第24話:佐々木さんにドーナツの感謝を改めて伝えていく
翌日の朝。
「おはよう、佐々木さん」
「うん、おはよう。山田」
教室に入ると既に佐々木さんがいたので、俺は佐々木さんに挨拶をしていった。そしてそのまま俺は昨日の件について話していった。
「昨日はドーナツをお土産にくれてありがとう。妹にあげたら物凄く喜んでくれたよ。“美味しかったです、ありがとうございました!”って妹から感謝の言葉を預かってるよ」
「そっか。それなら良かった。妹さんが美味しく食べてくれたのなら私も嬉しいわ」
真唯からの伝言を伝えていくと、佐々木さんは嬉しそうに笑みを浮かべながらそう返事を返してきてくれた。
そしてその時、俺は佐々木さんに聞きたい事があった事を思い出したのでそれについても聞いてみた。
「あ、そうだ。それで佐々木さんにちょっと聞いてみたい事があるんだけどさ……あれって俺でも作れたりするかな?」
「え? あれって……ひょっとして昨日私がアンタにあげたドーナツの事?」
「うん、そうそう。あの揚げドーナツの事だよ」
佐々木さんはキョトンとした表情でそう尋ね返してきたので、俺はそうだよと言いながら頷いていった。
「うーん、まぁ材料は少ないから簡単な部類のお菓子だとは思うけど、でも油を大量に使うから初心者にはオススメしないわね。だって油の片付けって普段料理をしない人にとってはかなりメンドクサイと思うからさ」
「あぁ、なるほどね。後片付けの部分は全然考えてなかったな……。うん、確かにそう言われてみたら油系の片付けって何となくだけどかなり大変そうだよね」
確かに佐々木さんにそう言われてみたら、揚げ物とか油を大量に使う料理は素人が手を出しちゃ駄目そうな気がしてきた。
だって普段料理をしない俺でも油の片付けって物凄く大変そうなイメージはあるしさ。
「えぇ、そうなのよ。まぁ料理工程自体は簡単なんだけど、後片付けのメンドクサさを考えたら山田みたいな初心者にはちょっとオススメは出来ないわね」
「うん、なるほどね。それは先に聞いといて本当に良かったよ……」
「? 何かの参考になったなら良かったけど……でもそんな事を急に聞いてくるなんてどうしたのよ? あ、もしかして妹さんにお菓子でも作ってあげたくなったとか?」
「あぁ、うん。実はそうなんだ。佐々木さんの作ってくれたドーナツを妹が物凄く喜んで食べてたからさ……だから俺も何か妹に作って喜ばせてあげたいなーって思ってさ」
「ふぅん、なるほどねー。だけど妹さんのためにそんな事をしてあげたいなんて思うなんて……ふふ、意外と山田って結構良いお兄ちゃんなのね?」
「はは、まぁね。実の妹の事が嫌いな兄貴なんていないさ」
佐々木さんの質問に対して俺は笑いながらそう答えていった。まぁやっぱり妹の事が大切じゃないって思う兄貴はいないはずだよな。
「そっか。うん、それじゃあそんな妹思いのお兄ちゃんのために何か簡単なお菓子のレシピを教えてあげようか?」
「え……えっ!? 本当に!? うん、それは凄く助かるよ! 何か俺みたいな初心者でも簡単なお菓子レシピがあったら教えてよ」
佐々木さんがそんな嬉しい提案をしてきてくれたので、俺は是非ともお願いをしていく事にした。
「うん、わかったわ。えぇっと、それじゃあ……って、そういえば山田は普段は料理とかはしないんだっけ?」
「うん、そうだね。電子レンジでチンをしたり、カップラーメンにお湯を注いだりとかするくらいだよ。あとはお菓子作りって程ではないけど……まぁ妹にお願いされてホットケーキミックスを買ってきて一緒にホットケーキを作った事があるくらいかな」
「ふむふむ、なるほどね。そういう事なら……カップケーキとかどうかしら?」
「カップケーキ? それってどんなお菓子なの?」
「カップケーキはホットケーキミックスを使って作れる簡単なケーキよ。まぁでも触感的にはケーキというよりも蒸しパンに近いかもね」
「へぇ、そうなんだ?」
カップケーキについて尋ねていくと佐々木さんは頬に指を当てながらそう答えてきてくれた。
「まぁホットケーキミックスなら俺も親しみはあるし、それなら料理初心者の俺でも何とか作れそうかな?」
「うん、そうね。多分山田が思っている以上に簡単なお菓子だと思うわ。私が小学生の頃に始めて作ったお菓子だし、失敗せずに作れたから山田でも作れるわよ」
「なるほどね。佐々木さんのお墨付きがあるなら俺でも出来そうだね!」
「うん、そうね。それにフライパンとか使わずに電子レンジだけで簡単に作れるから洗い物も少なくて料理初心者にはオススメよ。火を一切使わないし危ない工程とかも全然無いから妹さんと一緒に作ってあげたら楽しいんじゃないかしらね?」
「へぇ、電子レンジで作るんだね! それなら確かに妹と一緒に作るのも良さそうだね! うん、それは是非とも作ってみたいな!」
佐々木さんの提案してくれたカップケーキはとても魅力的だった。
洗い物が少なく済むのは非常に助かるし、それに妹と一緒に作れそうなものを紹介してくれるなんて……うん、これは是非とも作ってみたいな!
「そっか。うん、わかったわ。それじゃあ後で材料と作り方はLIMEで教えてあげるわね。作るコツとかポイントを色々と記載しておくからちゃんとそれを見て作りなさいよ」
「え、本当に!? いや、それは俺としてはかなりありがたいけど……でもそれって佐々木さん的に結構大変じゃない?」
「ううん、全然大丈夫よ。小学生の時に初めてカップケーキを作った時に自分用にレシピを保存してあるのよ。だからそれを写真で撮って送るだけだから別にアンタは気にしなくて良いわよ」
「そっか。うん、ありがとう! それじゃあ是非ともよろしく頼むよ!」
「うん、りょーかい」
という事で俺は佐々木さんの厚意で、その日の夜にカップケーキの材料や作り方とかが記載されているレシピをLIMEで送って貰えたのであった。
(す、すごいなこのレシピ……!)
そしてなんと佐々木さんに送ってもらったレシピは手描きのレシピだった。
とても可愛らしい文字とイラストで丁寧に作り方を書いてくれていた。そのレシピを見ただけでも佐々木さんの料理が大好きだという思いが十分に伝わってきた。
そして佐々木さんが言ってたように材料は少なく、作り方もとても簡単だった。これは是非とも今度真唯に作ってあげようと思った。
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