第374話 もうすぐ


 「キュンキュンキュン!」


 「ゴギャゴギャ!」


 「あのー…メインは俺の経験値稼ぎなんですが…」


 黒船ごっこのリハーサルが出来る島国を見つけたって事で、早く進化してそこに行ってみたいってモチベーションが湧いてきた。


 って事で半年の休暇を早めに切り上げて、蟲領域に戻って来たんだけど。妲己とアシュラがサーチアンドデストロイするから、全然俺に魔物が回ってこない。


 進化したら眠っちゃうから、ノックス魔帝国でも実力がトップクラスで、信頼出来る二人についてきてもらって、眠ってる時の対策は万全って思ってたんだけど、二人のテンションが高すぎてもうね…。


 久々に俺と行動出来るのが嬉しいらしい。別にいつでもついてきてくれて良かったんだけどな。


 妲己が【神通力】で蟲を捻り切り、アシュラが金棒で蟲を叩き潰す。で、俺は素材の回収。俺はポーターかつって。



 妲己達のそんなテンションが一ヶ月ぐらい続いた。休暇を早めに切り上げた意味がないでやんす。お陰で俺のサポート能力が上がった気がするぜ。


 で、二人の興奮状態が落ち着いて、ようやく俺のターン。たくさんの蟲達を影でグサグサ刺して、血をビュンビュン飛ばす。相変わらずトンボは一撃で仕留めれない。


 妲己は簡単に捻ってたのにさ。


 そんなこんなでモチベーションが高い事もあって、気付けば期限の一年が経った。器には既に9割7分ぐらいの経験値が溜まってる。


 これ、このまま後少し延長したら進化出来そうなんだよね。帰りたい気持ちもあるけど、もうこのままのテンションで進化まで走り切りたい。ここで一回途切れさせるのは勿体無い気がしますよ。


 って事で、グレースに念話を送る。もうちょっとで進化出来そうだから、蟲領域探索を延長しますよーって。


 俺と妲己は国で要職に就いてないから、長い間抜けても問題ないけど、アシュラは軍でもお偉いさんだからね。一応連絡しておかないと。色々予定があるかもしれん。


 ………あ、俺は皇帝か。一応要職に就いてるや。ほとんどそれらしい事してないから忘れてたぜ。


 「さーて、正真正銘ラストスパート頑張りますか」


 王からの進化ってなんだろうな。シンプルに皇帝とかだろうか。ってか、俺の進化の打ち止めってどこなんだろうな。今回で最後とか?


 皇帝でキリが良いっちゃ良いからなぁ。別にこれで最後でも良いけど、果たして竜王に勝てる力を手に入れる事は出来るのか。


 基礎スペックが負けてて勝負の舞台に上がれてないからなぁ。せめて良い勝負が出来るぐらいまでなってくれたら、後は【傲慢】で封殺出来るんだろうけど。


 俺自信手札として中々豊富だと思うんだよね。大体なんでも出来るしさ。


 「竜王の能力やらを解析出来てないから、なんとも言えないところはあるけど。ノックス様が魔王特攻みたいな能力があるって言ってたけどなぁ。一体なんだろ?」


 アシュラと一緒に妲己の尻尾のモフモフに埋もれながらゴロゴロする。頭が回らないなりに色々考えてるけど、やっぱり馬鹿だから特に何も思い浮かばんな。


 「まっ、よそはよそ、うちはうちって事で。ごちゃごちゃ考えなくても勝てるぐらい強くなれば良いって事よ」


 さて。そろそろ休憩は終わりにして、進化まで突っ走ろうかね。


 待望の瞬間はもうすぐだ。


 

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