第23話:真唯と一緒にドーナツを食べていく

 その日の夜。


「いただきまーす!」

「いただきます」


 俺は今日もいつも通り真唯と二人きりで晩御飯を食べていた。ちなみに今日の晩御飯は母親特製のカレーライスだ。


「うん! やっぱり家のカレーって一番美味しいよねー!」

「あぁ、確かにそうだよな。俺もコンビニとか学食とかでカレーを食べる事は結構多いけど、でもやっぱり母さんの作るカレーが一番美味しいなって感じるよなー」

「うんうん、私も同じ感じだよー。私も給食のカレーは美味しくて大好きだけど、でもやっぱりお母さんの作るカレーが一番大好きだなー!」

「はは、やっぱりそうだよなー」


 俺と真唯はそんなカレー談義で盛り上がりながら一緒に晩飯を食い進めていった。


「それにしても“給食”って何だか懐かしい響きだなー。最近の小学校の給食ってどんなメニューがあるんだ? 良かったら真唯の好きな給食メニューとかあったら教えてくれよ」

「うん、良いよー! えっとねー……まぁカレー以外で好きなのはやっぱり揚げパンかなー? 甘い砂糖が沢山振るってあってすっごく美味しいの!」

「へぇ、揚げパンって今もまだ人気の給食メニューなんだな! あれめっちゃ砂糖が振ってあって美味しいんだよなー。俺も小学校の給食で一番好きなメニューだったよ」

「あ、お兄ちゃんも大好きだったんだね! あれ砂糖が沢山かかっててすっごく美味しいよね!」

「あぁ、本当になー……って、あ、そうだ! そういえばさ、今日は俺の友達から真唯宛てにドーナツをお土産に貰ってきたんだったわ。良かったら食後に一緒に食べないか?」


 そしてその時、俺は佐々木さんからドーナツを譲って貰った事を思い出したので、それを真唯に伝えていった。


「え!? ドーナツ? うん! 食べたい食べたい! でも何で私宛に?」

「あぁ、実はちょっと前にさ、料理が得意な友達に真唯の話をしたんだ。妹の真唯が甘い物が大好きだっていう話をさ。そしたらそんな甘い物が大好きな真唯にプレゼントって事で手作りのドーナツを作ってくれたんだ。俺も放課後に食べさせて貰ったんだけどめっちゃ美味しかったぞ!」

「え、そうなんだ! あはは、それは嬉しいなー! うん、それは大切に食べなきゃだね! それじゃあ後で一緒に食べようお兄ちゃん!」

「あぁ、そうだな! それじゃあカレーを食べ終わったら一緒に食べような」

「うん!」


 という事で俺達は食後のデザートに佐々木さんから貰った揚げドーナツを食べていく事にした。


◇◇◇◇


 そしてそれから程なくして。


「ご馳走さまでした」

「ご馳走さまでした!」


 俺達はカレーを食べ終えていったので、一緒に手を合わせながらご馳走様と声を上げていった。


「よし、それじゃあお兄ちゃん! デザートのドーナツ食べようよー!」

「あぁ、わかったよ。それじゃあ友達から貰ったドーナツを持ってくるから少し待っててな」

「うん!」


 そう言って俺は台所に置いておいたドーナツの入った小包みを手に持ってリビングに戻ってきた。


「ほら。これだよ」

「おぉー! 一口サイズの揚げドーナツだ! 砂糖もたっぷりかかってて凄く美味しそうだね! いやでもこれお店で買ってきたんじゃなくてお兄ちゃんの友達が手作りで作ったの? そのお兄ちゃんの友達ちょっと凄すぎじゃない!?」

「あぁ、そうなんだ。マジで凄いよな。それじゃあ食べちゃってくれよ」

「うん、それじゃあ早速……頂きます!」


 そう言って真唯はドーナツを一口パクっと食べ始めていった。すると……。


「うん! すっごく美味しいよ! 中はふわふわしっとりで……それに砂糖もかかっていて丁度良い甘さで最高に美味しいよ!」

「はは、そっかそっかー。それだけ美味しいって思ってくれたならきっと佐々木さんも喜んでくれるだろうな」

「もぐもぐ……佐々木さん? もしかしてそのお友達って女の人なの? もぐもぐ」

「ん? あぁ、そうだよ。佐々木さんは女の子の友達だよ」

「もぐもぐ……へぇ、そうなんだ? なるほどねぇ……ふふ、それはお兄ちゃんやるねぇ! もぐもぐ」

「? やるって……どういう事だよ?」


 真唯はニヤニヤと笑いながらも一口サイズのドーナツをもぐもぐと食べ進めていった。


「ううん、何でもないよー。あ、それじゃあその佐々木さんって人にドーナツすっごく美味しかったです、本当にありがとうございました! って伝えといてね! 絶対にだよ!」

「あぁ、わかったよ。必ず伝えておくよ」


 真唯は満面の笑みを浮かべながらそんな伝言を俺に頼んできた。これは明日になったらちゃんと佐々木さんに報告をしなきゃだな。


「うん、ありがとうお兄ちゃん! ふふ、でも本当にすごいね、その佐々木さんって人! こんなお店レベルのモノを自分で作れるなんて本当に凄いよ!」

「あぁ、本当にそうだよな。俺もいつも本当に凄いなって思ってるよ」

「うんうん、そうだよね。でもいいなー、こんな美味しいお菓子を作れたら毎日食べれて最高だろうなぁ……」

「はは、確かにそうかもな」


 真唯はそう言ってちょっと羨ましそうな表情をしていった。そしてそんな真唯の羨ましそうな顔を見ていると……俺はちょっとだけある事を考えていった。


(うーん、真唯のために簡単なオヤツとかなら……俺にも作れたりしないかな?)


 流石に本格的な料理を作るってのはハードルが高すぎて無理だとは思う。


 でも簡単なレシピのオヤツとかなら俺でも作れるモノがあるんじゃないかなってちょっとだけ思い始めていった。佐々木さんにちょっと相談してみようかな?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る