第38話:休み時間に桜井さんと遭遇する
とある日の休み時間。
「あ、山田君! こんにちはー」
「え? って、あぁ、桜井さん。うん、こんにちはー」
自販機に向かって歩いていると夏江の彼女である桜井さんとバッタリと出くわした。
「前はボーリングに誘ってくれてありがとね。すっごく楽しかったよー! それに予約とか色々と事前にしてくれてありがとね!」
「はは、楽しんで貰えたようなら良かったよ。俺も桜井さんと夏江と一緒に遊べて凄く楽しかったよー」
「そう言ってくれると私も嬉しいなー。あ、そういえば山田君は今から何処に向かおうとしてたの?」
「俺は今から自販機に行くところだよ。喉が乾いたから何か飲み物でも買おうと思ってさ」
「あぁ、そうなんだ! それじゃあ私も一緒についていっても良いかな? 私も何か飲み物を買おうと思ってたんだー」
「もちろん良いよ。それじゃあ一緒に自販機まで行こうか」
「うん、わかった!」
という事で俺は桜井さんと一緒に雑談をしながら自販機に向かって歩いて行った。
「あ、そうだ。そういえば山田君って何だか最近早紀とすっごく仲良いよね? 早紀からもよく山田君の話を聞かせて貰っているよー」
「え? あぁ、そうだね。最近は仲良くさせて貰ってるんだ。よく話とかもしているしね」
「うんうん、そうだよね! よく二人が教室で話してるのを見かけるもん。あ、それとあれなんでしょ? 最近だと早紀の作るお弁当を食べてるんでしょー?」
「えっ!? 何でその事を知ってるの!?」
桜井さんがその事を知ってるなんて思わなかったので、俺は思わず大きくビックリとしていってしまった。
「あ、やっぱりそうだったんだ? あはは、ちょっとカマをかけてみただけだよ。ちょっと前に早紀がお弁当を二つ持って何処かに行くのを見かけたからもしかして……って、思ってね」
「え? あ、あぁ、なるほどね。うん。まぁ実はその……そうなんだ。最近は佐々木さんからお弁当を貰ってるんだ」
「へぇ、そうなんだね! ふふ、山田君と早紀がそんなに仲良しになってるなんて……うんうん、それは友達の私としても凄く喜ばしい事だよー!」
俺は顔をちょっと赤くしながらも佐々木さんからお弁当を貰っている事を伝えていくと、桜井さんはとても嬉しそうにしながら何度も顔を頷いてきた。
そして桜井さんはそのまま満面の笑顔のまま続けて俺にこう言ってきた。
「ふふ、でもそれだけ仲が良いんだったらさ……良かったらバレー部の部活の応援とかもしてあげてよ。そしたら多分早紀すっごく喜ぶんじゃないかなー!」
「えっ?」
桜井さんは満面の笑みを浮かべながらそんな事を言ってきた。バレー部の応援か。まぁそれは確かにめっちゃしてみたいけど……。
「うーん、それは友達としては是非ともやってみたいけど、でも流石に女子バレー部の活動中に男の俺が応援するのって何だか迷惑じゃない? あまり佐々木さんの迷惑になるような事はしたくないんだよね」
「いやいや、迷惑じゃないでしょー。流石に知らない男子が来てたらビックリとするだろうけど、でも山田君は早紀とすっごく仲の良い友達なんだし問題ないよ。それに香澄とか知り合いの子もいるし山田君ならバレー部の応援に行っても大丈夫だよ!」
「そうなのかな? まぁ桜井さんがそう言ってくれるのなら助かるけど……でも急に佐々木さんの応援をしに体育館に立ち寄ったら佐々木さんに滅茶苦茶怒られそうでちょっと怖いな」
「あはは、それこそ気にしないで大丈夫だよ。早紀はそんな事で滅多に怒るような子じゃないからね。まぁでも何の前触れもなく山田君がバレー部の応援に来たら早紀は恥ずかしくなって逃げだす可能性はあるかもだけどねー」
「えっ? 逃げだす? いや佐々木さんはそんな風には全然見えないけどなぁ。佐々木さんって結構サバサバとしてる所もあるし、急に応援に行ったら何しに体育館に来てんだよってジト目で睨まれそうな気がするんだけど」
「あはは、まぁ確かにサバサバとはしてるけど、でもそんな怒ったりなんてしないよー。むしろ逆に早紀って内気で恥ずかしがり屋さんな所も多いからね? ふふ、だからさ……もし何かあったら山田君が早紀の事をグイグイと引っ張ってあげてね!」
「そっか。うん、わかったよ」
桜井さんは満面の笑みを浮かべながらそんな事を言ってきた。なので俺はわかったと言いながらしっかりと顔を頷いていった。
「うん、それなら安心だよ! ふふ、でも山田君って話してみるとやっぱり優しい男の子だよね。早紀とか夏江君から聞いてたから何となくそうだとは思ってたんだけどさ」
「え? そ、そうかな? まぁでもそう言ってくれるのは素直に嬉しいよ。そう言ってくれてありがとう、桜井さん」
「うんうん、そう言う素直な所も良いよね! ふふ、でもあの恥ずかしがり屋さんの早紀が男の子とこんなにも仲良くなってるなんてねー。あ、そういえば山田君は大丈夫? あの子って結構ツンデレな所あるからさ、何かトゲトゲしい事とか言われてない?」
「あはは、そんなの全然大丈夫だよー。むしろ佐々木さんはすっごく優しくて素敵な女の子だって俺はいつも思ってるくらいだしさ! いつも優しく接してきてくれて感謝してるよ!」
「あっ……う、うん、そうそう! そうなんだよ! 早紀って本当に誰よりもすっごく優しくて素敵で良い子なんだよ! ……ふふ、それをちゃんとわかってる山田君になら早紀は任せても大丈夫そうだねー……」
「え? ごめん、ちょっと声が小さくて聞き取れなかったんだけど、今なんて言ったの?」
「え? あぁ、ううん、何でもないよー」
桜井さんは何か小さく呟いていた気がするんだけど……まぁでも桜井さんは何でもないと言ってきたし気にしないでおいとくかな。
「まぁでも早紀が凄く優しくて素敵な子だって事をちゃんと山田君も知ってくれててホッとしたよ!」
「はは、そりゃあ俺も佐々木さんとは凄く仲良くさせて貰っているからね」
「そっかそっかー。うん、それなら色々と安心だよー!」
「え? 安心って?」
「あ、ううん、何でもないよー。ふふ、まぁそれじゃあさ、これは早紀の親友である私からのお願いなんだけど……これからも早紀とはずっとずっと仲良くしていってあげてね!」
「うん、それはもちろんだよ」
俺は桜井さんのそんなお願いに対して素直にそう答えていった。もちろん俺だって佐々木さんとはこれからもずっと仲良くしていきたいと思っているしさ。
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