第六十一話 獣人王国の問題
獣人王国はガリアやアミさんの配慮から、楽しく過ごすことができている。
獣人以外にも精霊族と呼ばれる、亜人たちがユーグドラでは共同生活をしている。ホビットのジジさんや、エルフにドワーフなど種族によって見た目に特徴があって面白い。
獣人王国では、私の希望で他の種族について教えてもらっている。
「まずは、獣人の種類から説明させていただきます」
獣人は、人以外の特徴を持つ者のことを指すそうだ。
それが尻尾や耳だけのものから、全身が毛皮に包まれる者もいる。
顔が、人以外になっている人もいるそうだ。
ただ、生殖機能は人なので獣人と言われるそうだ。
ただ、魚の特徴として卵などで子供を増やす特徴を持つ種族は獣人ではなく、魚人族と言われるそうで。ユーグドラにはいないが。
広大な海にいくと存在しているそうだ。生殖行動の仕方が違うことが生物の違いであると説明を受けた。
次に、精霊族と言われる種族。
彼らは自然の特徴を持つと言われており、エルフならば森と風に愛されるために耳が長くなり植物の精霊と会話ができるそうだ。
同じく、ドワーフは鉄と火に愛されており、ホビットは闇と光など、種族に合わせた自然に愛され、それらを司る政令と会話ができるという。
精霊族以外の種族には聖霊が見えることは稀であり、相当に精霊との親和性が高くなければ見ることができない。
魔人族。
彼らは生き物の特徴ではなく、魔物の特徴を持って生まれてくる。
そのため魔物と同じく強い力や魔力を持ち、本能的で野生的な種族である。
野蛮という言い方もできるが、弱肉強食の厳しい環境で生きていることで自然にルールが確立されていったように思えるそうだ。
竜人族
最強の種族と言われるドラゴンと共存する種族であり、獣人のように生き物の特徴の中でもドラゴンの特徴を持って生まれてくる。
ドラゴンと同じく空を飛ぶことができて、筋力や寿命もドラゴンに近い。
ドラゴンとの間に子供を作ることもできるが、人として子供を産むこともできる特殊個体として言われていた。
「世界には多くの種族がいるんですね」
「そうですね。今のは大きく分けて説明させていただきましたが、獣人の中にも特徴は様々です。それに魔人族や精霊族も種族によって、考え方や思うことは違うので礼儀作法も変わってきます」
教師をしてくているのはアミさんだ。
アミさんはミーニャの叔母に当たるそうで、若く見えるが以外に年齢は30歳を超えているそうだ。
寿命に関しては、獣人は普人と変わらない程度の年齢で。
精霊族が。100歳〜1000歳まで幅広く。
魔人族や竜人族はもっと長くなる。
「つまりは成人してからが長いということだろうか?」
「そうですね。獣人は十二歳で魔物を狩れれば一人前として認められます。精霊族は、精霊に認められれば成人。普人は十五歳でしたでしょうか?」
「ああ、女性が子供を安全に産める年齢だと言われている」
「そうですね。体が成長していない状態で出産をすることは難しく。また子供を授かることができる年齢も限られています。様々な要因が関係しているのでしょうね」
各種族のことを学べば、世界が広がると思ったが。
自分が知らないことが多いこと知っただけだ。
サラ先輩がいてくれたなら質問ができたかもしれないが、今の私には問いかける相手はアミさんということになる。
「それぞれの種族は男性が枯渇しているのですよね?」
「そうですね。各国では男性の出生率が著しく低下しております。そのためいつ男性を獲得するための戦争が起きてもおかしくないと言われていますね。私たち獣人王国も1/500と言われており、かなり厳しい状態です。そのため王国から来ていただいた方々には期待しております」
数名の獣人妻を娶ることが、一緒にやってきた男性たちに願われている。
だが、近年の男性たちは性に対する欲求が著しく低下しているとサラ先輩が教えてくれた。
そのため、ナルシス、ダビデのような女性を下に見せて乱暴な形でも子作りをさせることが王国では推奨されつつある。
だが、それをしても年々男性を産む比率は下がってしまっている。
「因みにですが、マクシム様は我が女王とすでに」
「……」
「げっ、下世話なことを申しました。不快に思ったのなら申し訳ありません」
「いえ、仲良くはできていると思っています」
「それは! ふふ、ありがとうございます。感謝いたします。最近、もっとも勇猛だった女王が女性らしい一面を見せるようになったので、惚れただけなのかどうか話題になっていたのです」
どうやら女王の恋路すらも、獣人王国では話題になってしまうようだ。
女性たちは噂が好きだと聞いたが、色々とあるのだろう。
「そっ、それでは他の女性に愛情を頂くことはできますでしょうか?」
「他の女性?」
私はこれまで大切だと思う人としかそういうことをしてこなかった。
そのため誰でもというわけではない。
「そうですね。これまで私は大切に思う人としかそういうことをしてきませんでした。誰でもしたいとは思っていないかもしれません」
「そうですか」
耳が垂れて残念そうな顔をするアミさん。
申し訳なく思うが、こればかりはかつての嫌な思いがあるからだ。
それに、ダビデに行ったように女性に媚びて、好き勝手にされたくはない。
フロスティーは私の成長とともに、同じように成長を遂げてくれている。
最近は、芋虫から蛹へと進化を遂げた。
獣人王国に来たことが私の成長につながったようだ。
今後の成長のためにも自分の信念は曲げたくないのだ。
「それでは多くの出会いをしていただきたいと思います」
「多くの出会い?」
「はい。そうすれば、大切に思える方とも出会えるかもしれませんので」
「それはそうですね。わかりました。ありがとうございます」
アミさんの講義が終わったので、私は獣人の国を散策するために部屋を出た。
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