第378話 相変わらず
『うぇいうぇいうぇーい!! レト君じゃーん! 何々? 竜王さんと遊びたくなった? それとも国に招待してくれる気になったのかな? かな? 今ならひとっ飛びで行っちゃうよー!!』
「テンションどうなってんだ」
このテンションがうざいから、俺はこいつに連絡したくないんだ。ワンチャン静かに連絡したら、静かに返してくれるかなと思ったけど、そんな事はなく。
こっちの100倍のテンションで返答してきやがってからに。
「なあ、お前って奉仕神なの?」
『えー! レト君フル無視!? 素っ気ないんだー!』
「うぜぇ…」
こいつと問答に付き合ってたら、いつまで経っても話は進まないし、俺の精神が疲れるのでさっさと本題に入ったんだけど、どうやらそれがご不満らしい。
竜王さん悲しいですって雰囲気でぶーぶー言ってくる。俺だってテンションが高い時はめんどくさいノリで眷属達を困らせてるかもしれないが、流石にここまでじゃない。
「それでどうなの?」
「奉仕神じゃないよー」
「え? 違うんだ」
あっけらかんと答える竜王。どうやら奉仕神じゃないらしい。これはアテが外れたな。
「そんな事を聞いてくるって事はレト君進化して【神鍵】の能力でも手に入れたのかなー?」
「まあ、そうだな」
ここはどうせ聞いたらバレると思ってたので、素直に答える。まだ身体のスペックを把握してないので、今の俺が竜王に勝てるぐらいの実力があるかは分からないが、進化したのを言うぐらいはいいだろう。
「相変わらず進化するペースがおかしいねぇ。普通はその能力を得るに至るまで1000年単位で時間が掛かるよ。竜王さんもそうでした」
「1000年って…」
竜王が昔を懐かしむような声色で言う。1000年は流石に盛りすぎだろ。俺みたいに熱心に経験値集めに奔走してたら、そんなに時間は掛からないと思うが。
俺がこの世界で生まれて150年くらいか? 道中で色々サボったりしたものの、それでもここまで来るのに1000年はかかりそうにない。絶対竜王は途中で大幅にサボっただろ。
「まあ、竜王さんは若気の至りでその能力を得てすぐに奉仕神に挑戦しちゃったよね」
「え? したの?」
「したした。あの時の竜王さんは戦いに飢えていたのだー!」
戦いに飢えてる竜王か…。想像したくねぇな。さぞかし人間達は迷惑した事だろう。下手したら今の俺達よりも被害を出してるかもしれん。
何年前の話かは知らんが。
でも【神鍵】の能力を使って奉仕神になってないって事は…。
「お前負けたの?」
「いや、勝ったよ。ギリギリだけど」
「ん? どういう事? 勝ったら奉仕神になるんじゃないの?」
「なるかならないかは選べるんだよ。まあ、その時にテムっち達に会って、この大陸の管理を任されたから、半分奉仕神みたいなもんだけどねぇ」
「ほえー。選べるんか」
なんだ。選べるのか。それならあんまり気を使わずに【神鍵】を使えるかも? こう、腕試し的な感覚で使ったらいいじゃんね。
使いっ走りとは言え、神と戦えるなんて中々良い経験になりそうだ。
「奉仕神になったら、滅多な事じゃ地上に現界出来なくなるからね。神界でテムっち達のお世話をするのが彼ら彼女らの仕事だから。地上に居られるのは亜神までだよ」
「亜神?」
「あ、やべ。これって言って良かったんだっけ? ………まあ、いっか」
なんだなんだ。気になる事を言いよって。これを聞いたら神罰で処されるとか勘弁だぞ? 死ぬにしてももう少し異世界生活を楽しんでからにしたいです。
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