side ー 闇の組織 1
《side闇の組織》
真っ黒な部屋の中は円卓のテーブルが中央に置かれ、最後の一人が席についたことで蝋燭の明かりがつけられた。
今宵は新メンバーが参加することになったため、趣向を凝らしてこのような形で集合をかけられた。
だが、集合をかけた張本人は、意外に楽しくなってきていた。
やっぱり雰囲気というのは大事なことだ。
「まずは、この会を発足するに当たり、皆に守っていただきたいことがあります」
最奥に座る張本人が声を発した。
「私のことはマザーと呼びなさい。そしてここでは自らの名を伏せて、話すことを義務付けます。それは互いの立場を知られないためにするための処置ですから。詮索も禁止とします」
「わかりました、マザー。それは私のことはシスターと呼んで欲しいのです!」
元気な声で、マザーのノリ合わせるシスターが楽しそうな声を出す。
互いに暗闇にローブを纏っているので、中央に置かれた蝋燭の灯りでは、全く顔が見えない。
「はっ、マザー様。それでは私は先駆者と呼んでいただきたいと思います」
新参者は、このノリが当たり前であると判断した様子で、すぐさまマザーとシスターに合わせて名乗りをあげた。
取り残された三人はどうしたものかと顔を見合わせる。
「それでは私は隊長。そっちが魔女っ子。最後にメイドで良いのではないか?」
この場では一番年上の当たる隊長が呆れた様子で、残された二人に名前を与えた。
「それではそれで」
「うん。いい」
二人が納得したため、改めて発足された組織にマザーが拍手をして、シスターと先駆者が拍手を返す。
「それではここからは蝋燭を消します。これは互いのプライバシーを守るための処置です。ふぅ」
マザーが蝋燭を消すと完全に暗闇が訪れる。
《マザー》「それでは第一回マクシム選女会を開催します」
《一同》パチパチパチ
《マザー》「この会の趣旨としては、マクシムが発した二つの言葉により、発足されました。まずは女性の勉強をしたいという発言。これはマクシムが思春期になり、女性に興味を持ったことを意味しています」
《一同》「ゴクリ」
唾を飲み込む一同。
この世界で、男性の思春期は特別な意味を持つ。
男性の思春期は通常、身体的な変化が起こる時期であり、この世界では、男性の力を知れる時期と言われている。
男性はか弱く、中には一生女性恐怖症として触れ合うこともできないことがある。だが、男性の中には女性を力強く愛してくれる男性も生まれてくる。
マクシムの発言には、女性に興味を示す発言もあり、期待が寄せられていた。
《マザー》「そして、この度、可憐な少女を助け、同い年ぐらいの少女に興味を示すような発言をしました。これは由々しき事態です。それは」
《一同》「それは!」
《マザー》「マクシムの好みがあり、自分が望む女性だけを手元に置きたいと考えられるということです」
《一同》「!!!」
《マザー》「そして、マクシムが渡してくれたハンカチ。マクシム自身が手編みしたということは好意を表している考えられます」
一人を除いて全員がハンカチを取り出して、自慢げな顔をする。
残された先駆者が悔しそうに、自分のハンカチを噛んだ。
《先駆者》「どっ、どうすればハンカチをいただけるのでしょうか?」
《シスター》「兄様は、シンシアちゃんに渡すと思うよ」
《先駆者》「そうですか?! 期待してもよろしいのでしょうか?」
《魔女っ子》「私は大好きだと言われた」
《メイド》「私も言われました」
二人はハンカチ以上の爆弾を落として、勝ち誇った声を出す。
《シスター》「私だって言ってもらったもん!」
《マザー》「なっ!私はまだです」
《隊長》「私もです」
言われたことがない年長者組が悔しそうな声を出す。
《先駆者》「つまりこの場でも優劣が生まれつつあるのですね。ですが、私も言われてみたい」
《マザー》「あなたは違うでしょ?」
《先駆者》「マザー、私もまだ女なのです」
六人の女性が集まれば姦しく騒ぎが起きる。
《先駆者》「私が参加させていただいたことについて一つ。今後は私はマクシム様が選んだ女性を選別して、淑女として育てるお手伝いをしたいと思っています」
《マザー》「良い心がけですね」
《シスター》「ありがとう! 私も協力します」
《先駆者》「ありがとうございます。お二人からの後押しを受けて、ますます私の覚悟も決まりました」
三人の熱量に、残された三人は呆然としていましたが、彼女たちも気持ちは同じです。
自分たちは選ばれた存在。そして、これから多くの女性が選ばれることになろうだろう。
その際に、《先駆者》のように立場をハッキリと分けておかなければ、自分たちの存在が危ぶまれる。
《メイド》「その案に賛成です。マクシム様の側にいる女性は、しっかりと躾なければいけません」
《魔女っ子》「そうですね。マクシム様に順位をつけてもらわなくては」
《隊長》「ふふ、大切にされている者として、まだまだ負けるわけにはいきませんな」
六人は暗闇の中で互いの妄想では、マクシムが一番に自分を大切にしていると告げて甘い言葉を囁いている。
次第に、六人は暗闇であることをいいことに自身の体を弄り、マクシムを想像するのであった。
暗闇で配慮したことが役に立った。
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