学園入学編

side ー 闇の組織 2

《side闇の組織》


 第二回マクシム選女会。

 これは、マクシム・ブラックウッドの家族による、妻や妻候補の雑談会である。


 マザー:ふふ、こうして夜会が開けたこと嬉しく思います。


 シスター:兄様にやっと会えたのです! もう抱きしめて匂いを嗅いで、ずっと一緒に寝てもらったのです!


 ビッグマム:くくく、本当に私の孫は最高だね。男なのに領地改革をやり遂げちまった。あんたたちにも見せたかったね。私の進んだ道を見てください。あんなかっこいい男を見るのは初めてだよ


 メイド:マクシム様は、知力、魔力、武力、全てにおいて成長をなされ、カリスマ性にも磨きをかけられました。すでに完璧な存在でありながら、さらに上を目指す。最高のお方です。


 隊長:あれは怪物だね。知力とか言っていられないほど、凄いことを成したよ。たった一年でブラックウッドは見違えるほどの成長を遂げたんだ。


 魔女っ子:出番ない。助けに行きたかった。


 シスター:そうだよ! 私も魔女っ子も連れていってくれたらよかったのに。マザーだけズルい!


 マザー:ふふふ、ダメよ。あなたたちはまだ正式な騎士ではないのだから、それに相手は貴族で下手に手を出すと問題があるでしょ


 ビックマム:そうだね。マクシムが機転を効かせて、マザーを呼び寄せていたからよかったけど。


 猫娘:頑張って走りましたにゃ!


 ビッグマム:よくやったね。あんたらの成長もお披露目は近いよ。


 犬娘:楽しみだぞ! いっぱいペロペロさせてもらえるかな?


 兎娘:バカね。マクシム様は尊い存在なの、軽々しくペロペロなんてできるはずないじゃない。なでなではしてほしいわね。


 マザー:そうね。だけど、メイドが正式にマクシムに抱かれたそうよ。


《一同》「なっ!」


 商人妻:私は妾ですが、妻なのに。


 メイド:マザー!!! 言わないって言ったじゃないですか?!


 マザー:ごめんなさいね。だけど、ここに集まっているのは同志たちなのよ。マクシムが誰を選んだ女性なのか、気になっているの。メイドと商人妻は確定しているから、いいじゃない。あなたたちは私の娘よ。


 商人妻:わっ、私も確定!!! ヤバー!!! 幸せすぎ!!!


 メイド:まっまぁ、私はマクシム様に幼い頃からずっと仕えてきましたから、マクシム様から求められればいつでも。


 シスター:ズルい! ズルい! ズルい!! 私も兄様に抱かれたい!


 魔女っ子:私も、大好きって言ってもらえた。


 隊長:マクシム様はモテるねぇ〜私も一度は、だめかね?


 猫娘:私も抱かれたいにゃ。

 犬娘:抱かれたいわ!

 兎娘:抱かれたい!

 

 マザー:それも含めて皆で共有する必要があるのですよ。選ばれた女性を蹴落とすのではなく、受け入れる。互いに邪魔するのではなくマクシムを支えてください。


 ビッグマム:そうだね。いい男には女が溢れる。いい女になって選んでもらえるぐらいになりな。そうだろ? 頑固娘。


 頑固娘:わっ、私は一生マクシム様を守ると約束したのです。


 ビッグマム:ちゃっかり約束取り付けてるじゃないか……。


 マザー:それぞれの得意分野でマクシムを支えてあげて頂戴。あの子は真面目で、なんでも自分でしようとするけれど、意外に不器用で甘えることが下手なの。だから、あなたたちが導いて甘えさせて欲しいの。


《一同》「はい!!!」


 マザー:今回は相手に非があって、付け入るすきがあったわ。だけど、世の中には狡猾で、とんてもない性悪女が山ほどいるのよ。メイド、頑固女。あなたたち二人は、マクシムと共に学園へ入学してもらいます。しっかりとマクシムを支えて頂戴。


 メイド:わかっています。幼い頃から私の仕事ですから。


 頑固女:承知しました。命に変えてもお守りします。


 闇の彩られた夜会は、蝋燭の明かりを頼りに女性たちが話し合いの場を設けている。

 その目的は一つのことであり、決して本人に悟られるわけにはいかない。


 これはあくまで闇の組織であり、その存在を知られてはいけないのだ。


 マザー:そうそう。後。数日で王都へ立ちます。商人妻は、マクシムとの時間を作ってあげますから、これかも領地の経営をビッグマムと共に支えてください。報告もお願いしますね。


 商人妻:ご配慮感謝します!


 マザー:いいのよ。私も可愛い孫が早く見たいからね。孫を見てシスターの成長を見届けたら、引退して領地に戻ってもいいと思っているのよ。


 シスター:マザー早すぎだよ。まだ学園も卒業してないんだからね。もう少し待って。


 マザー:ふふ、冗談よ。流石に将軍にもなっていないシスターに譲ってあげられるほどブラックウッドの名前は安くありません。


 夜会は、本来の話題から逸れても尽きることのない雑談と、飲み物によって時間は過ぎ去っていく。


 彼女たちは再確認することだろう。


 自分たちが最愛に思う存在を支えるという自覚を。


 これもまたマザーの思惑通りに……。


 

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