第六十二話 精霊族

 獣人王国は、魔物を飼って肉として仕入れ食料としている。

 さらに、精霊族のホビットが畑を作り、エルフが山菜を取り、食事のバランスと追っている。


 ドワーフたちは、彼らが使うための道具を作り、空いた時間でそれぞれが好むお酒を作っているそうだ。


 獣人だけでなく、精霊族と共存する獣人王国は、王国とは本当に生態系が違っていた面白い。


「あっ、あの」


 私がミーニャとウルルに護衛をしてもらってあるていると、一人の美少女に話しかけられました。

 特徴して、耳が長く金色の髪をした少女は特徴的にはエルフと呼ばれる森の防人と呼ばれる精霊族だ。


 ミーニャたちが警戒して私の前に立つ。


「はい? なんでしょうか?」

「普人の男性ですよね?」

「そうですよ。あなたは?」

「わっ、私は! いえ、私のことよりもお願いがあるのです! 我たちをお救いください!」

「えっ?」

 

 幼い少女に見えたエルフ女性は、ホビット族の男性とエルフの女性との間にできたハーフなのだそうです。


 元々、ホビット族の身長は低く子供のように見えます。

 そこへエルフ族の容姿と体を得たことで、普通のホビットよりも幼さが強調されてしまった美少女が完成しました。


 どこからどう見てもとても綺麗な美少女に間違いありません。

 そのせいで男性の誰からも相手にされなくなったということです。


 人それぞれ好みはあると思えますが、未成熟な女性に手を出すのが好きな男性でもなければ確かに相手にするのを躊躇ってしまうかも知れません。


「どうか、どうか私に注愛をいただけないでしょうか?」


 私は懇願する少女に対して、なんて声を掛ければいいのかわからなかった。

 だが、私の中で決めたことが一つある。


「私は大切な者しか、抱かないと決めております」

「あっ、もっ、申し訳」

「いや、そういう意味ではない」

「えっ?」

「だから、君がもしも私の大切な人になってくれるのなら、私は君に愛を注げると思う」

「あっ」

「私は君の名前すら知らないのだ。何ができて、どんな人物なのか。教えてはくれないか?」


 手を差し出してあげると恐々とした態度で、私の手を取りました。


「よっ、よろしいのですか?」

「それはわからない。互いに気持ちが通じ合えないのであれば、それまでだ。だが、通じ合えたなら、私の方から君を求めるかも知れない」


 私の言葉を聞くと顔を真っ赤にした。


「まずは、君の名前を教えてくれるかい?」

「シールと申します。植物を使った魔法が得意です。じっ、自分ではどんな人なのかわかりません」


 どうやら私が問いかけた質問を必死に伝えようとしてくれる。


「焦らなくていい。しばらく一緒に行動しよう。ちょうど、ユーグドラを案内してくれる人がいてくれたら助かると思っていたんだ」

「あっ!」


 実際に案内人が欲しいと思っていた。

 大きなユーグドラはどこに何があるのかわからない。


「ありがとうございます! がんばります!」


 役目を与えられたことを喜んでくれたので、ここからはシールに案内をしてもらってユーグドラを散策した。


「ちなみに、シールは幾つなんだ?」

「今年二百歳になります!」


 見た目に反してかなりの年上だった。

 見た目は十歳ぐらいの少女なので、かなりギャップが凄い。


「そうか、私の方が歳下だな。色々と教えて欲しい」

「そっ、そんな! 私たちエルフは二百歳を超えて成人なんです。だから、あまり変わらないと思ってください」

「うん。わかったよ」


 わちゃわちゃと伝えてくるシールを見ていると微笑ましくて、楽しくなってしまう。


「敵襲!!!」

「敵襲!!!」


 そんなほんわかした雰囲気をぶち壊す警報が鳴り響く。


「これは?」

「魔物が暴れているんだと思います!」

「マクシム様! お部屋に!」


 ミーニャが警戒して私を部屋に戻そうする。

 ユーグドラの近くに魔物が発生すると、警報が鳴らされるシステムになっているそうだ。

 

「危ないのかな?」

「ユーグドラの中にいれば大丈夫だと思いますが」


 シールの言葉に、私は魔物がどのようにやってくるのか見たいと思った。


「見に行こう」

「いけません危険です」

「ガリアたちの邪魔にならないようにする」

「ふぅ、わかりました。ですが危険だと判断したところにはいきませんよ」

「わかっている」


 私はミーニャとウルルの指示に従うことを誓って、シールと共に四人で下の階層へと向かった。


 ユーグドラはかなりの高さがある聖なる樹ではあるが、それでも降りていくと魔物のたちの雄叫びと、振動が強くなっていく。


「これはすごいな」

「危ないです」


 二つ上の階までやってきたところで、振動が強くなり。

 このまま降りていくのはダメだとミーニャに止められる。


「私も魔物の大群を見るのは初めてですが、やはり」

「どうして魔物はここにくるんだ?」

「ユーグドラの聖気を奪いにきているのです」

「聖気?」

「はい。魔物たちは純度の高い魔力を求めているそうです。聖気は魔力の純度が高いそうです」


 国が変われば、危機的な状況や起こる問題も変わる。


 解決できる問題ではないと思っていても、考えてしまうね。


 これはどうすることもできないのかな?

 

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