06話 レベルアップしたみたいです。
出会った熊さんを倒して、必死に逃げて、最初に目覚めた場所に戻ってから、たぶん一時間後…
私は少し疲れたので木陰で休んでいた。
「なんだか、最初に目覚めた場所だからか、すごくここ落ち着くなぁ…
ふぁぁ、なんだか眠くなってきたし…」
(そんなに熊との戦いが疲れました?)
「そりゃあ、疲れるよ〜私、元の世界では帰宅部だったんだよ?
それにかなりの運動音痴でインドア派だったし、休みの日なんか外に一歩も出ないぐらいのもやしっ子なんだから。まぁだからか仲のいい友達は二人ぐらいしかいなかったけどね…
アユっちとめぐみんは元気でやってるのかな…?」
私は晴れた青空を見ながら、元の世界にいた友達のことを思って少しナイーブになっていたら…
(あっそういえば!逃げさせることだけに重点置いてたので、言うタイミング逃してたんですけど!
優梨さん、レベル1→レベル2にレベルアップしてましたよ!)
「いつの間にレベルが!ってそれもそうか…?あんなでかい熊さんを倒したんだし…?
ところで私、レベルが上がったことで、ステイタスの方は少しは強くなったりしたのかな…?」
(強くなりましたよ!体力は5→7、防御力は1→3、俊敏さは1→2、優れた勘も1→2にアップ!
そして新たに術力も追加されましたよ!)
「ほへ…?術力…?それってもしかして、術が使えるようになるとか…?」
(そうなんです!"術力"とはその言葉の通り、これから優梨さんは様々な術を覚えることが出来て、それを使えるようになるという訳なんです!)
「じゃあ!私も魔法使いみたいに炎や風とか水に草木とか色々操ったりして、攻撃できるようになるってことだよね!
それに空も飛べたりとか!そういうの小さい頃、憧れてたんだ〜!」
私がきらきらと瞳を輝かせて、夢見る乙女モードになっていると。
(テンションが上がっている所を申し訳ないのですが…優梨さん?
術力を使えるようになったからといって、すぐに難しい術を使えるかと言われるとそれは出来ないんですよ?)
「そっそうなの…?」
(はい。優梨さんは術を出す時に必ず必要となる、魔力の量には問題はないんですが…)
「まぁ百合パワーってチート能力があるもんね…」
(その通りです。ですが、難しい術を使うには術力の力が強くなくてはなりません!
なぜなら術力が弱い状態で難しい術を使ったりする行為は術酔いという反動を受けて大変、危ないからです!)
「ゴクリッ…術酔いね…?それってどんな感じに危ないものなの…?」
(例えば、敵味方も区別できなくなるくらい混乱して、魔力尽きるまで攻撃するとか、敵に使った術の威力、効果を自らもくらってしまう呪いにかかるとか、最悪、自分の命を落とすこともありますね…)
「怖っ!!術はなるべく使わない方向でやろうかな…?」
(あっでもですね!それはあくまで術力が弱いのに難しい術を使った場合のみです!)
「えー本当に…?」
(本当ですよ〜!信じてください〜!
この世界における術の全てには難易度があるんです!だから術力の弱くても出せる術もちゃんと存在しますから!)
「なるほど…術力が弱くても出せる術があるのか…
まぁ、それだったら、やってもいいかな!」
(それにレベルを上げて術力の値を上げていけば、難しい術もリスクなしに使えるようになります!)
「それもそうか。じゃあさ、じゃあさ!
今、使えそうな術って何があるの?あったら教えて欲しいな?」
(そっそれが期待させといてあれですが…まだ優梨さんの術力はたったの1ですから…出来る術はまだないんですよね…?)
「そっか…早く術を使ってみたかったんだけどなぁ…」
(ふっふっふ、だったらいい方法があるじゃありませんか?)
アイルちゃんは不敵な笑い方をした。
「そっそれって、もしかして…?」
(強くなるために森にいる色んなモンスター達と戦ってレベルアップしましょう!)
「やっぱりー!!さっき戦ったばっかりだよ!」
(さっきはさっきです!強くなるためにはちょっとでも多くのモンスターと戦って、レベルを上げるしかありません!)
「そりゃそうだけど…?」
「弱音を吐いてる場合じゃありませんよ!
試しはしたんですから!次からはビシッバシッと指導しますから覚悟してください!
目指せ、目標レベル5!では次に行きましょ!」
「アイルちゃんの鬼コーチ〜!!」
私は嫌すぎて、わがままを言う子供のように泣き叫んだのだった。
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