第13話 プロポーズ?

◆◆◆ 第13話 プロポーズ? ◆◆◆



 クマさんマスタ……いや、ギルドマスターに忠告された。

商業ギルドから狙われていると。

ヒゲマスターは商業関連を握っている為、この領地はもちろんの事、他の土地でも狙われるっと。


俺って積んでるじゃん。


魔法はポーションとヒール、そしてこの前分かったバリアのみ。

残るはこの、び、美貌と、か、顔だけか。

無いよりはマシだが、男に媚びを売って逆襲するのも俺の趣味じゃねえし、隠れてコソコソするのもイヤだし。


「ま、なんとかなるようになるかっ!」



 暑さも本格的になったこの頃、俺はメイドのアンに着せられるがままにカップ付きのビスチェと、平行にしたらケツが見えるんじゃないかと言う位のフレアの超ミニスカを穿かされた。白ビスチェに雨水ブルーのミニスカ、半透明のミュールを穿いて涼しげな恰好子爵の邸宅から出た。


壁沿いにそろりそろりと歩いて行く。ギンも何故か後ろ脚で立って壁沿いに歩いていた。

飼い主に似て良い子だ。


「散歩ですか?ハル殿」


「ええ、まあ」


巡回の兵士に見られていた。



足を捻りながら辻馬車に乗り込み冒険者ギルドの真ん前に停まらせる。


転がるようにウエスタン調のドアから入って来た!


「姉さん、どうしたんすか?」


「追手に追われている。此処に匿ってくれ!」


「俺が守ります!」

「俺も!俺も!」

「こう言いうのはデカい俺が一番さあ!」

「なにお!小さくったってアソコはデカいんじゃ!」

「俺もタマならデカいし!」

「鼻がデカいからアソコも!」

「お前のは鼻の穴だけじゃ!」

「押しくらまんじゅう!」

「押すな押すな!」


「コラ!どこ触ってんじゃい!」


「「「「「「「「アベベベベベベベ」」」」」」」」


全員が感電した。今日からあれこれに電気ショックを潜めているのを忘れてた。


「って言うかお前ら全員邪な思いで触ってたろうが!」


「そりゃ仕方ないっすよ」

「んだんだ」

「ここで触らないで男がどうするってもんさあ」


「このクソどもが……まあいい、ちょっと待ってろ、ポーション売って来る」


いつものカウンターに行き、ポーションを並べていく。


「毎日ありがとうございます。ポーションです…………ね」


俺は4級を40本、3級を40本、そして2級も40本用意した。

そして1級も20本出す。


「4級から1級だ。鑑定すれば分かる」


「は、はい!」


職員は鑑定機に慌てて掛けだした。

これからはお金も必要になってくるだろう。バレてるのに出し惜しみはしない!

1級ともなれば買い取りは金貨10枚は堅い。20本ともなれば金貨200枚はいいんだが、売値が1本金貨20枚は高い。瀕死の状態を直せるのは良いが、毎日それだけのお金を稼ぐ事は出来ない為、今日は需要がどれだけあるかお試しだ。


鑑定は無事に終わりお金を貰った俺は、野郎共にポーションの即売会を開く。


案の定1級は1本しか売れなかったが、まあ良い。こいつらにはお金を稼ぐ為では無く、恩を売る事に専念して仲間……俺から離反しないように繋ぎ止めよう。



 先ずは攻撃力のアップだ!


ギルドでの一仕事を終えた俺は雑貨売り場に来た。



「もっとトゲトゲで見た目が怖くて、攻撃力抜群なのは?」


「お客さん、此処は雑貨を中心に売ってるんで、そういうのは武器屋でオーダーしてください」



ギンちゃんのトゲトゲ首輪を探していたんだが、追い出されてしまった。

ギンちゃんも困った顔になっている。


「あんな言い方ないじゃん!ねっギンちゃん!」


「ク~ン」


ほら!困ってる!

しょうがない、ギンちゃんの攻撃力アップ作戦は一時保留だ!


あっ良い匂いがするぅ!


鶏肉の南蛮漬けにマヨネーズらしきものが乗っかっている!


「これはチキン南蛮なのか?はむはむ、少し違うが、マヨネーズがココにあるとは。胡椒もマヨもある、殺気の雑貨屋でリバーシらしき物もあった。俺のウハウハ楽して楽しく過ごそう作戦が徐々に狭まってくる。やるな先人達…………はッ!食べてる場合じゃなかった!」


俺は口にチキン南蛮を咥えたまま、慌てて店を飛び出した!


行く先は決まってる!

いつもの名も無き武器屋だ!


「いらっしゃい!良いモノ入ってるぜ」


「ほお、それだけ言うのなら良いモノなんだろうな」


「お前さん、力がないだろ。持ち運びに苦労から解放されるぜ」


「うんうん!」


これはマジックバックか!!

あの何でも入って時間さえも止められ、中からはホッカホカのお弁当が出て来ると言うアレか!


「出したり入れたりが一瞬で終わるって事だが、結構高いんだよなぁ」


「金ならある!」


キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!

異世界定番マジックバック~!


「金ぴかなんだが、姉さんにゃ似合ってると思うぞ」


「ん?金ぴか?」


金ぴかの袋?バック?



「女なんだからそう言うのは大変なんだろうと思うぜ」


「ま、まあな」


女だから大変?



「貴族には売れないし、ましては庶民共には売れる訳ねえ」


「そんなもんか?」


マジックバックだぞ、庶民でも買えれるのなら一発大逆転じゃねえか!



「自動乾燥、除湿、防虫、防カビ、自動修復から自動クリーナーまで付いた大特価!」


なんだ?今のマジックバックにはそんな機能まで付いてるのか!



おっさんはカウンターからドン!と化粧箱を出した!


「おお!」


カパっ!


まるで結婚指輪の箱のように手前側を開けた。

するとそこには金色の指輪が入っていた。



「こ、これは…………結婚指輪?」


「馬鹿言うんじゃねえ、俺は既婚者だ。これはマジックイメージチェンジングリングだ」


「は?」


イメチェンリング?バックは何処?



「いいか、このリングの上に付いた台形の台座の横を見てみろ。12面のカットの中に12個の魔石が入ってるだろ。そこに洋服一式が入るって訳だ。靴から下着、服が一瞬で着替えられるんだぞ。私服から戦闘服まで一式を一個の魔石に入れられる。咄嗟の時に直ぐに着替えられる逸品だ!〆て金貨30枚だ!さあ買った!」


「まあ、うん、その、ああ、こういう奴ね、そうだなぁ、えーっと、あ、まあまあだな。うん、そうね、買うか」


「毎度!おまけとしてそこのワン公にこれでも付けてやってくれ。これも一応魔道具なんだが、誰も買ってくれねえんだな。首輪の中に刃物が隠されてあって噛みつくと首輪から出て来た刃物が回転するんだぜ。自動サイズ調整機能も付いてるから大きくなっても大丈夫だぜ」



キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!


マジックバックじゃないけどこう言うのを待ってたんだ!


何故か色の種類が沢山あり、俺のイメージカラーになってしまっている赤を選んだ。

シルバーの毛並みに似合ってないが、ギンはムハムハ!言ってるので気に入っていると思いたい。



取説をおっさんに聞いて金を払って帰った。

中に戦闘服を入れとけばいいか。

こう言うヘンテコなモノは隣の都市になるエリアス・クラウザー伯爵の領地であるノルド領で作られているらしい。


行って見たい気もするが、何故か言ったら駄目な気がする……



まともな服や下着を売っている婦人服店に入る勇気も無く、横目で店を見ながら素通りし、どんな服を入れるか考えながら速めの家路に付いた。



 メイドのピナと服をベッドに並べ考える。


「12種類ですね。戦闘用、お出かけ用×5、式典用、ドレス×4、男性を落とす用の12種類かと」


「最後のは必要か?」


「必要ですよ!コレと思った意中の男性を落とすのにどれだけの苦労が……まあ、ハルさまには余り必要ないかもしれませんが」


「へーそうなんだ。俺的には戦闘用、普段着×5、汚れる遊び用×6で終わりなんだが」


「普段着は分かりますが、汚れる遊びって何ですか!それにそっちの方が多いって!」


「だって、式典は行った事ないし、ドレスなんかは着付けも必要だろ。普段着と遊びで良いじゃん」


「まあ、それはそうですが……」



「どうしたんだ?何か賑やかだが」


二人でワイワイ言っているとドアから子爵が入って来た。

俺が町で買ったマジックイメージチェンジングリングの事を話すと興味を持っていた。


「そう言うモノがあるとは、このハウンゼン、まだ修行が足らんかったわ!」


妙に残念がっていた。


「一度見せてくれんか?その変身する所を」


「おう良いぜ。この指輪の真ん中をポチッと押すと!チェ〇ング!」


「おおッ!これは素晴らしい!」

「ハルさまッ!」


「どうだ?早いだ…………って裸?…………あッ!まだ何も入れて無かった!!」


「私の愛を受け入れてくれるのだな!わおーん!」



そのままベッドに押し倒され揉みくちゃになる!


「ピナ!」


「ごゆるりと…………」


滑るように下がって行く!

計ったな!!



「なあハルよ」


「なッ何?!」


俺は仰向けになって圧し掛かられたまま真面目な顔で言われた。


「私の思いは永遠だ。この想いを受け取って欲しい。ハルの全てを知っている私。何も隠さずに済むのも考えて悪い話じゃないと思うが」


「うっ…………」


それはそうだけどっ!

まだ心の準備がっ!

心はまだ男だしッ!


次の瞬間、子爵は上半身の服を脱ぎ捨てた!

歴戦の戦傷か、あちこちに傷が見えているが、それよりも歳の割には引き締まっている身体が凄かった!


「しッ子爵様ッ!」


「ハウンゼンと言って欲しいな」


「はっハウンゼン…………」


ハウンゼンは俺の手を取り、指を交互に絡めながら、所謂恋人つなぎをしてベッドに押さえられた。



「私の事が嫌いか?」


「き、嫌いだったらここに住まないわ」


ダメだ!

女の部分が目覚めて来る!


「俺は大好きだよ。これからもずっと未来永劫愛すると誓う。いつまでも君を守る」


「ああ、ハウンゼン…………」


ダメだって目が何で潤んでくるの!

相手は男だって!

何か硬いのが当たってるし!

それに反応する私って!



「君の好きな様に過ごせば良い。ただ俺の事だけを見てくれ。俺一人を愛すると言ってくれ。俺が望むのは唯一つだ」


「あ……ハウンゼン。私……わたしも……あ、あい――」


ハウンゼンのプロポーズとも言える言葉に混乱して居tあ私は勝手に口が動いていた!




「パパァ!何してるの!!」


丁度良いと言うか、グッとタイミングと言うか、子供二人がいきなり乱入して来た!


「おッ、おッ、ぷ……プロレス!」


「わーい!ボクもプロレス!」

「あたしも~」


ベッドに走り込みながら二人は全裸になって飛び込んで来た!


ハウンゼンは俺の背後に回り、羽交い絞めをして命令する!


「コチョコチョの刑だ!」


裸の子供二人にあちこち擽られる!


「にゃははははは!ダメ!ダメ!変になる!あはははははは!バカにッああ!バカになるからぁ!」


お尻に当たるハウンゼンの劣情を感じながら、前世での事を思いだす。

懐かしいモノの感触が特別嫌ではなかった。

そうなりたいとまでは思っていなかったが、女の身体に引っ張られていたのか、精神が少し女になっていた。


可愛い子供やスヤスヤ眠っているギンちゃんに囲まれ、楽しく笑って過ごしたい。



ああ、私ってどうなるんだろう



「さあ、俺も裸になろうっかなッ!」


お尻をフリフリしながらベッドで立ち上がてズボンを脱ごうとする子爵!



「そこは出すな!」


ドガッ! めきょ



「うがあっ!足!足の骨がああああ!」


蹴り上げた足が金〇にメガヒットし!骨がめきょっって言った!



「あはははボクも転がるう!」

「あたしもころがる!」


三人一緒で足を抱えて転がっていた…………






「俺のって強いんだな…………」


密かに関心するハウンゼンだった。

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