第30話:ボーリングを終えていった後

 それから数時間後。


「お疲れ様! 今日はめっちゃボーリング球投げたなー。ってか佐々木さんも桜井さんも物凄く上手いんだね!」

「うんうん、お疲れ様ー! ふふん、まぁ私も早紀もバレー部とバスケ部でボールを放り投げる技術は持ち合わせてるからね」

「はは、なるほどね。道理で二人とも凄く上手い訳だね」


 俺達はボーリングの投げ放題プランを選んで6ゲーム程を堪能してからラウワンから出てきた所だった。


 そして今日は全員アベレージ130~150くらいは出ていたのでかなり白熱とした接戦が繰り広げられていったのであった。


「今日は本当に楽しかったよ。でもこれだけ重い球をバンバンと放り投げまくってたから明日は物凄い筋肉痛になっちゃってそうだなぁ……」

「あぁ、わかるわかる。俺も明日になったら物凄い筋肉痛になってそうでちょっと怖いわ。いつもボーリングに行っても2~3ゲームくらいで終わりにしちゃうしな」

「ふふ、流石に6ゲームも放り投げたら確実に筋肉痛がきちゃうだろうね。しかも山田達は運動系の部活に入ってないから絶対に明日は動けなくなるわよ?」

「え、マジで? そんな動けなくなる程の筋肉痛になっちゃうの!?」


 佐々木さんはクスクスと笑いながらそんな怖い事を言ってきた。すると桜井さんも一緒に笑いながら続けてこんな事を言ってきた。


「うんうん、ボーリングって普段使わない部分の筋肉を使うから多分相当な筋肉痛が来ちゃうよ。特にボールを持ってた利き腕の方にズシンって筋肉痛になると思うから、だから今日はしっかりとマッサージをしてから寝た方が良いよー!」

「な、なるほど! それは凄く助かるアドバイスだね! ありがとう桜井さん! いや本当に優しい助言をくれるなー」

「ちょっと? それじゃあまるで私は全然優しくないみたいじゃないのよ?」


 そう言うと佐々木さんはジトっとした目つきで俺の事を睨んできた。


「あはは、そんな事はないって。いつも佐々木さんは優しいって思ってるよ」

「ふん、どうかしらねー? ふふ」


 まぁ佐々木さんが本当に怒ってるわけじゃないのはわかっているので、俺は笑いながらそう言っていった。


 という事で今日の予定していたボーリングはこれで終了した。この後の予定は特に決めてなかったので皆にこう尋ねていってみた。


「それじゃあまだ夕方前だけどこの後はどうしようか? 良かったらもう少し遊んでから、夕方になったら皆で晩飯を食べてから帰ろうか?」

「えっ? あー、ごめんね……実は今日は家に晩御飯があるからもうそろそろ帰らないといけないんだ……」


 すると途中で桜井さんが申し訳なさそうな顔をしながらそう言ってきた。


「あ、そうなんだ。家にご飯があるならそろそろ帰らないとだね。うん、わかったよ。それじゃあ他の二人はこの後どうする?」

「あー、いや、それじゃあ俺も桜井さんを見送っていきたいから、だから今日はこのまま解散でお願いしたいんだけど……それでも良いかな?」


 今度は夏江さんがそんな事を言ってきた。そりゃあカップルだから彼女の事を見送りたいと思うのは当然の気持ちだよな。


「あー、そっかそっか。うん、わかったよ。ってかそれなら今日はもうそろそろ解散にした方が良いな。それじゃあ皆で駅の方に向か――」

「あ、私と山田は今から買い物に行く事になってるから、だから今日はここで解散にしましょう」

「えっ?」


 全員で駅前に行こうと提案しようとしたら、唐突に佐々木さんがそんな事を言ってきた。


「あ、そうなの? うん、わかった、それじゃあ今日はここで解散にしよっか!」

「あぁ、わかった。それじゃあ俺達は先に帰るよ。二人とも、また学校でな」

「うん、また学校でね」

「え? あ、あぁ……」


 そう言って今日はラウワン前で解散をする事となった。


 そして俺は帰っていく桜井さんと夏江の二人をラウワン前で見送っていった後、俺は隣に立っている佐々木さんに向けてこう尋ねていった。


「えっと、買い物に行くって初耳なんだけど? 何か買いたい物でもあるの?」

「いや嘘よ嘘。そんなの嘘に決まってるでしょ」

「え? 嘘?」


 佐々木さんの回答を聞いて俺はキョトンとした顔をしていってしまった。そしてそんな俺の顔を見た佐々木さんは呆れたような表情をしながらこう言ってきた。


「はぁ、全くもう……アンタは色々と鈍いわよね。あの二人は付き合い始めたばかりのカップルなのよ? それなら最後の帰り道くらいは二人きりで楽しく帰らせてあげた方がいいでしょ?」

「え? あ、あぁ! 確かにそうだよね。今日はずっと四人で行動してたし、最後くらいはカップルで帰らせてあげるのが友人としての優しさだよね」

「うん、そうでしょ? だから咄嗟に嘘をついて山田を引き留めたってわけよ」


 どうやらそれは佐々木さんの粋な計らいだったようだ。なので俺は佐々木さんのその言葉を聞いてしっかりと深く頷いていった。


「なるほど、流石は佐々木さんだね。それにしても佐々木さんって……うん、やっぱり凄く優しい女の子だよね」

「ふふん、そんなの当たり前でしょ。というか私は普段から凄く優しいでしょ?」

「あはは、確かにそうだったね。まぁでもそれじゃあ俺達はこの後はどうしよっか? このまま俺達もすぐに帰ろうとしたら夏江達と駅前で遭遇しちゃうかもだし……って、あ、そうだ!」


―― またいつでも誘ってよ。


 俺はその時、ちょっと前に佐々木さんにそう言われた事を思い出した。なので俺は佐々木さんに思い切ってこんな提案をしていった。


「それじゃあせっかくだしさ……良かったら一緒にお茶でも飲んでから帰らない?」


 という事で俺は思い切ってそんな提案をしていってみた。すると佐々木さんは笑みを浮かべながらこう返事を返してきてくれた。


「あー、うん、それは良いわね! 私もちょっと疲れたし、炭酸の入ったジュースでも飲んで喉を潤したいわ」

「はは、それなら良かった。それじゃあ近くに喫茶店があったはずだから、そこで一服してから帰ろうよ」

「うん、わかったわ」


 そう言って俺達は近くの喫茶店に向かった。そしてその喫茶店で佐々木さんと一緒に飲み物を飲みつつ他愛無い話をしてから今日は帰路へとついていった。


 うん、今日は本当にとても楽しい一日だったな。

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