第27話:翌日の昼休み

 翌日の昼休み。


 今日は久々に佐々木さんと屋上に来ていた。そして久々に佐々木さんから手作りのお弁当を受け取っている所だった。


「それじゃあ、はいこれ。どーぞ」

「うん、ありがとう! いやー、久々に佐々木さんのお弁当が貰えて嬉しいなー!」

「いや久々って……たったの一週間くらいしか経ってないじゃないのよ。それとも何よ? ふふん、もしかして私のお弁当が食べられなくて寂しかったのー?」

「うん、そりゃあもちろん!! だって佐々木さんのお弁当は本当に美味しいからね!!」

「ちょ、ちょっ!? 何でそんな満面の笑みで言ってきてるのよ?? も、もう、アンタって恥ずかしいとかそういう気持ちは持ち合わせてないの?」

「え? どういう事?」

「べ、別に良いわよ。はぁ、全くもう……ふふ。もう良いからさっさと食べちゃいましょうよ?」

「? うん、わかったよ」


 何だか佐々木さんの様子は少しおかしかった。でも本人は気にしなくていいと言ってるし気にしないでいっか。


 そして佐々木さんに早くお弁当を食べようと言われたので、俺は弁当の前でしっかりと手を合わせていってから……。


「それじゃあ、いただきます!」

「うん、いただきます」


 しっかりと手を合わせてから佐々木さんの手作りのお弁当を食べ始めていった。


 ちなみに今日のお弁当の中身は焼き鮭とミニサラダと卵焼きというラインナップで、色どりが良くて目で見ても凄く楽しめるお弁当になっていた。


「もぐもぐ……って、えっ!? この焼き鮭めっちゃ美味しいね! 今まで食べてきた焼き鮭と全然風味が違うというか、何だかいつも食べてる鮭と全然違って凄く美味しいよ!」

「そっか、それなら良かったわ。実は近くの魚屋さんで美味しそうな鮭の味噌漬けがあったから試しに買ってみたのよ。山田の口に合ったのなら良かったわ」

「へぇ、これって味噌漬けなんだ! 普段は塩鮭しか食べた事が無かったから新鮮な感じがするよ。うん、これすっごく美味しいね!」

「ふふ、そっかそっか。それだけ喜んでくれたのなら良かったわ。あ、そうだ。そういえば山田ってさ、何か食べたいモノとかのリクエストとかってあったりする? もしあるようなら簡単そうなモノなら作ってあげても良いわよ?」

「え、本当に!? それは嬉しいけど、うーん、リクエストかぁ……でも俺は何でも食べれるからなー。まぁしいて言うならやっぱりこの卵焼きかな?」


 そう言いながら俺はお弁当に入っている卵焼きを箸でつまんでそのまま口の中に放り込んでいった。


「卵焼きって……ふふ、何よそれ? いつもお弁当箱に入ってるやつじゃないの。そういうのはリクエストって言わないわよ」

「はは、そう言われてみればいつも佐々木さんの作るお弁当の中に入ってるもんね。それじゃあこれはリクエストとは言わないか」

「うん、そうよ。だからそう言ういつも食べてるモノじゃなくて、山田のもっと食べたいって思うメイン料理というか、ご飯のお供というか、まぁそういうのを教えてよ」

「うーん、なるほどね。わかったよ。それじゃあ少し考えてみるよ。それで何か思いついたらまた佐々木さんに言うね」

「ん、わかった」


 そう言ってそれからも俺達は楽しく雑談を続けていきながらお昼ご飯を食べ進めていった。そして佐々木さんは昨日の件についても話を振ってきた。


「あ、そういえばさ、昨日はせっかくお昼誘ってくれたのに行けなくてごめんね」

「あぁ、いやそんなの全然大丈夫だよ。だって部活の方が大事だしね。確かテストが開けてしばらくしたら他校との練習試合が沢山あるんでしょ?」

「うん、そうなのよ。それに大会も近いから、これからしばらくは部員達の強化月間が続いていく感じね」

「なるほど! それは頑張って練習していかないとだね! でもテストが終わってすぐにそんなにも部活練習が沢山あるってのは中々に大変だね」

「いや部活練習自体はもう慣れちゃったから全然平気よ。むしろテストで赤点を取っちゃった方が最悪な目にあうからね……」

「はは、確かにね。でも佐々木さんの手ごたえ的にテストの出来はバッチリなんでしょ? それなら大丈夫だよ!」

「うん、そうね。今日も数学と化学のテスト答案が返ってきたけど、どっちもいつもよりもかなり良い点数が取れてるから今の所は凄く安心が出来てるわ。本当にありがとね、山田」

「うん、それなら良かったよ!」


 佐々木さんはとても嬉しそうにしながらそんな事を言ってきてくれた。うん、佐々木さんの役に立てれたようで本当に良かったな。

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