第31話:真唯にカップケーキを作ってあげる
翌日の日曜日の朝。
「んー、まぁ大丈夫かな?」
俺は腕を振り回しながら自分の身体をチェックしていった。
まぁちょっとは昨日のボーリング疲れで筋肉痛にはなっているんだけど……でも桜井さんに言われた通り昨日は入念にマッサージをしてから寝たので、そこまで酷い筋肉痛にはならずに済んでいた。
「ま、でも多少はボーリング疲れも残っているし、今日は家でゆっくりと過ごす事にしよう」
俺はそう思ってもう一度背伸びをしていった。すると……。
「ふぁあ……おはよー、お兄ちゃん」
「んー? あぁ、おはよう、真唯」
「うん、おはよー……ふぁあ……」
すると真唯が大きな欠伸をしながらリビングにやって来た。どうやらちょうど今起きてきたようだ。
「あはは、めっちゃ大きな欠伸だなー。もしかして遅くまで起きてたのか?」
「うん……ちょっと面白いテレビ番組がやってたからつい……」
「そっかそっか。ま、とりあえず顔でも洗って目を覚ましてきな。それまでに朝飯のパンでも焼いてやるからさ」
「うん、ありがとー……それじゃあ顔を洗ってくるね……ふぁあ」
そう言って真唯は洗面所の方に移動していった。それを見送ってから俺も台所に行って朝ごはんの食パンをトーストして用意してあげようとした。でも……。
「……あ、しまった。食パンを買うの忘れてた……」
台所に行ってから気が付いた。そういえば昨日の朝飯に食べたトーストが最後のパンだったんだ…。
だから昨日は皆と遊んだ帰りに駅前のスーパーで食パンを買ってから帰ろうと思ってたんだけど……でもボーリングで凄く疲れてしまい食パンを買うのを忘れてそのまま家に帰ってしまったんだ。
という事で今日は家には朝ごはんの食パンは一枚も残っていなかった。
「うーん、それじゃあ今日の朝ごはんはどうしようかなぁ……」
「ただいまー、顔を洗って歯も磨いてきたよー。って、あれ? どうしたのお兄ちゃん?」
俺が腕を組みながら台所で悩んでいると、洗面所から戻ってきた真唯がキョトンとした顔で俺の事を見てきた。
「ん? あぁ、おかえり。いや、実はさ……朝飯の食パンを買うの忘れてたんだ……」
「あ、そうだったんだ。うん、わかったよ。それじゃあ今日はお昼までご飯は我慢だね」
「いやいや、流石にそれはお腹空いちゃうだろ? だから今からコンビニに行って買ってく……あ、そうだ!」
俺はその瞬間、とある事を思い出した。
―― 簡単だから妹さんに作ってあげたら喜ぶわよ。
「……? どうしたのお兄ちゃん?」
「あぁ、今日は朝ごはんの食パンを買うの忘れちゃったから……だから今日は真唯のためにいつもと違う朝ごはんを作ってあげるよ!」
「え……って、えっ!? 本当に!?」
ちょっと前に俺は佐々木さんにカップケーキのレシピを教えて貰ったんだ。そしてその材料は全て先日の内に購入しておいたんだ。
(それにカップケーキは蒸しパンみたいな食感で美味しいって言ってたし、朝飯には丁度良いかもしれないよな)
という事で俺は笑みを浮かべながら今日はカップケーキを作っていく事に決めていった。
「あぁ、もちろん! 今日は俺が真唯のために美味しい朝ごはんを作っていくよ!」
「えっ!? い、いや、そう言ってくれるのは嬉しいけど……でも兄ちゃんって料理なんて出来るの??」
すると真唯はかなりビックリとした表情を浮かべてきていた。まぁそりゃあビックリもするに決まってるよな。
だって俺が今までしてきた料理といえば学校の家庭科の料理実習とか、時々母さんの手伝いをするくらいだったしな。
でも今回は大丈夫だ。だって俺みたいな初心者でも絶対に作れそうなほどに簡単なレシピだったからさ。
「あぁ、大丈夫だよ! ちゃんと作り方は調べてあるし、めっちゃ簡単だからさ! しかも真唯にも作れそうなレシピだからさ……だから良かったら一緒に作ってみないか?」
「え!? 私にも作れるの!? うん、それは一緒にやってみたい!!」
「そっかそっか。うん、それじゃあ一緒に作ろう。それじゃあまずはエプロンを用意して、それと一緒に手洗いをしっかりとやっていこうか」
「うん!」
という事で今日はこれから真唯と一緒に朝ごはんを作っていく事になった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます