第26話:夏江とファミレスで飯を食っていく
それから数十分後。
俺と夏江は駅前にあるファミレスに到着した。そして俺達はすぐにドリンクバーを注文して飲み物を取りにいった。
「よし、それじゃあ中間テストお疲れーっす」
「あぁ、お疲れさんー」
そう言って俺達はドリンクバーのコップを手に持って乾杯をしていった。そしてそのままコップの中に入っているジュースを飲んでいった。
「ごくごく……ぷはぁっ! いやー、テスト終わりのジュースはめっちゃ美味いなぁ! テスト勉強からようやく解放されたと思うと最高だよ!」
「はは、そうだな。まぁ今日はテストも終わってお互いに暇だろうしノンビリと飯を食ってから帰ろうぜ」
「あぁ、そうだな」
という事で俺達は注文した昼飯が到着するまでノンビリと雑談をしていく事に決めていった。
「でもそういえばさー、和樹と昼飯を食うのって何だか久々な気がするよな?」
「あー、確かにそう言われてみれば? でもそれは夏江が桜井さんと付き合い始めたからじゃないか? ほら、今は桜井さんと二人で昼飯を食ってんだろ?」
「いや、まぁそれはそうなんだけど、でも和樹だって最近は学食に行ってるんだろ? たまには俺と一緒に教室で食おうぜー?」
「え? あ、あぁ、そうだなー」
そういえば俺は学食で昼飯を食ってるという事になっていたんだっけ。
「でも最近は和樹と全然近況報告が出来てなかったから、今日は色々と話したい事が沢山あったんだよなー」
「へぇ、そうなのか? 例えばどんな事が聞きたかったんだよ?」
「はは、そんなのもちろん佐々木さんの事だよー! さっきも思ったんだけどさ、何だか和樹って最近佐々木さんとめっちゃ仲良いよな?」
「え?」
という事で夏江は唐突に俺と佐々木さんの話を尋ねてきた。どうやら傍から見て最近の俺と佐々木さんは仲がとても良さそうに見えるようだ。
「そ、そうかな? まぁでも佐々木さんってサバサバとしてて話しやすいし、大体皆に対して仲良くしてないか?」
「まぁそれは確かに和樹の言う通りだな。佐々木さんって男子が相手でもめっちゃ気さくに話しかけてくれるし、俺も話しやすいなーっていつも思ってるけど……でも他の男子達なんかよりも和樹の方が佐々木さんと話してる頻度は圧倒的に多いからな?」
「え、そ、そうなのかな?」
夏江はそんな事を俺に言ってきた。でも俺はそんな自覚はなかったのでちょっとだけビックリとしてしまった。
「あぁ、そうだろー。だって休み時間に和樹と佐々木さんが楽しそうに話してるのとかよく見かけるし、それにテスト前に佐々木さんと二人きりで教室とか図書室で勉強会とかしてたんだろ?」
「ま、まぁそれはそうなんだけど……ってか何でその事を夏江が知ってるんだよ?」
「はは、そりゃああんだけ毎日一緒にいるところを見てたらな。まぁでも二人とも別に隠してる様子は一切無い感じだったから、俺達も深くは追及してなかったってだけで、普通にクラスの皆は今の俺と同じような事を思ってると思うぞ」
「あ、そ、そうだったのか」
まぁ確かに佐々木さんと勉強会をしてるのは別に秘密とかにはしてなかったし、誰かに見られてたとしても全然おかしくはないよな。
「でも佐々木さんとそこまで仲良くなってるなんて、何か仲良くなるきっかけとかでもあったのか?」
「えっ? あー、えぇっと……」
何でと言われたらお昼休みにいつも佐々木さんと二人きりでご飯を食べているからなんだろうけど……でもその事は佐々木さんとの二人だけの秘密にしておきたかったので、俺はちょっと言葉に詰まってしまった。
「ん? どうしたよ?」
「あぁ、いや、まぁ何というか……あ、ほら! 俺って一年の頃から図書委員をやってるだろ? それで実は佐々木さんも結構本を借りに来る事が多いんだよ。だから佐々木さんとは図書室で本の話とかする事も多くてさ、そのおかげで凄く仲良くなったんだよ」
「あぁ、確かにそういえば和樹って図書委員だもんな。へぇ、それで和樹と佐々木さんは本好きっていう繋がりがあったんだな」
「あぁ、そうそう。そうだったんだよ。だからその本繋がりで他の男子よりも仲良くなった感じだよ」
「なるほどな。そういう事だったのか」
という事でかなり無理矢理な感じだったけど、それでも何となく誤魔化す事には成功した。でも……。
(でも……何で俺は佐々木さんと二人きりでご飯を食べてる事を秘密にしたかったんだろう?)
それは二人きりでご飯を食べてるのが誰かにバレると恥ずかしい……とかそういう思春期的な思想で言いたくなかったという事では決してない。そもそもそんな事を考えてるヤツが二人きりの勉強会を誘うわけないし。
だから佐々木さんと二人きりで勉強会をしてるのは全然隠すつもりもなくオープンにしてたけど、でも二人きりでお弁当を食べてるのだけは誰にもバレたくないなと思っていた。
でも何で俺は佐々木さんと二人きりでお弁当を食べている事だけは誰にもバレたくないと思っているんだろう?
(うーん、この気持ちは一体……?)
俺はそんな自分の気持ちについて考えつつも、その後も夏江と一緒に他愛無い話をしながら昼飯を食べ始めていった。
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