第379話 亜神


 『亜神はねぇ。神みたいなもんだけど、神じゃない中途半端な存在だよ。奉仕神に勝ったけど、神にならなかった奴らと思ってくれれば良いね、うん』


 「奉仕神との違いは?」


 亜神って存在を言って良かったのかどうか。口を滑らせたっぽい竜王だけど、ちゃんと説明してくれるらしい。


 話が終わった後に処されない事を祈る。


 『まあ、違いは神界にいる必要がない事がまず一つだよね。これまでと変わらず、地上でのんびり出来る。大体奉仕神を断るような奴って、まだ地上でやり残した事があったり、遊びたいって奴ららしいよ』


 「ふむふむ」


 俺もそれだな。万が一奉仕神に勝てたとしても、地上でまだまだ遊びたい事がたくさんある。


 それよりも竜王の口振り的に、亜神が複数いるような感じがするなぁ。亜神になったって事は、恐らく奉仕神に勝ったって事で。


 竜王がギリギリ勝てた奉仕神に勝った奴が複数いるって事になる訳だ。こんな化け物みたいな奴が複数? ちょっと考えたくないですねぇ。


 『奉仕神にならないって選択した奴は竜王さんみたいに、どこどこの管理を任されるって場合もあるよ。その場合は、テムっち達から前払い的な報酬をもらって、仕事をする感じだね。滅多に現界出来ない奉仕神達に変わって、地上であれこれする役割かな』


 「報酬かー。神からの報酬って凄そうだな」


 『凄いよー。なんたって異能が一つ増えたからね』


 「んぇ?」


 『まあ、仕事を便利にする為の異能って感じで、普段使い出来るようなもんじゃないけどさ』


 異能が増えるとな? 俺はなんか魂が分裂したとかなんとかで、異能の二つ持ちなんだけど。神様にお願いされてるって、レアケースでも異能が増えるのか。


 む? 異能って魂一つにつき、一つが原則とか、ノックス様が言ってなかったっけ? あ、いや、俺が魂を二つ持ってて、空きがあるから異能が二つになっただけで、一つにつき一つとは言ってなかったか?


 「異能が二つって、その、魂的に大丈夫なの?」


 『魂? あーテムっちになんか色々言われた気がするけど、あんまり覚えてないなー。確か、【神鍵】の能力を得られるぐらいの人間や魔物なら、魂はもう充分強化されてて、空きも結構あるとか。その空いてるところに丁度良いのをぶっ込むとか言ってたような気がするね』


 ほーん? って事は俺にも三つ目の異能の可能性が? それなら亜神とやらにはなってみたいなぁ。いや、魂が二つある特別仕様な俺なら、四つ持てる可能性も。


 …………いや、俺が何かテムテン様やアイシュ様にお願いされる事ってあるのかな? なんか封印されてるノックス様を祀ってるような国を作ってるし。


 あんまり深く考えないようにしてたけど、これって完璧に御二方に喧嘩を売ってるよね。


 そんな俺が神様に何かお願いされるなんて、ちょっと想像もつかない。よくよく考えたら、今まで見逃されてるのが奇跡的なことなのかも…。


 ………まあ、いっか。やばくなったらその時考えよう。


 「まあ、亜神のあれこれとか【神鍵】、奉仕神の事は大体分かったよ。ありがとう」


 『うへへへー。レト君が素直にお礼をいってくるなんて、明日は人間大陸に血の雨でも降るのかな?』


 「お望みならやってやるが」


 『冗談だよー』


 比喩表現じゃなくて、本当に血の雨ぐらいなら降らせる事は可能だ。【血液魔法】も支配になってたし。色々面白い事が出来そうではある。


 それよりも最後に一つ聞きたい事がある。


 「亜神ってお前を含めてどれくらいいるんだ?」


 これである。

 竜王並みの強者が複数いるっぽいなら、とりあえず把握だけはしておきたい。


 もしかしたら、これから遊びに行こうとしてる島国にもいるかもしれん。それなら、遊びじゃなくて、ガチで色々準備しないといけなくなる。


 ってか、一旦黒船リハーサルは棚上げになるかも。遊びに行って竜王みたいな奴がこんにちはしてきたらたまったもんじゃないぜ。


 

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