第20話:朝のホームルーム前に佐々木さんと話していく

 翌日の朝。


「おはよう、佐々木さん」

「ん? あぁ、おはよ、山田」


 学校に登校すると教室には一足早く佐々木さんがいた。なので俺はいつも通りな感じで佐々木さんに挨拶をしていった。


 しかし佐々木さんはちょっとだけ申し訳なさそうにしながら俺に向かってこう言ってきた。


「あ、そういえば昨日はごめんね。昨日も一緒に勉強会をする約束だったのに、それなのに急に予定が入っちゃって先に帰っちゃってさ……」

「いやいや、そんなの全然気にしないで良いよ。家の用事があったんだし仕方ない事でしょ」

「うん、ありがと。そう言ってくれると助かるわ。あ、今日は大丈夫だから、またいつも通り勉強会をお願いしたいんだけど……山田は今日は大丈夫そう?」

「もちろん俺は大丈夫だよ。それじゃあ今日もよろしくね!」

「うん、こちらこそ」


 という事で今日も俺達は一緒に勉強会をする事が決まっていった。


 そしてそのまま俺達はホームルームが始まるまでの間ノンビリと雑談をしながら過ごしていく事にしていった。


「そういえば山田は昨日の放課後は何してたの? 山田も昨日はすぐに帰ったの?」

「いや昨日は俺は夏江と二人で勉強会をしてたよ。せっかくだしその時に夏江と桜井さんのカップル話とかも色々と聞かせて貰ったよ」

「あぁ、そうなんだ。ふふ、私も時々春香に話を聞いたりするけど、いつもすっごく仲良しだよね。あれだけ仲良しのカップルだと本当に羨ましいわ」

「はは、それは俺もめっちゃそう思うよ。あ、そういえば来月には二人で千葉の方にあるランドに行ってくるらしいよ」

「へぇ、そうなんだ? いいなー、私も久々にランドに行きたいなー。私が最後に行ったのは去年の冬休みに部活の女子メンバーで行ったのが最後かな? まぁ今年も冬休みにも同じメンバーで行く予定なんだけどね」


 佐々木さんは楽しそうな表情を浮かべながらそんな事を言ってきた。


「へぇ、そうなんだ。それじゃあ佐々木さんのランド土産を期待しておいても良いのかな?」

「そんなのもちろん良いわよ。というか山田は友達なんだから、言われなくてもちゃんとお土産くらい買ってきてあげるわよ」

「はは、そりゃあ良かった。それじゃあ早すぎるけどお土産期待してるね!」


 佐々木さんにそんなお願いをしてみるともちろん良いと即答で言ってきてくれた。


 佐々木さんも俺の事をちゃんと仲の良い友達だと思ってくれているようで、何だかそれは普通に嬉しいよな。


「本当に早過ぎよ。まぁ別に良いんだけど。それじゃあお土産は何を買ってきて欲しいとかある? あ、せっかくだしマスコットキャラの付け耳でも買ってきてあげよっか? もしかしたら山田に似合うかもよ??」


 佐々木さんはクスクスと冗談っぽい感じの笑みを浮かべながらそんな事を言ってきた。


「い、いや流石にそれは貰ってもちょっと困るなぁ。出来れば普通のお菓子系でお願いするよ」

「あはは、そうだよね。うん、わかったわ。それじゃあ何か甘そうなお菓子でも買ってきてあげるわね……って、あ、でもさ、そういえば山田って甘い物とかは大丈夫な方なの?」

「え? どういう事?」

「いや、何か男子って甘い物はあんまり得意じゃない人が多そうなイメージがあったからさ。だから一応山田の好物を先に聞いといた方が良いかなって思ってね」

「あぁ、なるほどね」


 確かに甘い物が苦手だっていう男の人ってそれなりに多いよな。夏江も甘い物はあまり食べないイメージがあるしな。まぁでも俺は……。


「いや、俺はむしろ甘い物は大好きだよ。いつもチョコとか飴とか食べてるしさ。あとは妹がいるから一緒に出かけるとアイスとかクレープとか買い食いする事も多いんだよね」

「へぇ、そうなんだ。って、山田って妹がいたんだ?」

「うん、小学一年生の妹が一人いるよ。俺と同じで甘い物大好きだからついつい一緒になって甘い物を爆食いしちゃうんだよねー」

「あはは、そうなんだ。でも妹さんと一緒に出かける事が多いなんて、何だか兄妹仲が凄く良さそうね?」

「うん、そうだね。休みの日とかはしょっちゅう一緒にゲームとかアニメとか見てるしね。だから割と仲は良い方だと思うよ」

「ふふ、なるほどね。わかった、それじゃあお土産には妹さんと一緒に食べられるような大容量なチョコでも買ってきてあげるわね」

「えっ? 本当に?? あはは、それはすっごく嬉しいなー! うん、それじゃあお土産楽しみにしてるね!」

「うん、わかったわ」


 佐々木さんは微笑みながらそんな約束をしていってくれた。これはきっと真唯も喜ぶだろうな。


「あ、それじゃあ俺も何処かに遊びに出かける時は佐々木さんにお土産とか渡さないとだね。そういう佐々木さんは甘い物とかは得意な方なの?」

「うん、私も甘い物は大好きだよ。最近も香澄と一緒にケーキ屋さんに行ってきたばかりだしね。あ、良かったら写真見てみる? その時に注文したケーキの写真を撮ってみたんだけどさ」

「あ、うん、見たい見たい!」

「わかった。それじゃあちょっと待っててね……えぇっと、はいこれ」


 そう言って佐々木さんはスマホを取り出して俺にケーキの写真を見してきてくれた。


「おー、これは美味しそうなケーキだね! というか佐々木さんって写真撮るの自体も物凄く上手いね! 写真の構図とか光の加減とかバッチリだよ! もしかして写真を撮る勉強とかもしてるの?」


 俺は佐々木さんに見して貰ったその写真を見て素直にそう伝えていった。そう思うくらいに上手に撮れている写真だった。


「え? そ、そうかしら? いや自分ではよくわからないけど……まぁでもいつも自分で作った料理の写真を撮影してるから、だから気が付いたらいつの間にか撮るのが上手くなったのかもね」

「へぇ、そうなんだ……って、え!? それじゃあ今までの佐々木さんの作った写真も保存されてるの?」

「え? う、うん、まぁね?」

「へぇ、それは凄いね! 良かったら佐々木さんの今まで撮ってきた写真も見してよ! めっちゃ見てみたいなー!」

「え……い、いやそんな大した写真じゃないわよ? だって私がいつも家で作ってる普通の料理の写真だし……」

「いやいや、それでも俺は佐々木さんの作ってきた料理の写真が凄く気になってるよ! だから良かったら見して欲しいんだけど……駄目かな?」

「う……ま、まぁ、そう言ってくれるのなら……うん、良いわよ。それじゃあちょっとだけ見してあげるわ。だから少し待っててね」

「うん、わかった!」


 そう言って佐々木さんはちょっとだけ嬉しそうにしながらスマホの写真を探し始めていってくれた。


「えぇっと……あぁ、見つけたわ。それじゃあ、はいこれ。料理アルバムになってるから適当にスライドしちゃって良いわよ」

「うん、わかった。それじゃあ早速……って、うわぁ! これは凄く美味しそうな写真だね! それにこっちの写真の料理も凄く綺麗で美味しそうだよ!」


 佐々木さんが見してくれた手料理の写真はどれも綺麗でとても美味しそうだった。


「うん、やっぱり佐々木さんは本当に凄いよ! こんなにも沢山の料理を作れるのは本当に凄いよね! それにどれも実際に食べて見たくなるような美味しそうな写真ばっかりだったよー!」

「そ、そうかな? ふふ、そんなに褒められても何も出ないわよ。でも……そう言ってくれてありがとね、山田」


 俺はテンション高めにそんな事を伝えていくと、佐々木さんは嬉しそうに微笑みながらそう返事を返してきてくれた。

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