第29話:そして土曜日になる

 それから数日後の土曜日。


 時刻は12時半を過ぎた所だ。


「うーん、ちょっとだけ早く着きすぎたかな?」


 俺は待ち合わせ場所である駅の改札前に立ちながらそう呟いていった。今日の待ち合わせ時間は13時丁度だ。だから待ち合わせまではあと30分もある。


(ま、でも早く着きすぎた所で別に何の問題もないから別にいいか)


 だって遅刻しちゃうより早く着きすぎた方が絶対に良いしな。俺はそう思いながら近くのベンチに座って皆が到着するのを待っていった。


 という事で今日は皆でラウワンに行く日だった。メンバーは俺と佐々木さんと桜井さんと夏江の四人だ。まぁ簡単に言ったら仲良しカップル+そのカップルの親しい友達同士という組み合わせだな。


 初めてこのメンバーで遊ぶという事で今の俺はとても楽しい気持ちになっていた。そして今日のイベントで一番楽しみなのは何といっても……。


(やっぱり今日は佐々木さんの私服姿を見れるのが凄く楽しみだなぁ……!)


 もちろん桜井さんの私服姿も楽しみではあるんだけど、まぁでも流石に友達の彼女だし、あんまり桜井さんの事をジロジロと見るのはマナーとしては良くないよな。


 いやそれを言ったら桜井さんの姿をジロジロと見るのもマナー的に完全にアウトだろうけど、でもやっぱり普段から学校の制服姿や運動服姿しか見てないから、私服姿の佐々木さんもやっぱり気になっちゃうよね。


(まだ時間もあるし……よし、ちょっとだけ佐々木さんの姿を想像してみるかな?)


 という事で俺は時間つぶしに佐々木さんの私服を妄想していってみた。確か佐々木さんはシンプルな服装が好きだって言っていたよな。という事はやっぱりジーパンとかシャツみたいなカジュアルスタイルで来るのかな?


 でも佐々木さんって普通に可愛いからワンピースやスカートと言った女の子らしい可愛い服装も似合うに決まってるよなー。


(まぁでも今日はこの後運動をするわけだから動きやすい服装で来るに決まってるか)


 今日はこの後ラウワンにてボーリングをする事になっている。だからスカートとかワンピースみたいなヒラヒラとした服装ではきっと来ないよな。


 あとはまぁ佐々木さんは100%着ないだろうけど、ショート丈の素肌露出多めな服装とかも絶対に似合いそうだよな。


 だって佐々木さんっておっぱい凄いし太ももとかも凄く魅惑的だし、だからそういう露出の高い服を来たら街中の男達ガン見するだろうなぁ……って、何考えてるんだ俺は!?


「マズイマズイ! 変な妄想をしてる場合じゃないって!」

「変な妄想って何よ??」

「……えっ?」


 すると唐突に後ろから誰かに声をかけられた。俺は急いで後ろを振り返ると、そこには佐々木さんがジトっとした目つきで俺の事を見つめていっていた。


「あ、さ、佐々木さん!? い、いや、何でもないよ! 全然何も変な妄想なんてしてないから!」

「……? まぁ、何でもないって言うんなら別にいいんだけど。ってか山田待ち合わせ場所に来るの早すぎじゃない?」

「あ、あぁ、うん。えっと、まぁ何というか……楽しみすぎてついつい早く来過ぎちゃったんだよね。あ、あははー」

「ふふ、何よそれ。子供じゃないんだからもう少し落ち着きなさいよ」

「う、うん、そうだよね。あはは」


 俺はかなり不審な態度を取りながらも笑いながらそう言って誤魔化していった。まぁ佐々木さんがそこまで気にしないでくれたのは非常に助かった。


 という事で俺は佐々木さんと合流する事が出来たので、せっかくなのでそのまま俺は佐々木さんの服装をチェックしていった。


(なるほど、そういう服装かー!)


 佐々木さんは下はジーパンで上は半袖のシャツにパーカーを羽織り、さらに頭にはオシャレなキャップを被っていた。爽やか目かつシンプルなコーディネートだった。


 綺麗系な佐々木さんにはこういうシンプルなコーディネートがとても映えていると思った。


「あっ! あっち見てよ。ちょうど春香達も来たみたいよ」

「えっ? あぁ、本当だ」


 佐々木さんのファッションのチェックをしていると、佐々木さんはそんな事を俺に伝えてきてくれた。


 なので俺は改札の方に目を向けていくと、そこから夏江と桜井さんが出てくるのを丁度見つける事が出来た。


 桜井さん達も俺達を見つけたようで、改札から出てから早歩きで俺達の方に近づいてきた。


「二人とも、お待たせー!」

「二人ともめっちゃ早いなー。もしかして結構待たせちゃった感じか?」

「ううん。私はついさっき着た所よ。でも山田は楽しみ過ぎてずっと前から待ってたらしいわ」

「え、あ、ちょっ!? 佐々木さん!? そんな恥ずかしい事バラさなくていいから!」

「あはは、そうだったんだね。うんうん、それじゃあ今日は楽しもうね、山田君!」

「あ、う、うん。そうだね。それじゃあ今日はよろしくね、二人とも」

「うんうん! こちらこそよろしくだよー!」

「あぁ、今日は楽しもうぜ!」


 そう言って俺は桜井さんと夏江に挨拶をしていった。桜井さんも佐々木さんと同じく話しかけやすい女の子だから今日は変に緊張とかしたりする事もなくフラットな感じで楽しめそうだ。


(あ、せっかくだし桜井さんの服装もチェックしてみようかな)


 という事で俺は桜井さんの私服もチェックしていってみた。桜井さんは下はオシャレなフレアパンツで上はシンプルな半袖のシャツに秋物っぽいカーディガンを羽織っていた。


 それは桜井さんらしく全体的に可愛らしいまとめたコーディネートだった。いやこんな可愛い彼女がいるなんて本当に羨ましい限りだよなー。


「それじゃあ無事に合流出来たし、早速ラウワンに行きましょうか?」

「あぁ、うん、そうだね。それじゃあ早速向かおう!」


 という事で無事に合流する事が出来たので、俺達は早速目当てのラウワンへと向かって歩いて行った。


◇◇◇◇


 それから程なくして俺達はラウワンに到着した。


 すると想像はしてたけど土曜日なのでラウワンの中は家族連れや友達、カップル連れで沢山賑わっていた。


「うーん、やっぱり今日は休みだからだいぶ人で混んでるね。これはちゃんと予めボーリングの予約をしておいて正解だったね」

「うんうん、本当にそうだよね! 事前に予約とかしておいてくれてありがとう、山田君!」

「あはは、そんなの全然だよ。それじゃあすぐにボーリングの受付場に移動しようか」

「えぇ、わかったわ。それじゃあ早速行きましょうか」


 という事で俺達はボーリングの受付に移動していった。もちろん予約をしていたので待ち時間もなくすんなりと入って行く事が出来た。


 そして受付を済ませた後は貸出のボーリングシューズを手に取って予約したレーンに移動していった。


 そして俺達はレーン前の椅子に座ってシューズを履き替えながらもこんな話を夏江に振っていった。


「いやー、それにしてもボーリングなんて久々だな。最後にやったのってどれくらい前だっけ? 多分夏江と一緒に行ったのが最後だと思うんだけど」

「あ-、えぇっと、確か前の春休みじゃないかな? ラウワンに皆で遊びに行ったのが最後だと思うから……まぁ大体半年ぶりくらいかな?」


 夏江は昔の事を思い出しながらそう言ってきてくれた。


「あぁ、そっか。大体それくらいぶりか。はは、それじゃあ本当に久々だなー。あ、ちなみに佐々木さんと桜井さんはボーリングはどれくらいぶりなの?」

「うーん、私達もだいたいそれくらいぶりだよね?」

「うん、そうね。ラウワン自体はそこそこ来てるけど、でもやる遊びは毎回違うから、ボーリングをするのは結構久々よ」

「へぇ、そうなんだ。それじゃあ皆気軽な感じで今日は楽しめそうだね」

「ふふ、そうね。まぁ今日は楽しく遊んでいきましょう」


 そう言って皆で笑い合いながら俺達は早速ボーリングを始めていった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る