第356話 いつまでも人手不足
「飢えたケモノかよ。1年も空けると、溜まりに溜まったもんが爆発しちゃうのかね」
1週間プレイルーム生活からようやく抜け出した俺は、ウェインが待ってる生産工房に向かってるいた。
帰ってきて早々身体的にも精神的にもダメージを負ったが、まあこれは予想してた事だ。仕方のない事だと思っている。あの性欲モンスターを1年放置しておいて無事で済む訳がない。
なんだかんだ俺も楽しんでるしね。あれでやり過ぎなきゃ最高の娯楽なんだけどさ。
「おーい。いるかー? って、すげぇな!?」
首都の中に建てられているウェインの生産工房。近々国の工業やら生産やらをまとめる都市を建設する予定で、そこに移転させるけど。色々なもんを作り過ぎて、この広い工房でも手狭になってきてるんだ。
で、俺が工房に入って驚いたのは、色んな機械がガシャガシャと動いて、自動化されてる光景だった。なんかここだけ近未来。前世の工場見学でみたのよりハイテクな気がする。
「レト様! 待ってたんだぞ!」
「おお。すまんな。こっちにも色々あって」
「御愁傷様なんだぞ」
ウェインがつなぎを着て、スパナを持って、これぞ生産者ってスタイルで出迎えてくれた。なんか憐れみの視線を向けられてる気がするけど気にしない。
「この一年で一気に進んだなぁ」
「生産意欲が止まらないんだぞ!」
カメラを発明してビデオもすぐに発明はしたらしい。やはりパラパラ漫画が良かったか。で、そこから俺の前世由来の知識から作れそうなものを、どんどん発明。
昔から前世の科学とかに興味津々だったウェインだけど、きっかけ一つでここまで進むか。
「人手が全然足りないんだぞ! 機械化で誤魔化してるけど、まだまだ作りたいものがいっぱいあるんだぞ!」
「人手なぁ」
我がノックス魔帝国は、国土は大陸一つを牛耳ってるから、滅茶苦茶広いけど、それに対して人が少なすぎるから、まだまだ開発の余地はいっぱいあるのに、全然着手出来ていない。
ユーラシア大陸ぐらいの広さに人口が200万人ぐらいしかいないと思ってくれれば良い。俺達がどれだけ無駄にしてるかが分かるだろう。200万人って、日本の一都市で普通に収まるぐらいの人口だからね。
産めや増やせやの政策はしてるけど、そんな簡単に増えるもんじゃない。ってか、これでも頑張って増やした方なんだ。
子育て支援の政策もバッチリだしさ。俺が子供時代に受けた仕打ちの事もあって、せめて子供ぐらいは自由に過ごして欲しいと思ってる。最低でも自分で職を選べるぐらいの自由はあって然るべきだ。
怠惰に暮らして努力もせずに、自分の望む職に就けなかった奴の事は知らんが。サポートしてるだから、努力ぐらいして下さい。
………遊び回ってる皇帝が言えた事じゃないけどね。
「俺がその場凌ぎで吸血鬼を出してもなぁ」
「吸血鬼は優秀だけど、やっぱり成長する人材が欲しいんだぞ!」
俺が吸血鬼を召喚してやっても良いが、ウェインが求めてるのはきちんと成長する人材だ。俺の吸血鬼とかアギャインのアンデッドは進化しないし、新しくスキルを覚えたりしないからね。
こういう時は人間種の方が便利なのである。
「向こうの大陸からまた孤児を攫ってくるかー。それでも成長して使いもんになるには、時間は掛かるけど」
国を作って100年以上経つけど、まだまだ人手不足は続くだろうな。人口が億を超えるのはいつになることやら。
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