部の記憶を消す薬。青いのが1部の身体の性能を変える薬だ。星に住むには大切な薬である。」
記憶を消す…。僕の人生が消えると同じ、ってことなのか。
「赤い方から飲んでくれたまえ」
「はい」
ゴクッ、と赤いカプセルの薬を飲む。
すると突然、莫大の睡魔が僕を襲ってきた。
「眠ってしまう前に、青い薬を!」
朦朧とする意識の中で、僕は青い粉薬を飲んだ。
目の前が真っ暗になる。その時、博士がこう言った。
「今日から君の名前は、
───ソルだ。」
僕の意識は途絶えた。
「博士、このロケットにいる生物全員に薬を飲ませました。」
「あぁ、ありがとう。」
「それにしても博士、本当に地球の記憶を完全に消さなくてもよかったんですか?いつか地球のことを思い出せば、きっと皆悲しみに暮れますよ。」
「いいんだ。人間達がもし地球を思い出したら、おそらく地球を見に行くだろう。皆に罪は無いとはいえ、人類の犯した最大の罪を、実感してくれるはずだ。」
「そうですか。…さて、もうすぐ次の星が見えてきましたよ。」
「次の星は…ソルの星だな。操縦士に着陸するよう、指示してくる。」
「行ってらっしゃいませ、博士。」
目が覚めると、草むらだった。
僕はなぜ草むらなんかで寝ていたのだろう?
そうか、お日様があまりにも気持ちよくて、昼寝していたのかもしれない。
「さて、畑仕事をしなくちゃな…」
僕は畑仕事をしに、畑に向かった。
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