第一話 表 まさか実在するなんて.....
《異世界転生》
異世界転生とは、簡単に言えば『元居た世界で死に、別の世界で生まれ変わること』であり
もっと簡単に言ってしまえば『男のロマン』である。
まぁ兎に角、異世界転生とは男の妄想の産物であって実在しない現象のこと……と、数分前の僕ならそう言っていたことだろう。
けど今は違う。
え?何故かって?
「おぎゃあ、おぎゃあ!」
……こうだからだ。
声を出そうにも、出せるのは泣き声のみ。
クーイングさえ出来ない。
つまり今の僕の身体は生後一、二カ月も経ってない赤ちゃんなのだ。
いや、ほんっっとうにビビった。
お漏らししちゃうぐらいビビった。
……実際にお漏らししちゃったけど。
けど、やっぱり身体は赤ちゃんだけど心は大人だからお漏らしした時はマジで恥ずかしかった。
赤ちゃんの身体だからしょうがないということは分かってはいるんだけど……やっぱり、ね?
てかこんな歳になってお漏らしするとは思わなかった、身体は赤ちゃんだけど。
てかお漏らししたせいで気持ち悪いんだが……誰でもいいから早くオムツ交換してくれねぇかな?
「ソラス〜、どうしたの?」
ん?誰か来たな。
声からして女性っぽいが……
てか、ソラスって誰だ?
とか、考えてる間にその声の主の足音はどんどん僕に近づいて来た。
そしてその声の主の顔が見えたと思ったら身体が浮遊感に襲われた。
「」
多分、抱っこされたのだろう。
ふむ……。
てことは多分、『ソラス』というのは僕の名前らしい。
『ソラス』かぁ……。
『ソラス』って確かアイルランド語で『太陽』って意味だったよな。
『太陽』ねぇ…まぁ、悪くはないかな。
でも、多分だけどそんな意味を込めて名付けた訳じゃないと思うな。
もしこれで『イン☆フィニティ』みたいな名前を付けられたら……僕、軽く死ねたと思う。
マジで。
まぁ色々あったけど、実際に体験してみて分かったのだが、心と身体の年齢が吊り合っていないせいか、ずっと形容し難い不思議な感覚に陥っている。
まぁ分かり易く言うと、常時乗り物酔い状態…みたいな感じだ。
兎に角気持ち悪い、本当に気持ち悪い。
前世では乗り物酔いは余りしたことなかったけど、本当にキツい、吐きそう…オヴェ。
これから生きていけるのだろうか…心配になってきたよ。
武術と魔法に全てを捧げる 谷村 驟 @sturmangriff
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