第22話:佐々木さんにお土産にドーナツを貰っていく
その後も俺達はドーナツを食べながら休憩をしていっていた。
「だけど色々な料理を作れるって本当に凄いなー」
「ふふ、もう同じ事を言い過ぎよ。でも山田ってどんな料理を作ってもいつも美味しそうに食べるわよね。何か嫌いな食べ物とかはないの?」
「いや嫌いな食べ物とかは特には何もないかな。基本的に何でも美味しく食べれるよ!」
「何でも美味しく食べられるってのは凄く良い特技ね。あ、それじゃあ逆に好きな食べ物とかはある? 例えば私が今まで作ってきたお弁当の中で好きな食べ物とかはあった?」
「佐々木さんのお弁当で? うーん、そうだねぇ……あ、そういう事なら俺は卵焼きが一番好きかな! いつも佐々木さんのお弁当に入っているあの甘い味付けの卵焼きが大好きなんだよね!」
佐々木さんにそんな事を尋ねられていったので、俺はすかさずに卵焼きが好きだと言っていった。
佐々木さんのお弁当はいつも本当に美味しいんだけど、その中でも俺は佐々木さんがいつも作ってくれてる甘い卵焼きが大好きだった。
「へぇ、卵焼きが好きなんだ。あ、まぁでも確かにいつもちょっと甘めに作ってたから山田の好きそうな味なのかもね」
「うん、そうなんだよね! いつもちょうど良い甘さ加減で凄く美味しい卵焼きだなって思ってたよ。それに実は俺も妹も卵料理が特に大好きなんだよね。だからオムライスとかオムレツか、そういうのを見ると凄くテンションが上がっちゃうんだよね!」
「あはは、何よそれ? オムライスでテンションが上がる兄妹だなんて、何だか楽しそうな兄妹ね。凄く仲が良さそうで羨ましい限りだわ」
「それは周りからもよく言われるよ。お前の家は兄妹仲が物凄く良いなってさ。そういう佐々木さんは兄弟とか姉妹はいないの?」
「うん、私は一人っ子よ。だから山田みたいに可愛い妹がいるのは羨ましいわ。それじゃあこれからも妹さんとはすっごく優しくしてあげなさいよ?」
「はは、もちろんだよ」
という事で俺は笑いながらそう返事を返していった。
「あ、でもそういえば佐々木さんのお弁当の中っていつも卵焼きが入っているよね? 実は佐々木さんも卵焼きがかなり好きだったりするの?」
「えっ? あ、あぁ、うん、まぁそうね。でも私も山田と同じでオムライスとかオムレツとか卵料理なら何でも大好きなのよ。だからお弁当の中にはいつも一番作りやすい卵焼きを入れてるって感じね」
俺がそんな事を尋ねていくと佐々木さんも卵料理が好きだという話を教えてくれた。何だか好きな物が被っているのはちょっと嬉しいな。
「へぇ、そうなんだ。でも何となくだけど卵焼きって作るの難しそうなイメージがあるんだけど実際にはどうなのかな? あれって焦がさないで作るのかなり難しいんじゃない?」
佐々木さんの作る卵焼きはいつも焦げが一つもない綺麗な黄色い卵焼きだった。実はあれってかなり凄い事な気がするんだけどどうなんだろう? そう思って俺は何の気なしにそう尋ねていった。
「あー、うん、確かにそうかもね。私も初心者の頃はいつも焦げ焦げの卵焼きばかり作っちゃたもん。まぁコツを掴んでからはだいぶ綺麗に作れるようになったけど、でもコツを掴むのに結構時間がかかっちゃったわね」
「へぇ、なるほどね。あはは、というか佐々木さんでもちゃんと初心者の頃があったんだね」
「ふふ、そんなの当たり前でしょ」
俺がそう言うと佐々木さんは笑いながらそう言ってきた。
「あはは、そりゃあそうだよね。あ、そうだ、それじゃあさ、逆に佐々木さんが好きな食べ物とかはあるの? 前に得意料理はハンバーグだってのは聞いたけどさ、佐々木さん自身はどんな料理が好きなのかな?」
「私の好きな料理? うーん、そうねぇ……まぁやっぱりお肉が一番好きかな? 部活がある日はやっぱり体力を沢山使うし、そのためにもガツンとお肉を食べたくなっちゃう日が多いわね」
「あー、なるほどね。うん、確かにそうだよね」
佐々木さんがそう言ってきた瞬間、俺はおもわず佐々木さんの胸部に注目をしていった。
(これ程までにすんごい身体を作り出すためには、毎日しっかりと運動をしていって、さらに沢山のお肉を食べていく事が必要なんだろうなぁ)
俺はそんな事を思いながら改めて佐々木さんのグラマラスボディを眺めていった。本当に佐々木さんは健康的で素晴らしい身体付きだなと改めてそう思った。
でもこれだけ魅力的な身体を持っていると海とかに行ったら見知らぬ男の人から沢山ナンパとかされちゃいそうだよな……。
(いや、それは何だか物凄く嫌だな……って、あ、あれ?)
ふとそんな事を想像していった時、俺の胸の奥側がちょっとだけチクっとしだした。佐々木さんが沢山の人にナンパされるのは何だか凄く嫌だった。
でも何で俺は佐々木さんが他の誰かにナンパなんてされたら嫌だって思ったんだろう?
(うーん? この気持ちってどういう事なんだろう?)
「? どうしたのよ?」
「え? あ、あぁ、いや、何でもないよ!」
佐々木さんはキョトンとした表情で俺の事を見てきたので、俺は何でもないと言って咄嗟に誤魔化していった。
というか佐々木さんの水着姿を想像してたなんて言えるわけもないしな。そんなの完全なるセクハラだし。
「そう? それならまぁ良いんだけど。それじゃあもうそろそろ休憩も終わりにして勉強に戻ろっか? もう十分と休憩も取れたよね?」
「うん、そうだね。それじゃあ改めてドーナツごちそうさまでした! すっごく美味しかったよ、本当にありがとう!」
「うん、お粗末様でした。まぁそれだけ喜んでくれたのは私も嬉しいし、たまに気分が乗ったらまた作ってあげるわよ。あと、それじゃあ……はい、これもあげるわ」
「え……って、えぇっ? も、もう一袋あったの!?」
佐々木さんはそう言って学生鞄の中からドーナツが入っている小包みをもう一つ取り出して俺に手渡してきてくれた。
「うん。アンタの妹さんも甘い物が好きなんでしょ? だからこれは妹さんへのプレゼント。まぁよかったら兄妹で仲良く一緒に今日のオヤツとして食べてちょうだいよ」
「ま、マジで!? あ、ありがとう佐々木さん! これは絶対に妹の真唯も喜ぶよ!! 佐々木さんのドーナツめっちゃ美味しかったしね! だから本当にありがとう佐々木さん!!」
「ちょ、ちょっと、だから喜びすぎだって……それにドーナツだって全然普通の味なんだからそんな大喜びする事じゃないわよ。ま、全くもう……ふふ」
佐々木さんから妹のためにそんな嬉しいプレゼントを手渡してきてくれたので、俺はテンションを凄く上げて喜びながらそれを受け取っていった。
そしてそんな俺のテンションを上げた様子を見ていた佐々木さんは恥ずかしそうに顔を赤くしながらも、どこかちょっと嬉しそうな様子だった。
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