第43話:佐々木さんと一緒に教室でお昼ご飯を食べていく

 佐々木さんが足を怪我してから数日が経った。


 これまでは佐々木さんと一緒に屋上でお昼を食べていたんだけど、ここ最近は佐々木さんと教室でお昼を食べるようになっていた。


 でも佐々木さんは足を怪我しているので自分のお弁当を作れない状況になっていた。という事で俺は……。


「はい、お待たせ。佐々木さん!」

「う、うん。ありがと」


 という事で俺はこの数日間、足を怪我をしている佐々木さんの代わりに購買に行って佐々木さんの分の総菜パンや飲み物などを買ってきてあげていた。


 そして今日もいつも通り佐々木さんに頼まれていた総菜パンと飲み物を手渡していった後は、佐々木さんと一緒に他愛無い話をしながらお昼を食べ始めていった。


 でもそんな時、ふと佐々木さんはモジモジとした態度になりながら俺にこんな事を尋ねてきた。


「……いいの、山田は?」

「ん? いいのって……何が?」

「そ、その……いや、流石にわかるでしょ? その……男女が二人きりで教室でご飯を食べてたら周りからどう見られるかって事よ……」

「え? って、あぁ、そういう事?」


 佐々木さんが尋ねてきたのは、教室で男女が二人で一緒にご飯を食べてるなんて、傍から見たら付き合ってると勘違いされると言う事だ。そういう勘違いをされても平気なのかと佐々木さんは尋ねてきているわけだ。


 だけど佐々木さんが足を怪我しているのは周りの皆もわかってるし、佐々木さんと仲の良い俺が代わりにお昼の買い物をしてあげてるというのもわかっているはずなので、そこまで変に勘繰っている生徒はいないと思う。


 いや、まぁそれでも中には俺達が付き合ってるんじゃないかって思う生徒が多少はいてもおかしくはないか。という事で俺は笑いながらこう言っていった。


「ううん、俺は大丈夫だよ。むしろ佐々木さんこそ大丈夫? 俺なんかと噂されちゃってもさ?」

「え? そ、そんなの……私は別に気にしないわよ……」

「そっかそっか。うん、それなら良かった。それじゃあお互いに気にせずこれからも一緒に楽しくご飯を食べようよ!」

「う、うん、わかったわよ。はぁ、全くもう……アンタって意外と物事に動じないタイプよね?」

「はは、そんな事はないよ。ただ俺は佐々木さんと一緒に楽しく話しながらご飯を食べるのが好きってだけだよ」

「う……な、何言ってんのよ? は、恥ずかしい事を急に言うんじゃないわよ。ま、全くもう……」


 俺は笑いながらそんな事を言っていくと佐々木さんはジト目で睨みつけながらそう返事を返してきた。


 という事で俺達はそれからもまた他愛無い話をしていきながら惣菜パンをもぐもぐと食べ進めていった。でもそんな時……。


(うーん、まぁ購買で買える総菜パンも普通に美味しいけど……でもせっかくなら他のご飯も食べさせてあげたいなー……)


 学校の購買に売ってるのは基本的には惣菜パンしかないんだ。だからここ最近は俺と佐々木さんはずっと総菜パンばかりをお昼ご飯に食べていた。


 という事でたまには佐々木さんに総菜パン以外も食べさせてあげたいなって思いながら俺も総菜パンをもぐもぐと食べ進めていっていた。


「……? どうしたのよ? 何だか難しそうな顔をしてるわよ?」

「え? あぁ、いや、何でもないよ……って、あ、そうだ!」

「え? って、わわ、ビックリした!」


 そしてその時ふと、俺はとある名案を思いついた。それでつい大きな声を出してしまい佐々木さんを驚かせてしまった。


「あ、ビックリとさせちゃってごめんね」

「う、ううん、別に良いわよ。それで? 一体どうしたのよ?」

「あ、うん! あのさ、佐々木さんって来週の月曜日には包帯とか全部外せるんだよね?」

「え? あぁ、うん。そうよ。まぁ正確には土曜日には外せるけどね。あ、でも包帯が外れたあとも一週間くらいは大事をとってあまり動き回ったりはしないようにするわ。だからもうしばらくだけお弁当作りの再開は待ってもらえると助かるわ」

「うん、それは全然問題ないよ! というかその件で一個佐々木さんにお願いしたい事があるんだけどさ……」

「え? お願いって……一体何よ?」

「うん、それじゃあ来週の月曜のお昼なんだけどさ……俺が佐々木さんのためにお弁当を作って来ても良いかな??」

「え……って、えっ!?」


 俺がそんなお願いをしていくと、佐々木さんはとてもビックリとしたような表情をしてきた。


「えっ!? や、山田が作るって……そ、それ本気!? だって山田って料理はまだそんなにやった事ないでしょ?」

「うん、まぁそうなんだけど、でも最近は料理本を見て勉強してるし両親の手伝いとかもしてるからある程度は大丈夫だよ! それにお弁当のオカズに関しても極力簡単なモノを作るようにするからさ! だから良かったら……俺に佐々木さんのお弁当を作らせて貰えないかな?」


 という事で俺は本気の目で佐々木さんにそうお願いをしていった。


(まぁやっぱり手作りのお弁当って食べると物凄くポカポカと嬉しい気持ちになる気がするんだよな)


 だって俺はいつも佐々木さんのお弁当を食べて凄く嬉しい気持ちになってたからさ。


 だから俺はそんな嬉しくなる気持ちを佐々木さんにプレゼントしたいなと思って、俺はそんなお願いを佐々木さんにしていってみたんだ。


「え、えっと……ま、まぁ、山田がそこまで言ってくれるのなら……うん、わかったわよ。それじゃあその……山田の作るお弁当をお願いしても良いかしら?」

「うん、わかった! それじゃあ頑張って佐々木さんに美味しいお弁当を作って来るよ!」

「うん。それじゃあ……ふふ、楽しみにさせて貰うわね?」


 という事で来週の月曜日に俺は佐々木さんに手作りのお弁当を作ってあげる事が決まった。


 よし、これは佐々木さんのためにも全力を尽くして凄く美味しいお弁当を作ってあげなきゃだな!

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