05話 妄想も時には魔力(パワー)になる。
「ガォウ!!」
すると後ろからムカムカベアーが全速力で追いかけてきた!
「いやぁーー!!熊さんが怒って追いかけてくるよぉ!!これ絶対に対処、間違えたでしょ!!」
(優梨さん、ごめんなさい!なんとか逃げ切ってください!)
「なんとか、逃げろって言われてもこのままじゃー!!」
(わかりました!なら戦いましょう!)
「ムリ!ムリ!ムリ!ムリ!ムリ!ムリだって!」
(大丈夫です!優梨さんの能力ならこんな熊、本気を出せば倒せます!!)
「いや!ムリだって!」
(でもこのままじゃ、あなたは確実に殺されてしまいます!私を信じてください!優梨さん!)
「・・・・・わかった!アイルちゃんのこと信じる!どうしたらいい?」
(私が百合妄想させることであなたの能力を発揮させます!)
「百合妄想!?どうやって!?」
(やってみればわかります!いきますよ!)
「一か八かやるしかない!お願い!」
(あっいちおう設定を言っておきますね!
私の役は先輩女子に片思いしてる年下の妹系後輩女子で先輩の名前は優梨さんにしますよ。)
「こんな時に細かな設定!」
(設定は妄想するのに重要なんです!準備はいいですか!)
「はっはい!」
(では想像してください…)
−放課後、誰もいない空き教室に
大好きな先輩女子を手紙で呼び出した後輩女子−
「なんかナレーションが入った…」
(優梨先輩…こんな所に呼び出してごめんなさい…
でも気持ちが抑えきれなくなったの…優梨先輩、聞いて…?私…優梨先輩のことが大好きなの!!)
「ズキューン♡さっ最高ですっー!!うぉぉぉー!!」
私はアイルちゃんの迫真の演技にトキメいて立ち止まると、なんだか体に今まで感じたことのないほど不思議な力が漲ってきた!!
「ガォウー!!」
すると立ち止まる私にムカムカベアーが両手を広げて襲ってきた!
「私はこんな所でーー!!!!!
熊のエサになる気なんかないーー!!!!!」
「ガウ!?」
「おりゃー!!」
私は攻撃をギリギリで躱すと熊の右手を両手で掴んでブルン、ブルン!と振り回した!
「クォウゥゥゥ〜!!」
「そりゃぁー!!」
勢いよく振り回されて、抵抗できない熊を私は空高くぶん投げた!!
「どうだ!!」
(お見事!)
熊は頭から勢いよく地面に落下して、目を回して気絶していた。
「ハァハァ…やったぁ…本当に私がこの大熊を倒したんだ!アイルちゃん、私、やったよ!」
(ええ!見てましたよ!やりましたね! 異世界に来ての初勝利おめでとうございます!!)
「初勝利か…なんか嬉しいな…」
(でもですね…その場からは早く退散したほうがよろしいかと…)
「どっどうして…?」
(さっきのムカムカベアーの悲鳴を聞いて、仲間たちがここへ駆けつけに来ると思うので…)
「そっそうなんだ!じゃあ、とっと退散しよう!
熊さん、気絶させてごめんね!じゃ!」
私は熊に謝ると全速力で走って逃げた。
「ハァハァ…流石にここまで来れば大丈夫だよね…」
(さっきも思いましたけど優梨さん逃げ足が早いですよね?感心しました。)
「それって褒めてるんだよね…?」
(もちろんです。優梨さん、それでどうでしたか?
初めての戦闘は楽しかったですか?)
「もう〜!怖かったに決まってるじゃん!でも、ちょっとだけ…」
(ちょっとだけなんですか?)
「ちょっとだけ楽しかったよ…」
「ふっふ、それはよかった。」
「だけどアイルちゃん?これから道を間違えるのだけは気をつけてほしいかな…?」
(あはは…ははっ…はい。反省します…)
「まぁでも、結果的にアイルちゃんのサポートのおかげでこうやって助かったわけだし、アイルちゃんには感謝してるよ。」
(私っていざとなったら頼りになる存在だって、わかって頂けましたか!)
「もう。アイルちゃんってば調子いいんだから。」
(あはは。すみません。)
私はこの瞬間からアイルちゃんがサポート役で良かったかもなと思い始めたのだった。
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