第41話 武道会
◆◆◆ 第41話 武道会 ◆◆◆
俺は呪いの浄化に成功し、莫大な金貨を頂く事になった。
これは公爵の持っている殆どの財産だと言う事だった。
「いいのか?」
「ほっといても油田の利益が直ぐに入って来るからな、ガハハハハハハ!」
「きゃははははははは」
ん?
「では貰っておこう」
「足りなくなったら言うと言い。隠し金庫もあるからな、ガハハハハハハ!」
「きゃははははははは」
むッ
「簡単には使いきれんだろう」
「そう言えばハル殿は男だけでなく、女も好きだと聞いたが、ワシなんかはどうだ?ガハハハハハハ!」
「きゃははははははは」
おいッ
「こっちも誰でも良いという訳じゃ」
「そりゃそうだ!おーい!カトリーヌ!一本取られたぞ!ガハハハハハハハ!」
「きゃははははははは」
むむッ
「奥方はまだ寝てますが」
「では、ジュリエット!一発するか!まだ寝たきりっていうか、俺も満足に動けなかったわ!ガハハハハハハハ!」
「きゃははははははは」
ぶッ!
「まあまあ、それはその内」
「オーエン領は好景気に沸いておるからのお。町には良い物が溢れているぞ!そちの胸のように!ブッブハハハハハハハ!」
「きゃははははははは」
煩い……
「まあそれなりには」
俺は後ろであっち行ったり、こっちに行ったりしているソフィア・ローレンス、ソフィーの首根っこを握った!
「はうッ!抱っこ!」
「満足に動けない身体を付与で強化して走り回る。これはお仕置しないと駄目なようだな」
すると、ソフィーは俺の耳を近寄らせ、内緒話をするように小声で言ってきた。
「ロリコンっふふふ、ハル君ってへ・ん・た・い・ね」
「ウキ――――――!」
俺は後ろ襟を掴み、ズルズルと俺の部屋まで引っ張っていく!
「ついでに娘はヤルぞー!ソフィアも気に入っているようだから好きにしろー」
全くこの親ときたら!
俺は部屋までソフィーを引きずって行くとベッドに引き上げた。
「リトルグラビティ―!グラビティ―!グラビティ―! ふはは、重力魔法だ。これで大人しく寝てろ」
「ブーストアップ《身体強化》ブーストアップ《身体強化》ブーストアップ《身体強化》ブーストアップ《身体強化》! うふふふ、付与魔法は重ね掛け出来るのよ。ほらあっ!」
ベッドで飛び跳ねだした!
「いい加減に寝ろ!心配して言ってんだぞ!」
「じゃあおっぱい頂戴」
「んっ」
ペロンと出した俺のおっぱいに吸い付くソフィー。
幾ら吸っても出ないモノは出ない。
だが、気持ち良く目を閉じて吸っていた。
付与魔法もキャンセルし、俺に抱きかかえられて赤ちゃんに戻っている。
多分これは代償行為だ。
親からの愛情を感じられなかったエリーは、愛情を得られる俺にくっ付き、お乳を吸う事で精神の安定を図っているんだろう。
静かに背中をトントンしていると、吸っていた唇や舌が次第に止まり、スースーと寝息を立てだした。
変な気持ちやおかしな気持ちが一気に無くなり、親の目線になってしまう。
「全く……」
吸いながら掛けられた身体強化のせいで楽に持ち上げて、暫く抱っこしながらその辺を歩きまわる。
少しはご飯を食べだし、肉が付いて来たとはいえ、まだまだやせ細っている。
溢れる魔力で身体強化を使っているが、止めてしまうと反動で疲れが優ってしまい、一気に睡眠に入ってしまう。
寝て、食べて、遊ぶのは良い事だと思うが、やりすぎだ。
静かにベッドに寝かせ、乱れた髪を撫でて綺麗にしてあげる。
2・3時間もすれば起き上がって来るだろうが、それはそれでいいと思う。
ヒールやポーションはその場限りであり、力や体力を増やすモノでは無いからだ。
ゆっくりと成長して欲しい。
同じ元日本人として。
ってな事で俺はソフィーが寝ている間に町へと行く事にした。
軍資金は元々あったが、ウハウハが更にウハウハウハウハウハウハウハウハ位になった。
不労所得とは違うが、お金はあればあるほど良い物だ。
ぶはははさらばぢゃ!
俺は久しぶりのショッピングを楽しもうと宮殿を出て乗り合い馬車へと乗った。
肉の匂いを嗅ぎつけたか、デカくなったギンが馬車の横を並走して走っていた。
貴族の大きな馬車は良いが、平民の乗り合い馬車は大きく無い。依ってデカくなったギンちゃんは中に入れないのだった。
それでもデカくなったギンちゃんは、駆け足で走る馬よりも楽に早い。
ずっとハアハア言いながら俺の方を見ながら楽しそうに走っていた。
やはり犬は走ってなんぼのもんだな(狼ですけど)
宮殿も町もデカくなっただけに、遠くに行こうとすると馬車が必須になる。
もっとこじんまりした感じが好きなのだが、広いとそれだけ散策する場所が増えてワクワクする。
どっちにせよ、今はワクワクが優っていた。
取り敢えず町の中心で降り回りを見渡す。
「色々あるなぁ、ギルド関係は無視してもいいか。取り敢えず飯だよな」
ギンをみると尻尾をフリフリしている。
執事のおっちゃんに聞いていた通りに向かった。
先ずは屋台だ!
「へいおっちゃん!これ何の肉?」
「おう、綺麗な姉ちゃん、これは魔牛の肉さ。ミノタウロスよりも柔らかくて霜降りの良い感じだぞ。一本銀貨1枚はするが、此処に来たら食べなきゃ損だぞ!」
うん、これは良い物だ!
見るからに和牛っぽい串で、玉ねぎも挟んであって食べ応えがありそうだ!
「じゃあ10本頂戴!」
ブラカップバックからガマ口財布を取り出し金貨一枚を渡す。
「毎度!」
焼きたて熱々の串を貰い、後ろに座ってギンちゃんと分けた。
一応玉ねぎは食べていいか分からないので、肉のみを分けてあげるが、悲しそうな顔はしないのでOKとする。
その後もパフェやパイナポー、ケバブに点心、肉まんからアンマン、途中の〆にラーメンと餃子を食べて一息ついた。
「絶対、日本人がいるはず……どこの誰だよ」
つまようじでシーハーしながらポーションで喉を潤す。
広い町中をブラブラしていると、冒険者ギルド裏に闘技場のような一段高い場所が賑わっていた。
観客に聞いた所武道場と言う事だった。
「天〇一武道会かよっ!」
オラ、ワクワクすっぞと人込みの中へと入り覗いてい見た。
そこはNO武器、NO魔法の肉弾戦を行う鍛錬所兼ステージのような場所だった。
週一開催で、当然のようにギルドが親となり賭けが行われている。
オッズなど出る訳も無く、評判と見た目で賭けが行われ、殆どが飛び入り参加状態だ。
「さあ、期待の新人スファイヤに挑戦する奴はいるか?!本日は新人勝ち抜き戦!Dランクまでなら参加可能だぞ!」
リングアナウンサーのようにギルド職員が観客を煽っていた。
すると俺の横からギンちゃんが座った状態で手をあげた!
「うぉお…………残念、ティムした魔物では無理なんだな。魔物頂上決戦は来月予定しているから宜しく!」
ギンがへこんでいた。
「お前参加する気だったんか?」
悪戯っ子のように舌を出すギン。
あうあう言っているが、駄目なもんはダメだぞ。
え?賞金でお肉が欲しかった?
じゃあ帰りにも買い食いしながら帰るから我慢しろ。
最近、意思疎通が明確になりだしたギンちゃんとあうあう、わおわおと会話をしている内に新しい挑戦者が出てきていた。
「では自己紹介をお願いします!」
「はい!トリノ村から来ました。ニクノクズです。得意技はベアハッグ!肉の早食い!肉弾戦なら負けません!」
そいつは頭の中まで筋肉で出来ている様な見るからに脳筋の筋肉達磨だった。
まだ駆け出しなのか元から何も持っておらず、丈夫そうなズボンにはち切れそうなタンクトップを着ていた。
身長もパッと見190はありそうである。俺の腰位の太さはある腕の力こぶを見せてアピールしていた。
そして勝っているチャンピオンを見ると頭にヘルムを被っているのか、真っ黒のヘルメット……縦スリットの入った顎口のガードに目の攻撃を防ぐ一体型のアイガード、オフロードバイクのヘルメット宜しく短い目の上にツバや顎横にある後方排気口のスリット、その上にある三連NACAダクト、放電板か放熱板なのか頭の上にはカッコイイ角が三つも付いていた。
って言うか、重装甲と言うよりもロボットだろ!
鋼鉄製と思われる鎧から素肌は一切見えず、衣服の一部すら全く見えない!
フルプレートアーマー?
そんな形じゃない!
明らかにロボットをイメージした形状!
何なら肩には怪しいダクトと言うよりもミサイル発射口が何個も付いている!
足の部分はスカート状になっていて、足の裏にはどうせスラスターかホバー機能も付いているんだろ!
「両者壇上へ!」
アナウンサーが上へと呼び込むと、二人は一段高い闘技場上へと上がった。
筋肉達磨もデカいが、このロボット野郎は更にデカかった!
30cm以上も身長に差がある!
推定220~230cmはあり、しかも全身金属ロボット状態である。
周りは重装甲のゴツイ鎧だと思われている様子だが、背中の怪しいバックパックにもバーニアらしき物が見ええるし、アイガードは薄っすらと光ってる!
動力源は魔石か?それとも魔力か?
って言うか、こんな変なモノを作り出すのはビリー・ランダー侯爵の領地であるカクルス領の変態武器制作者に違いない!
いつ出て来たんだ?
「ファイッ!」
リングアナウンサーが開始の合図をした瞬間!
足元から空気が出て来てホバー移動をしながら肩からぶつかって行く!
ドガアアンン!
ショルダータックルを食らった肉達磨は一発で吹っ飛び、場外へと出てしまった!
「ヘルランダー・スファイヤ選手の勝ち~」
「やったー!」
ぴょんぴょん跳ねる姿が不気味だった。
だが、その声はボイスチェンジャーを使っていなければ確実に女性の甲高い声であり、回りにお辞儀をしている所を見ると、多分日本人なんだろうと思っていた。
俺はマジックイメージチェンジングリングで戦闘服Ver.Ⅰに変身すると挑戦者に名乗りを上げた!
「次ぎ俺!俺!相手しまーす!」
「おおっと!早くも次の挑戦者現る!今度は重装甲のスファイヤ選手と違い防具らしき物を殆ど付けていない!しかも超絶怒涛のスーパー美人だ!思わず前かがみになってしまします! では自己紹介をお願いします!」
モーゼの様に人込みが自然に割れだす。
そして俺はデカいロボット装甲野郎の前に立つと自己紹介をした。
「ハーイ!超美人のハルちゃんでーす!現在17歳のピッチピチJK!得意技は挟む事と舐める事!怪我しないように頑張りまーす!うふッ………………おッおえぇ」
自分の女言葉に気分が悪くなってしまった。
だがしかし、俺は頑張って奴にお尻を向けて突き出し、尻肉をブルブルと震わせて見せつけた。
ドエロな戦闘服に似合わない真っ白な極細清楚…………極細は清楚とは言わないか。いや、そこだけ清楚気分のギリギリGストリングスではみ出しそうな“グ”を見せつける。
一瞬会場全体がシーンと静かになり、俺のケツに視線が集まる。
隣のロボット野郎も腰を曲げてガン見していた。
お前……中身は男だろう…………
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