第359話 過渡期
更新お待たせしましたー。
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「結局そういう感じになったか」
「ええ。私達だけで考えてもアレですし、せっかくの国を挙げての祭典です。いくつかは国民に考えてもらって、そこから投票という形で決めてもらおうかと思いまして」
「ふむん。良いんじゃない? 俺達じゃ考えられない面白い案が出てくるかもだし」
プレイルームでのピロートーク。国主導で祭りをやるぞって決めてから、何回か会議したものの、中々案はまとまらず。
結局、俺は半年の休暇期間を終えて蟲領域に旅立った。で、一年経ってまた戻ってきたって訳。その間にグレースやら国の上層部がどうするか決めておいてくれたらしい。
今は既に告知をして祭りの案を募集中の段階らしい。この一年で更に文明が進化したのか、テレビも一般家庭にそこそこ出回るようになって、そこで大々的に発表したから、国民のほとんどはこの事を知ってるだろう。
なんか一年経って帰ってくる度に国が別物に進化していってる。昔の地球もこんな感じで、一気に進化していったんだろうか。歴史の授業とかもうほとんど覚えてませんよ。
「人手不足はどう?」
「相変わらずですね。テレサが向こうの大陸から定期的に孤児やら行き場のない者を拾ってきてますが、まだ教育段階ですし。モノになるには後数年は必要かと」
「国を運営するって難しいんだなぁ」
「次から次へと色んな事に手を出してる弊害ですよ」
仕方ない。面白い事を思い付いたらやってみたいのが人間というもの。あ、俺は吸血鬼だけど。
それに俺は国の運営なんてほとんどしてない。報告を受けてよきにはからえってふんぞり返ってるだけ。俺の下に付く奴らは苦労するね。可哀想に。
「そういえばジーマから文官の補充をお願いされてましたね。日々変わっていく国に対して人が足りな過ぎると」
「どこも人手不足だねぇ」
「高給取りで人気のある職場ですが、求められる基準も高いですからね。面接のボーダーを下げるかどうか悩んでましたよ」
城で色々働く連中ってのはエリート集団だからな。学校でも好成績の奴が多い。まあ、成績だけで判断してる訳じゃないから、一概には言えないけどさ。勉強が出来るのと、頭が良いとか、回転が速い、機転が利くとかはまた別だし。
「とりあえず間に合わせで吸血鬼を何体か召喚するか。あれ? そういえば蟲領域に行く前にも30体ぐらい置いて行ったはずだけど?」
「既に色んな部署に送られましたよ。レト様の吸血鬼は中間管理職として使い勝手が良いんですよね」
「社畜って事か」
「定時出勤定時退社は厳守させてますよ」
一応俺が出した吸血鬼だし、社畜みたいにエナドリ片手に働いてるのは可哀想だなぁなんて思ってたら、勤務体制はしっかりと構築されてるみたいで一安心。
繁忙期は残業とかもあるみたいだけどね。
「当分は新しい事はせずに祭りの事だけを考えて行動するか」
「なら、ウェインになんとかストップをかけてください。次から次へと新しいものを開発して、それがどれもこれも便利だから使いたくなるんです。それを使う為の体制を構築してると、他の事が疎かになり…。そしてまた新しいものが出てきて…。それのループになってしまってます」
「絶好調かよ」
「ええ。怖いぐらい絶好調です」
便利なものを開発してくれるのはありがたいけど、使う側の人間が追い付いてないってか。
でもウェインに生産活動をやめろなんて言って、素直に聞くかね? とりあえず新しい開発じゃなくて、今ある便利なものを量産出来るようにお願いするか。
説得には骨が折れそうだけど。ウェインの生産活動を一旦止めるって、俺が人殺しを我慢するのとおんなじくらい苦痛なんじゃないかな。知らんけど。
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