第366話 衛生
「という事ですじゃ」
「ふーむ。やっぱり不満は大きいかぁ」
「一年ぐらいで音を上げるなと言いたいじゃが、やはりこっちの生活で慣れてると、向こうの不便な生活で不満が出るのも仕方ないのじゃ」
「向こうの生活水準をもう少し上げるべきか…。でもなぁ。どうせ100年でぶっ壊すしなぁ」
食堂でご飯を食べながらミネリの報告を聞く。どうやら人間大陸で活動している『RSG』のメンバーが不満を結構漏らしてるらしい。
かなりの出張手当を付けてるんだけど、それでも不満があるって事は、給料に見合ってないって事なんだろう。
「俺が向こうで旅をしてる時はそんなに不便に感じなかったけど…。あ、俺は影の中で便利に過ごしてたからかな」
「生活する面ではまだ大丈夫なのじゃ。一番の問題は娯楽が少ない事。向こうではお金があっても使い道がありませんからのぉ」
「向こうで一年節制して、こっちで派手に使えば良いじゃんって思うけど。一度楽しい遊びを覚えたら、我慢するのって難しいからなぁ」
うーん。今何カ国か同時進行で国の上層部を懐柔してるんだけど、その国をもう少しテコ入れして遊びを増やすか? 懐柔してる国はとりあえず100年後に潰す気はないし。
「遊びを増やす前に衛生環境をなんとかすべきだね」
俺がうんうんと悩んでると、キンブルがハーレムメンバーを何人か侍らせて、食堂にやって来た。相変わらずどの女もお胸が大きい人ばっかり。徹底してらっしゃいますなぁ。
こいつ、未だにハーレムメンバーを増やしてるみたいだから。これで女性陣がギスらないのが凄い。もう100人以上はいるはず。
なんたって、ハーレムメンバーが増えすぎて城に住めなくなったぐらいだから。今はかなりの大金を使って、首都にどでかい豪邸を建てて、そこでハーレムメンバーと暮らしてる。
ここまで突き抜けてるとある意味尊敬しちゃうよね。
「衛生環境って言うと?」
「そのままの意味だよ。向こうの大陸はとにかく汚いんだ」
キンブルに話を聞くと、こいつはつい最近まで向こうの大陸に遊びに行ってたらしい。いや、遊びにってのは言い方が悪いか。『RSG』のお仕事のお手伝いだ。
国の上層部に中々堅物で賄賂に靡かない要職に就いてる女がいて、白羽の矢が立ったのがキンブル。
最初はあんまり乗り気じゃなかったみたいだけど、巨乳の美魔女だって聞いて飛んで行ったらしい。で、その仕事の合間に娼館で遊んでたけど、とにかく汚いんだそうだ。
キンブルが遊ぶ気が失せるほど。
「昔はそんなの全然気にしてなかったのにね。今はこっちの綺麗なのに慣れちゃってるから」
魔大陸にも当然そういうお店はある。性欲を抑えすぎるとロクな事にならないのは、俺は身を持って知ってるから。
一年の蟲領域の出張から帰って来た後のグレースはそれはもう凄い。俺が契約通り進化するまで飽きなかったら、グレースは一体どうなってしまうのやら…。条件を緩和した方が良いのかもしれん…。
「向こうで活動してるみんなも、遊ぼうと思っても、その汚さで敬遠しちゃうんだよ。娯楽はそれだけって訳じゃないけど、大きなウェイトを占めてるのは間違いないからね。そこを改善するだけで、大きく変わると思うよ?」
「なるほど」
衛生環境かぁ。でもそれはすぐにどうこう出来ないよね。まずは向こうの人間の意識から変えて行かないといけないし。
風俗関係の店だけでも先に手を打つべきか。難しい問題だよねぇ。
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