第27話 逃亡、そして敵襲

◆◆◆ 第27話 逃亡、そして敵襲 ◆◆◆



 後宮と言うか、お城の大奥へと下がった妊娠したカサンドラが居ない事に、俺は昼夜を問わず、エリアスに愛を込められた。


ひょっとすると国外への逃亡も可能性的にはあったので、それまで貪ろ……いや、愛を深めようという事らしい。


朝、朝、昼、夕、夕、夜、夜、夜、夜、夜、……



流石は俺のポーション!

バツグンだぜ!


回数とポーションぶっかけがオキニになったせいか、一段と身体に磨きが掛かってきた。

薄っすら浮いたあばら骨からドンッ!と出て行く脂肪の塊!横に張った腰骨から盛り上がる尻肉!

全体的に痩せているはずなのに、出る所は一段と盛り上がっている!


俺になっている時間も少なくなり、あんな事こんな事をしてゲロゲロにならないだけ良いと思っている俺であった。



 そしてそろそろ商業ギルド襲撃から1週間が経とうとしていた。



町に繰り出すと、商業船の船長であるジョニーがやってきた。



「そろそろ出航だ。まあ、何回かやったけど、またやろうな!」


「声がデケエよ!やった!やった!って言うな!」


周りに歩いている人がギョッとして見ていた。


「そう言えば、お前に貸しがあったよな」


「なんだ?知恵の輪みたいな感じでやりたいのか?」


俺は静かにペストルを出した…………



「嘘っ!ウソウソ!」


「お前、今度やったら撃つからな……まあ耳を貸せ」



俺は伯爵にやられながら考えていた事を話した。

少しビックリさせたが、今度またやらせるのと食事代金として幾らかの袖の下を握らせ、全ての貸しを使い切ってしまった…………





 そして俺はオーク肉の串を食いながら南門に来ていた。


「よお!」


「あ、ハル!」


少し疲れた表情で歩いて帰って来たレニーを捕まえた。


「どうだ?商売の方は?」


「うん、借りたマジックバックに大量のポーションと氷もあって売れ行きは良いよ」


「よし、ココでの商売は今日までだ。宿に戻って町を出る準備をしろ」


「え?町を出るの?」


「ああ、念の為だ。商業ギルドが嫌がらせをしてくる可能性が高い。一時町を離れて名前も変える。逃げる経路も確保してるからな。風呂に入れるのなら入っても良いが、食料と着替えなどの備蓄を急いで買ってこい!一ヶ月分だ!深夜にココで待ち合わせするぞ!」


「え?ハルも行くの?」


「ココで放置は出来んだろ。急げ!」


「うん!」


レニーは笑顔で走り出した!





 夜も深けた深夜


 俺はいつもの感じで南門へ前で佇んでいた。

時計は無いが、誰もが寝ている真夜中だった。


眠気覚ましにポーションを飲んでいると暗闇から一人の影が道の端を歩いてやってきた。


「ハルっ」


俺に気が付いたのか、小走りで近づいてきた。


「ごめん待った?」


「いや、さっき来た所だ。準備はいいか?」


「うん、色々買ってきたよ。食料に水に着替えにタオル。お風呂は間に合わなかったから水浴びをしてきた」


「よし、じゃあ行こうか」


レニーの言った言葉には、覚悟が感じられていたが、俺と一緒の逃亡という事もあってその顔には不安は見られない様子だった。


それから俺らは何故か開け放たれている南門の通用門を抜け、西側の港湾へと向かった。



波の音と、その波が防波堤や船に当たる音しかしない中、俺らは船に掛かっている桟橋を渡り、船の上へと乗船していく。



「黙って入ってもいいの?」


「船長に話は付けてある。黙って乗っていれば1か月後には外国さ」


「外国?国外に出るの?」


「いっそのこと国外まで逃げた方が良いだろう。名前を変えて商業ギルドに一から登録し直しだ。死んだり奴隷になるよりはいいだろ?」


「……うんっ!大丈夫だ。やれるよ。ってここを上るの?」


俺らは垂直に掛けられた梯子を上る。


上へ、上へと上って行くと遥か上空にある小さなカゴに二人ギュウギュウになりながら床に腰を下ろす。



「へへ、何かワクワクするね。一度外国まで行って見たかったんだ」


レニーは気おくれするどころか外国へと行く事に興奮を覚えていた。

農家の三男だったから家をあてにする事も出来ず、商人の家で働きながら勉強をし、資金を集めて独立したと。そして売れるポーションを買い込み、ダンジョンの近くで販売を始めていたが、俺が来るまでは割と順調で、俺と手を組む事になってからは売り上げもかなり増えていたらしい。



「マジックバックを貸せ」


俺はレニーに渡したバックを貰い、中へポーションを更に追加していく。



「大分売れたんだな、追加しとくぜ。それと剣、短剣、水が出る魔道具に魔石も入れとくぞ」


「え?そんなに」


「いいか、どこも良い人ばかりじゃないんだ。剣はいざという時に身を守れるし、程度の良い剣は何処でも売れる。それに水は何処でも貴重だ。何個か入れといたからいざとなれば売れば良い。ノルド領特有の特産品が何か分からなかったから買っていないが、この船は定期コースを回ってるからな、港々で色々買って出先で売れば良いと思うぞ。今からそのマジックバックはお前の物だ、大切に使え」


「…………うん!ありがとう。でもハルのは?」


「俺の方が良いバックを持ってるに決まってんだろ。そこまでお人よしじゃねえよ。いざとなりゃポーションは出し放題。元手も要らずに売り放題だぜ」


「そうだよね。安心したよ」



俺らはマジックバックを持っている為、大きな手荷物も無いまま柱に向い合せになったまま未来への話をし、そして朝まで眠りに付いた…………





 朝日地平線から上がり、暗かった空が白みだした。

波の音と潮風が心地よく狭い割には良く寝れた。


レニーも少し遅れて目が覚めた様子だった。

見れば男の朝の現象で、一部分が元気になっていた。


「ウリウリ」


「あ、ちょっ!」


足で電気あんまをするようにグリグリしてやった。


足の裏に感じるレニーの高ぶりを感じ、俺はマジックイメージチェンジングリングに服を仕舞って全裸になった!


「レニー、お前も脱げ。出航の日だ。景気よく一発やろうぜ!」


「やろうって…………」



昨日の元気はどこへ行ったのか、モジモジするだけでレニーは動かなかった


「何か?俺の身体はヤルに値しない身体だってのか?」


「いや、綺麗だよ。信じられないくらい……」


「じゃあ何か?外国へ行く勇気はあっても、たった一人の女とヤル勇気もないのか?そんな事言ってると、変な女に掴まるんだ!お前童貞だろ、そんなもんはサッサと捨てちまえ!弱虫!」


「俺は弱虫じゃない。違う!」


一気に服を脱ぎだすレニー。


痩せた身体だが、一人で仕事をしていたからか、意外に引き締まった身体をしていた。

そして足裏から感じていたモノは、ウインナーでは無く、新高山だったのが誤算だった!


俺はこの時初めて俺のままレニーに抱かれた。海を見ながら荒々しく、そして優雅な気持ちで、レニーの愛情を受け取り何度も何度も愛を交わした。

自分から誘ったからか、意外に悪い気分じゃなかった。コレはコレでありかと思い少し誘導しながらレニーの好きにさせていた。


だが……………



「おおっあの網目から見えるは姉さんの姿!」

「お前双眼鏡を貸せ!」

「何処だ何処だ!」

「くそお!アイツやりまくりやがって!」

「お前登るな!姉さんからブッ飛ばされるぞ!」

「俺が先だ!」

「マジか!好きだったのに」

「近くで見るだけだって!」

「俺が船長だ!双眼鏡を貸せ!」


見張り台の床に張ってある網の下では乗船してきた船員らがワラワラと集まり、見張り台の中で見守られていた。


ポーションというドーピングも無しに幾度も情熱を受け止め、登って来るやからにオシッコをぶっかけていく。


慌てて逃げる船員を見てレニーと笑っていた。




だがその時、船員の一人が海の異変を感じ取り、双眼鏡で確認をしていた。



「船長!海賊船です!!」



その声と共に一斉に大海原を見ると、湾内に入って来る髑髏に骨が重なっている黒地に白の海賊旗が大型帆船の上にはためいていた。

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