第358話 久々の


 「ちきちき! 第∞回! レト・ノックス眷属+α会議ー!!」


 「ちきちき!!」


 さぁ。という事で始まりました。久々の眷属会議。今日はオブザーバーとして、国の文官連中にも何人か参加してもらっています。


 議題はもちろんお祭りの話である。俺はそろそろ蟲領域に戻らないといけないので、急いで色々決めないといけない。半年の休暇を一日でも過ぎると、グレースに契約違反だなんだって言われそうだしな。


 「祭りですか…。中々面白い事を考えますね。確かにガス抜きは必要です」


 グレースがうんうんと頷きながら、宰相である元孤児っ子を褒める。孤児っ子が誇らしげにしてるのが感慨深い。是非この調子で頑張って欲しいもんだ。


 「レト様が前世の案を出して下さってるのは助かりますが、どうも体を動かすものに偏ってますね。これでは知識層や内向きの人間は楽しめないのでは?」


 「すまんな。前世のお祭りとかそういうのはあんまり詳しくないんだ。本当に有名どころしか知らん。楽しめる余裕がある生活をしてなかったし」


 合法非合法問わずずっとバイトだったから。医療費を稼ぐのってしんどいんだぜ。ましてや、あの時の俺は高校生。やれる事は限られる。とち狂ってヤクザの事務所に強盗しようとしてたくらいだからな。ヤクザなら強盗されても警察に通報出来ないっしょと浅はかな考えを持ってました。


 まあ、あっさり捕まって、そこから紆余曲折あって、そこから仕事をもらえるようになったんだが。あの時は死んだと思ったねぇ。


 「別にレト様の前世の知識を丸々真似る必要はないだろう。参考にする程度にすべきだ。スポーツ等は種族の差が大きすぎる。巨人と小人が同じモノを出来るとは思わないな」


 「だな。まあ、その辺を話し合う為に会議を開いた訳なんだけど」


 クリスティーナがローレライに顔面を落書きされながら言う。最近ローレライはお絵描きにハマってるらしく、紙では飽き足らず、人をキャンパスとし始めてるんだ。


 最近では毎日の様に落書きされてるメイドや執事を見かける。迷惑そうなら止めようと思ったけど、キャンパスにされてる奴は嬉しそうだから放置している。クリスティーナもわざわざ抱っこして描きやすいようにしてあげてるしな。


 「身体を動かす系の祭りが二つ、知識を披露出来る系の祭りを一つ、芸術系の祭りを一つ。この辺が妥当か? なんだかんだ身体を動かす系は人気だしな」


 「少し気になったのですが…」


 「ん? どうした? 気になる事はなんでも言ってくれ」


 ピシッと挙手をして発言をする孤児っ子。因みに名前はジーマ君である。


 「何故四年周期に拘るのでしょうか? 五年の方が区切りが良いと思うのですが…」


 「なんでって…そりゃ、お前あれよ、おーん」


 なんでなんだろうね? オリンピックもワールドカップも四年周期だから、祭典ってのはそういうもんだと思ってたんだけど。


 なんか理由があったりするのかな? 世代交代するのに丁度良い年数とか? それで言ったら、うちの国は全盛期が長いから、中々世代交代しないんだけど。その辺も考えた方が良いかもしれんな。


 全盛期が長い分、ずっと変わり映えしないメンツになっちゃったりしそう。レベルがある世界だから、当然長く生きてる人間の方が有利なんだよね。


 前世ではたまに若い超新星みたいなのが出てくるけど、こっちの世界ではかなり出て来にくいかもしれない。それはそれで問題がありそうな気がするな。


 世代別で分けたりするべきか。むぅ、考える事がいっぱいあるなぁ。

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