第21話:翌日も佐々木さんと一緒にテスト勉強をしていく

 翌日の放課後。


 教室にて。


「あ、山田さ、これってどうやって解くの?」

「うん? あぁ、これはね……」


 今日も俺は佐々木さんと一緒にテスト勉強をしていっていた。ついに来週の月曜から中間テストが始まるので、テスト勉強もいよいよ大詰めといった所だ。


「あぁ、なるほど! うん、理解できたわ! ありがとね、山田」

「全然大丈夫だよ。また何かわからない問題があったらいつでも言ってね」

「うん、わかった! あ、山田も何かわからない問題とかあったら聞いてくれていいわよ? 英語とか古文とかなら全然教えられるからね?」

「あ、本当? それじゃあちょっと古文でわからない問題があるから教えて欲しいんだけど……この問題を教えて貰っても良いかな?」

「うん、もちろん良いわよ。ふふん、それじゃあ私が懇切丁寧に解説してあげるからしっかりと聞きなさいよ?」

「はは、わかったよ。よろしくお願いします、佐々木先生」


 そんな感じで俺達はお互いにわからない問題を教え合いながら、来週の中間テストに向けてしっかりと勉強を行っていった。


◇◇◇◇


 それから数時間後。


「ふぅ、流石にちょっと疲れちゃったね。少し休憩にしようか?」


 今日はテスト勉強も大詰めという事でかなり集中して勉強をしていってたからか、何だかいつもよりも疲れが出てしまった気がする。


 だから俺は佐々木さんに向けて休憩の提案をしてみた。


「そうね、私も疲れちゃったし休憩にしましょうか。あ、そうだ。それじゃあ……はいこれ」

「え?」


 佐々木さんはそう言って学生鞄の中から何やら小さな包みを取り出してきた。


 なので俺はキョトンとしながらもその小包みを眺めていってみた。どうやらその小包みの中にはお菓子が入っているようだ。


「えぇっと、これって……もしかしてドーナツかな?」

「うん、そうよ。ちょっと甘めに作っといたから、糖分補給にちょうど良いと思うわよ。ほら、山田って甘い物が好きなんでしょ? だから休憩する時にちょうど良いかなって思ってね」

「へぇ、なるほど……って、えっ? それじゃあこれってもしかして……佐々木さんの手作りなの?」

「うん、私が作ったドーナツよ。まぁ、アンタの口に合うかはわからないけど、それでも良かったらどーぞ」

「そうなんだ! うん、それは凄く嬉しいよ! ありがとう佐々木さん!」


 そう言いながら佐々木さんはドーナツの入った小包みを俺に近づけてきてくれたので、俺は満面の笑みを浮かべながらそれを素直に受け取っていった。


 そして俺はすぐに小包みの中からドーナツを取りだしていき、佐々木さんが作ってくれたドーナツをじーっと眺めていった。


 一口サイズの丸い形状で表面には砂糖でコーディングされていてとても美味しそうな揚げドーナツだった。もう見ただけで絶対に美味しいってわかるやつだよ。


「それじゃあ早速食べさせて貰うね。いただきます!」

「うん、どうぞ」


 俺はそう言いながらドーナツを口の中に頬張っていった。


「えっ、何これ凄っ!? めっちゃフワフワな触感で、甘さも丁度良くて……これリアルに幾らでも食べれちゃいそうだよ! すっごく美味しいよ!」

「ふふ、そっかそっか。山田の口に合ったようで良かったわ」


 俺はそう言いながら佐々木さんが作ってきてくれた揚げドーナツをパクパクと食べ進めていった。


 そしてそんな俺の様子を見て佐々木さんはふふっと笑ってきていた。


「うん、これ本当に凄く美味しいよ! ありがとう佐々木さん! でも佐々木さんってオカズとかメインの料理だけじゃなくてお菓子とかも作れるんだね! 色々なモノを作れるなんて本当に凄いよ!」

「い、いや、そこまで褒められるとちょっとこそばゆいんだけど……ま、まぁでもこの揚げドーナツに関しては簡単に作れるモノだからそこまで大したものじゃないからね?」

「いやいや、絶対に大した事あるって! 佐々木さんは本当に凄いよ! そしてこんなにも美味しいモノをいつも食べさせてくれてありがとう! いつも凄く感謝してるよ!」

「ん、そ、そう……」


 俺は佐々木さんに向けて感謝の気持ちを全力で伝えていくと、佐々木さんはちょっと恥ずかしそうにしながらも横髪をクルクルと指で弄りながらそう言ってきた。


 そして俺はそれからも作ってきてくれたドーナツをパクパクと食べ進めていきながらも、こんな事を佐々木さんに言ってみた。


「いやー、それにしてもドーナツって家でも作れるものなんだね。何だかドーナツって専門のお店で食べるお菓子っていうイメージがあったからちょっとビックリしたよ!」


 それに何となくだけどパンとかドーナツみたいな小麦粉メインの料理って家で作るのは滅茶苦茶難しそうなイメージがあるんだよなー。まぁこれは料理をしない俺の勝手なイメージではあるんだけどさ……。


「あー、まぁ確かに山田のそのイメージは結構皆も思ってる事かもね。でも今日作ってみたドーナツはホットケーキミックスを油で揚げただけだから本当に誰でも簡単に作れるモノなのよ」

「え、これってホットケーキミックスで作れるの? へぇ、何だかそう聞くと結構身近な感じに聞こえるね。だけどよくそんなお手軽レシピを知ってたね? そういうお手軽レシピとかも普段から調べてるの?」

「あぁ、うん。これはあれよ。前に図書室で借りてきた本の中に書いてあったレシピなのよ。これなら簡単に作れそうだなって思って今日試しに作ってみたの」

「あ、そうなんだ。なるほどね!」


 確かにちょっと前に佐々木さんが図書室でレシピ本を借りに来てくれた事があったっけ。


「でもレシピを見つけてすぐに料理をしてみるなんて本当に凄いよね! 俺だったら作りたいレシピを見つけても多分すぐには作らないでそのまま忘れちゃいそうだなぁ……」

「あはは、いや私も普段はそういう事の方が多いわよ。レシピを調べていつか作ろうと思って結局作らないで忘れちゃうって感じでね。まぁでも……今回はちょっと特別というか……ほら、山田は甘い物が好きだって言ってたでしょ? だからその……今日のオヤツにちょうど良いかもなって思って作ってみたのよ」

「え……って、えっ? そ、それじゃあもしかして……このドーナツって俺のために作ってきてくれたってこと?」

「う……そ、そうよ。文句ある?」


 佐々木さんは顔をちょっと赤くしつつジト目になりながらそう言ってきた。なので俺はすぐに笑みを浮かべながらこう言っていった。


「あはは、文句なんてあるわけないよ! うん、それじゃあ本当にありがとう佐々木さん! こんなにも美味しいドーナツを作ってくれて凄く感謝だよ!」

「ん……まぁそう言ってくれたらその……私も作ってきた甲斐があるってものよ。ふふ」


 という事で俺は改めて感謝の気持ちをしっかりと伝えていくと、佐々木さんは嬉しそうにふふっと笑みを浮かべていった。

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