第20話 前世の穴埋め
◆◆◆ 第20話 前世の穴埋め ◆◆◆
「やあ、町には慣れたかな?」
与えられていた自分の部屋で朝食を食べ終わりに紅茶を飲んでいると、領主であるエリアス・クラウザー伯爵が部屋まで来た。
「まあまあですね。取り敢えず難民の仕事もどうにかなっているし、ポーションも売れ行きは良いですしね。徐々に町の散策はしていきますよ」
「それは良い事だ。そろそろ私との交流も深めたい所だね」
伯爵はテーブルの反対側に座り、身を乗り出して両手の人差し指で胸を交互にちゅぷちゅぷと突き刺していた。
「おおっ!これは!すごい!何と言う事だ!この反動!低反発か!押し返す弾力!マジかよ!」
一人で楽しんでいた。
「伯爵、
俺の言葉に我に返った伯爵は、指を収めた。
「ハウンゼンの忘れ形見なんだ、エリアスと呼んで欲しい」
口髭を指で押さえ整える。
若い頃のアントニオ・バンデラスのように見た目は野性味溢れるダンディーなのだが、中身はドエロの屑だ。
余計にヒゲがイヤらしく見える。
「じゃあエリアスでいいか?」
「ああ、俺と君は運命の蜘蛛の巣に捕らえられた同士だよ」
やなこったい!
「ハウンゼンの頼んでいた物に私が特別性の魔法を付与させた物だ。二人の愛の証を受け取って欲しい」
俺の手を取り、指をレロレロチャプチャプとしゃぶりだした。
俺はタンブラーに入っていた水で指を洗いナプキンで拭いた。
「何をだ?」
パチンッ!
エリアスは指を鳴らした!
ドアから入ってくるピナとアンは箱を持っていた。
「いつでも私に包まれていると思って想像してくれ」
「鳥肌が立った」
「そうか、喜んでくれるか。君の身体やおっぱい、腰、お尻、そして肝心の――」
「朝っぱらから言うな!!」
「ふふ、照れ屋さんだなぁ、君と私には壁など無いと言うのに」
「バリバリ結界を張ってもいいか?」
「私の愛は結界をも付き通すのだ。この熱い怒張でな!」
ぺしゃっ!
「うひっ!ちめたい!水掛けちゃだめっ」
股間に指を洗った水を股間に掛けてあげた。
「クリーン!」
サッと魔法で綺麗にすると俺の手を取り立ち上がらせて来た。
「新しい戦闘服だよ。君の身体を守ってくれるものだ。私が種を仕込むまで大事に――」
「簡単に仕込ませるか!」
「おっ?それは難しいが出来ない訳じゃないって事だな、ふんふん」
「言葉のスミを突くな!」
「では、中心を御希望と言う事だな」
ツンツンツンツンツンツンツンツン
また胸の中心付近を指で突き出す。
「エリアス……」
「ここか?ここか?ここがええんか?!」
「いや、奥様が」
「ッ!!」
ゆっくりと後ろを振り返るエリアス。
ドアの前では奥様のカサンドラさんが腰に手を当てて仁王立ちしていた。
「あーなーた。ちょっといらっしゃい。お話があります」
ズンズン近寄りエリアスの耳を引っ張って連れて行く。
「あ!痛い!痛いよ!ハルちゃん!プレゼント着てみてね!」
やられてもへこたれない、良い気概だ。
無事に帰ってこいよ。
ピナとアンは言いつけ通りに箱を開けだした。
中には黒っぽい爬虫類系の皮が見えていた。
マッパになって着付けを行うと、上はブラックマンパイソンと言う魔物の蛇皮で作られたボンテージ系の服で、指先から肩腕まですべての腕を隠しているが、ホルターネックから前に下がる胸当てには菱形の穴が胸骨に開いており、内胸はムギュッっと出ており、ヘソと言うかお腹も同じように穴が開いている。腰の部分で後ろに回されているが、背中は丸出しだった。
腰の部分に同じ皮の下着がスナップボタンで留められ、常にハイレグの下着が食い込んでくる。
その腰には魔王孔雀の羽がスカート代わりに漬けられているが、所詮羽なのでいつもスッケスケだ。
下と言うか靴はサラマンダーの皮で作られ、足首から太ももまではブラックスケルトンタートルの甲羅で菱形形状に付けられ、前の部分で紐で縛っている。脱皮している所を捕まえているので、甲羅は柔らかく、縁だけが黒いので、まるで菱形にギッチギチに緊縛されたロングブーツのようになっていた。
もちろん、耐熱、耐水、耐火、耐電、耐防塵、耐摩耗、耐衝撃、耐混乱、耐麻痺、耐毒、耐呪い、耐鑑定仕様であり、足にはクローラー、腕にはパワーアップの効果と必中の付与が掛けられている。
「説明書にはそう書かれています。下着のスナップボタンを外せば、いつでもどこでも出来る仕様だとか」
「サルじゃねえか。俺はサルとは違うのだよ、サルとは!」
だが、ほぼ全ての耐防御の付与が付けられているのはありがてぇ。
この防御付与と、新しい魔法防御システムがあれば……
「ハルさま、あと、大量のせくしー服と下着が入ってますが」
「何で男達って、エロ下着ばかりッ!」
原色からスッケスケ、これまたアニマルや花柄の極極小サイズのモノしかないんだ~!!
次の日俺はルーティンになっている冒険者ギルドへと向かった。
今日はダンジョンには入らないので普段着……と言っても胸だけ花柄で編んでポッチを隠した淡い青色のサマーニットの胸の上に穴が開いた童貞殺しのノースリーブとケツがはみ出て気になるような極小のデニムタイトミニ、そしてミュールと言う破廉恥な服だが、トレードマークとなっている深紅のローブは欠かさない。
いつものようにギルドのカウンターにポーションを売る。1級10本と後はそれぞれ30本づつを売り、掲示板で依頼書を見ている冒険者達を待って一緒にダンジョンへと向かった。
だが昨日と違うのは、普通に集団の後ろを歩いているのだが、チラチラと俺の方を見ては
「破壊王」だとか、
「爆裂姉さん」「深紅の魔女」「クレンザー」「魔王」「疫病神」「仲間殺し」「爆クリちゃん」「バックリ」などと言われていた!
失礼な!
俺のは小さくて可愛いわ!
何一つ合ってねえし!
「やあ、待ってたよ。今日も来てくれると思ってた」
「ここ、稼ぎが良いからな。今日もお願い出来るか?」
「もちろん!毎日お願いしたいくらいだよ!」
若い男は顔をくしゃくしゃにして喜んでいた。
持ってきているクーラーバックの様な物の中には既に半分ほどのポーションが売れていた。
2級は既に売り切れ、3級と4級しか残っていない。
「ここに新しいの置いとくね」
「ありがとう!助かるよ。あ、俺レニーって言うんだ、よろしく!」
「俺はハルって言うんだ、頼むな!」
胸元の開いた穴からカップに隠されたマジックバックに手を入れ、各種ポーションを出していく。
新たに出した2級ポーションが飛ぶように売れていき、俺の顔もニコニコで愛想を振りまき今からダンジョンへと入る冒険者を送り出す。
朝の繁忙期が終わり少し余裕が出て来ると、レニーがチラチラ俺を見ている。
「何だ?」
「い、いや別に。今日もいっぱい売れると良いね」
「ああ、そうだな。レニーは個人商店なのか?」
「うん、田舎から出てきてこの町で少しづつでも売れれば、ゆくゆくは首都まで行って大きな商人になるつもりなんだ!」
その未来予想図を言うレニーは生き生きとしていて希望に満ち溢れていた。
俺のように不労所得で金儲けうっはうっはとは違い、地道に承認としての技術を磨き、目標に向けて頑張る姿だった。
その日暮らしの野郎共とは違い、真面目な感じはとても好感が持てた。
だが、その視線は俺の知らない間に童貞殺しのサマーニットに開いている胸元に釘付けだった。
ふと視線を感じて顔を向けると、スッと視線を外す。
また視線を感じてレニーを見るとスッと視線を外された。
ああ、これは女が男の視線を感じるってやつか!
「これが気になるか?」
胸の1/3が出ている穴をパフパフ動かして見る。
「だッ!ダメだって!他の人が見てるって!」
「見られて減るもんじゃ無いし。」
「減るの!」
「男だってモロ出しにして平気だろ。俺も軽く見られる位じゃ問題無いって!“グ”とか“ミ”を見られてる訳じゃないんだし」
「ッ!!ダメだって!女の子がそんな事言っちゃ!」
「別に良いだろ、この位誰でも言ってるって」
「女の子なんだから男みたいな言葉使ってたらダメだって!お、お嫁に行けなくなるよ!」
「別に、行く気はないんだが……もし行かなくちゃいけないならお前が貰ってくれるか?」
ニヒヒと言う顔で冗談を言ってみた。
「おッ!俺はッ!そッ!そんなッ!ハルみたいなびッ!美人と!むッ!無理だって!!」
そんなに慌てて可愛い奴め。
「冗談だって、本気にすんなって」
「じッ……冗談か…………そ、そうだよな。ふぅ」
顔を真っ赤にして、照れてるな。
そんなに落ち込むなよ。
「あッレニー!」
「ん?」
下を向いて落ち込んでいたレニーに胸元に開いた穴からデカい胸をポロリと出して見せた。
「悪かった。片乳無料サービスな」
ボンッ!
一気に顔が茹でタコのようになり、鼻血が出だした。
「ちょッ!! あッ」
タラ―っと流れる鼻血。
俺はレニーの横に行って頭に腕を回し上に向けさせてから出したポーションを飲ませた。
「うぐっ ごぎゅ うぎゅ」
ちなみに胸は出したままだったので、レニーの視線は乳をガン見していた。
「んきゅっ、おっ、おっ、おおっ!」
「おっぱいは初めてか?童貞」
目を見開いたまま、うんうんと頷くレニー。
「サービスはココまでな。頑張ったらまたサービスしてやるよ」
うんうんと再び激しく頷いていた。
俺も前世では童貞だったが、ここまでキョドってはいなかったなぁ。
ネットもあったし、風俗は……恥ずかしくて行かなかったけど、モテない俺にだってお金さえ払えば、サービスは受けられるし、ネットじゃ見放題だったからなぁ
遠い目で昔になっている思い出を思い出していた。
「なあ、俺達はいつまでラブシーンを見せつけられるんだ?」
レニー―の初々しい顔から表を見ると、そこには野郎共が列を作って並んでいた!
「すまん!レニーお客だぞ!」
「あっ!いらっしゃい!」
俺達はいつの間にかそう言う感じに見えていたらしい。
苦笑いをしながら大勢のお客相手にポーションを売って行く。
昨日から始めたダンジョン前でのポーション売りだが、手荷物を増やさない為に寸前で買う人が多いみたいだった。
完全に俺の作戦が当たり、売り上げは昨日よりも多いくらいだった。
ヘトヘトに疲れ、夕方店仕舞いを手伝う。
「沢山売れたね!」
「ああ、レニーが頑張ったお陰だよ」
「じ、じゃあ…………」
何かモジモジしている。
あ、そうか!
頑張ったらサービスしてやるって言ったっけ。それを待ってるんだな。
これくらいじゃダメと言ってもいいんだが、何か可哀想なんで少しだけサービスするか。
「今日だけだぞ」
俺はレニーの手を取り、自分の胸に押し付けた。
「あっ……あったかい…………」
「そりゃ生きてんだから温かいさ。はい、終わりな」
少し揉ませてあげても良かったんだが、レニーは軽く持ち上げただけで満足してるようだった。
「あ、ありがとう…………でもっ!こんな事あまりしたらダメだよ」
「分かったよ。他の男に揉ませたらダメだって事だな」
「ほ、他の男ってっ!」
「冗談だよ」
「うん!」
何故かレニーは上機嫌だった。
俺達は片づけを終えると、他の露天商と集団で帰って行く。
もう少ししたら夕日も見えるだろうが、遅くなると戦闘力の無い商人は危険になる。
だから少しでも冒険者がいる時に帰るのだ。
「ねえ、明日も…………明日も来てくれる?」
「ん?ああ、お金は俺も稼がないといけないからな。暫くは頼むな」
「うん!頑張ろうね!」
レニーは少し前までチョイHな事をおねだりしていたとは思えない笑顔で笑っていた。
何か前世で出来なかった青春って奴はこんな事なんだろうかと思い、少し楽しい気分だった。
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