第42話 一人と二人

◆◆◆ 第42話 一人と二人 ◆◆◆



「それでは両者壇上へ!」


壇上へ上がると、割れんばかりの声援が復活した。


20m四方の闘技場で10m程度をあけて対峙する俺達。



デケエ



それに間違いなくこの身体の中には武器が隠されているはずだ。


使わないと思うがな。


俺は相手の身体にチェックを入れながら弱点となる場所を探した。


走している間にも時間が来てしまう。

さてと、一発ぶちかますか。


「ファイッ!」


俺が防具を持っていない女だと思ったのだろう。ホバー機能を使わずに足を一歩踏み出した時に、俺はクローラー全開でブチ当たりに行く!


会場からどよめきが上がる中、一瞬遅れてホバーで奴も当たりにきた!


待ってました!


ガキンッ!


絶対不可侵の結界に当たり軽く飛ばされるロボット!


『うそッ!』


ユニークスキルとして発現させた見えない結界は魔法発動の痕跡を残さず、そして座標固定の出来る結界は、質量、重量で圧倒的に負けている俺では無く、奴の前に固定させて展開させた為に、俺にぶつかったと思わせて実は見えない壁に奴が勝手にぶつかっただけであった。



バランスを崩してよろめくロボットに追撃を仕掛ける!


クローラーで一気に近づき0距離で鉄拳噴射装置(ロケットパンチ)をぶっ放す!


まるで発勁の様に僅かな距離で吹き飛ばされるロボット!


場外に落ちるかと思ったが、背中のバーニアが点火し、体勢を整えながら壇上へと戻ってきた!


『それは私のロケットパ……』


「やっぱり手前が制作者かよ!」


俺もクローラーを全開にして横へと飛んで逃げるロボットを追いかけた!


観客から空を飛んでるぜ

アレは反則では、などと苦情が出ているが、肝心のレフリーは、


「セーフ!武器じゃない!」


赤白の旗を水平にして左右に振っていた。

お前は剣道の主審かっ!



離れていると俺には攻撃を行う手段が一切無い。

しかも0距離か、カウンター狙いじゃないとこっちが負けるっ!


この際だからコテンパンに負かして、俺の配下にでもしてやるのに!



一気に上昇した奴は、その重量を活かして足から急降下してきた!


簡単に踏みつぶされるもんか!


結界を真上に展開し、体重の乗った奴の蹴りを腕で受け止めるように結界で止めた!



バリバリバリバリ!


その瞬間、足元から電撃が襲って来るが、俺の結界は両方止められるんだよ!



「魔法じゃねえか!」

「反則だろ!」


当然のように苦情が出る。

だが審判は、


「セーフ! 圧力で生じたプラズマだ!」


何か変な事を言いだしていた。



俺は電撃が無くなると右手のロケットパンチを握りしめたまま噴射装置を全開にして腹にロケットパンチで殴った!


『キャア!』



「腕から火が出てんぞ!」

「アレはもう武器だろう!」


だが審判は、


「セーフ! 摩擦熱で生じた炎だ!」


何でもありだな。



「変な女言葉を使うんじゃねえ! リトルグラビティ!」


重力魔法を10回重ね掛けして奴を叩き落とす!


「何でなの!」



「おい!魔法撃ったぞ!」

「必殺みたいに魔法名を言ったじゃねえか!」


「セーフ! 単なる言霊と、偶然の事故!」



「私は女よ!」


足からスラスターを噴射で体勢を整えながら俺に反論してきた!


尚もクローラーで肉薄する俺に足のサイドから弾幕が張られる!


キンキンキン!


「そんな無駄玉が俺に効くか!」



「ぜったい撃っただろ!」

「アレは何かの武器だぜ!」


「セーフ! パーツの自然落下!」



お返しとばかりに俺も極小の氷の矢をぶちまける!

空を飛ぶ奴を撃ち下ろさんばかりに、CIWSの様に連続弾が上下左右に飛ぶ奴を蛇行しながら氷の弾幕をばらまく!



「これは氷だ!」

「完全に魔法じゃねえか!」


「セーフ! 自然現象!」


奴も燃料に何があったのか、闘技場に降りて来ると、腕をクロスさせてショルダーアタック!

と見せかけて背中からミサイルを発射してきたやった!


「絶対武器!」

「あれ危ないヤツ!」


「セーフ! 勢いで背中のパーツ破損しただけ!」



視線が俺を標的に捕らえているのか、移動しても付いてくるホーミングミサイルを指先から出した熱線で破壊した!



「これ絶対死ぬヤツ!」

「魔法モロバレじゃん!」


「セーフ! 太陽の光で目がくらんだだけ!」



『ええい!塵と慣れ!』


太ももから飛び出してきた剣を握り袈裟懸けに切って来た!



「これマジで剣ね!」

「これは武器以外何物でもねえ!」


「セーフ! 足のパーツ!」



「めんどくさっ!爆導策!爆導策!」


剣を爆発の衝撃で粉々にし、ヤツも慌てて逃げ出す!


『それも私の!』



「爆弾危険!」

「今度は何て言うんだ!」


「セーフ! ………… 衝撃で見落とした!」


「「見てねえだけじゃねえか!」」



俺は爆導策で行先を封じ込め、ペストルを乱射していく!


だが、正面に当たりそうになるチャクラムを腕で弾き飛ばしてもう一度俺に向かって突っ込んできた!


冷静に結界で動きを封じ込めると、俺は奴に言った。



「俺の仲間になれ。すれば愛と快楽、全てのエロを差し出そう」


『ふぁっ!』



動きの止まった奴に、外れて飛んで行ったチャクラムが、背中のランドセルに次々に刺さって行く!


ボンッ! ボフッ! ブブブッ ブボンッ! ボカーン!


小さな爆発が、次々に起こってデカいランドセルがぅ誘爆していく!


ジェット燃料か、背中から灯油臭い匂いが充満し、煙を上げながら燃えだした!


「バカッ!離脱しろ!」


水をぶっかけながら風の刃で身体を切って出そうとするが、一切炎が消える事無く、風の刃でも傷がつかない!



「チイッ! ここまでかッ! 風遁の術、葉隠れの術!」



観客の中から声が響いた!


「ふぉお?!」


振り向くと、見るからに怪しい濃紺の忍者衣装の子がいた!


「むむむッ!何だこのデカパイは!」

「え? あ、霧さんか」


ロボット野郎も俺と同じようにガン見していた。

コイツもデカパイに反応するなぁ、やっぱり男か?


ってか霧って言ったな!?以前会った忍びか!



俺が行動をする前に、女忍者とくノ一とロボット野郎が徐々に姿が薄くなっていく!


「光学迷彩?!」


よく見ると空からキラキラした物が降ってる?

それならば!

俺はくノ一のキラキラを目で追いながら、眼前にいるはじのロボットに向けて魔法を放つ!


「リトルタイフーン!」


小さいつむじ風が幾つも出て来て、その一つ一つが周りのつむじ風と同調し、闘技場全体に竜巻を発生させる!



「完全に魔法じゃねえかよ!こんな町中でええ!」


「セ――――フぅぅぅぅ! 自然現象おおおお!」


観客が蜘蛛の子を散らすように逃げていく!

しかし、ギルド職員も頑張るなあ。

闘技場の角に掴まりながら事の行先を見守っていた。


竜巻でキラキラを飛ばしたせいで、光学迷彩から強制的に姿を現せていく!


そしてっ!


「そこおお!」


妙にキラキラしているギルドの裏壁にウォーターボールと短いアイスニードルを放つ!


高速で放たれた水球が壁全体を濡らし、その隠れていたくノ一の姿を現す!

そこへ遅れて打ち出した氷の針がくノ一の服を壁に縫い留めていた!



「うおっ! 影縫いか!」


ただの氷だバカ。


しかし、この水攻めは意外な効果を生んでいた!


水に濡れて肌に張り付いた衣装が、まん丸でメロンのようなデッケーパイオツを浮かび上がらせていたのだ!


俺は闘技場を降りて壁に磔にされていたくノ一の目の前で、動けない女のデカパイを思う存分揉みしだいた!


ばうんばうん!

ゆっさゆっさ!

ようしょ!こらしょ!

いやん!ちょっ何してんの!


和服の様に前で閉じられている服をガバッと開き、とりゃああとインナーを上に持ち上げる!

アメリカンV8エンジンのように震えるメロン玉!

そして先端は恥ずかしそうに隠れていた!


「ああん?くノ一だからってここまで隠さなくってもいいだろ」


「ちょっ!公衆の眼前でなにを!」


「お前、俺に恨みでもあるのか?無ければ俺の部下になれ!」


「え? あるじ? きゃあっ」


俺は戸惑うくノ一の胸に吸い付き、隠れているビーチクを吸いだす!


ちゅぽんッ!


「あんッ」


「ほうら見ろ、出て来たぞ~」



壁に磔にされていたくノ一の隠れていたビーチクを出してやった。


さあ、答えを聞こうかという時に、後ろで爆発が起こる!


ドガガガガガガガガーン


慌てて振り向くと、戦っていたロボットの背中のランドセルから火が出ており、頭から肩の部分が後ろに倒れ、中から人が這い出ている所だった!


しかもピタッとしたレオタードのようなハイレグスーツから洩れている超乳!

俺もままあデカいんだが、俺の倍はあろうかという顔よりもデカパイで、金髪ロン毛の耳長ベッピンエルフちゃんだった!


壊れたロボットの上で膝を付いて俺と視線を合わせる超乳エルフ!


こいつも仲間にッ!


その瞬間、壊れたロボットがシュンッと消えて超乳エルフが地面に降り立った。


「ここまで苦戦するとは……この私のハーレムにしてやる」


お前、男? それとも女?

この俺をハーレムにって、それはこっちの言葉だッ!


「潮時よ!離脱するわよ!」


別の所から声が聞こえる!


後ろを振り向くと、磔になったくノ一は既にいなかった!


「チッ!」


慌てて闘技場へ戻るが、壇上にはもやが掛かっており、視界が悪くなっていた!


「水遁の術、まぼろし


超乳エルフが幾人にも見えている。

靄に姿を転写しているんだろうが、この辺りが頃合いだと思い、あちこちに逃げていく影を見ながら、俺はお土産を入れていて良かったと思っていた。


「霧ッ!そっちじゃないこっち!」


「こっちね!」


「ばかッ!その反対!」


おぼろッ! 分かんない!どっちよ!」


すると朧と言われたくノ一が屋根の上に姿を現した。

そこに合流する霧。そして足に付けたスラスターで宙に浮かぶ超乳エルフとどこかへと逃げて行ってしまった。




「試合はハル選手の場外と、スファイヤ選手の試合放棄で無効試合となります!よって掛け金は親であるギルドの総取りです!」



最後の最後まで身近にいたリングアナウンサーのギルド職員が、無効試合を宣言した。


これが狙いだったのかと思ったが、金が欲しくて参加した訳じゃないのでどうでも良かった。

集まって来る賭けていた人らがブーイングを飛ばし始めていた。


そもそもロボットってダメなんじゃないのか?

こっちの感覚では重装甲のタンクにでも見えるのか?



まあ、お土産も渡したし、その内接触してくるだろう。

俺はギルドの壁にオシッコを掛けていたギンを連れてその場を離れた。


「動いたらお腹空いちゃった。何か食べよっ」


「ウォフッ」



俺らは再び町の中へと消えていくのであった。

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