第354話 娯楽
カメラには案の定、キンブルが食い付いた。鬼気迫る表情でウェインに詰め寄ってカメラの製作をお願いしてたな。
なんかグレースも無言の圧でウェインにカメラを要求してたけど。一体何に使う予定だったんでしょうねぇ。俺ちゃんは考えたくもありませんよ。
でも、カメラの誕生を一番喜んだのは、恐らくテレサだ。テレサは魔法の研究の他に、魔物図鑑を作るのにハマってる。
今までは図鑑に載せてる絵は、テレサが描いてたんだけど、写真を載せた方が分かりやすいって事で、一から作り直してやると息巻いてる。
「テレサ撮影隊出動なの!」
今までに見た事がないくらいのテンションで撮影隊を結成して、人間大陸の方に転移で飛んで行った。
この大陸には蟲領域にしか、ほとんど魔物がいないからね。いや、俺も吸血鬼って魔物だし、眷属にもいっぱい魔物はいるけどさ。
ゴブリンとかのモブ魔物がは、ほとんどいないから。向こうの大陸に行って、当分帰ってこないって言ってました。
テレサが暴走しすぎないか心配だけど、まあ、向こうで活動してる『RSG』がフォローしてくれるでしょう。
「こういう事よ。これを再現して欲しいんだ」
「なるほどなんだぞ。この前の説明よりよっぽど分かりやすいんだぞ」
「せやろせやろ」
「急にこんな説明が出来るとは思ってなかったんだぞ。もしかして頭を打ったんだぞ?」
「失礼な。神のお告げ的なサムシングがあったんだよ」
俺はウェインにパラパラ漫画を見せて、改めてビデオの説明をした。これなら分かりやすいよね。言われてみれば簡単な説明だった。神のお告げサンクス。
「ふむぅ。中々良い写真だな」
眷属全員を集めて撮った写真は、俺の執務室に引き伸ばして、額縁に入れて飾られている。
俺の眷属らしく、中々まとまりがない写真だけど、らしさがあって良い写真になってるんじゃないかなと思います。また、いつか眷属が増えたら写真を撮ろう。
「ふぅ。今日はどこに遊びに行こうかな」
優秀な部下のお陰で、俺がやる仕事はごく僅か。書類にハンコをペッタンペッタンして、30分ほどで終わらせると、暇になってしまった。
蟲領域の1年も暇だったけど、国に帰って来てからの半年も結構暇になるな。グレースにこんな事を言ったら、半年間プレイルームに監禁されるから、絶対言わないけど。
「雀荘にでも行くか…軍人施設を冷やかしに行くか…。久々に首都で食べ歩きなんかしても良いな…」
暇ではあるけど、やろうと思えばやれる事は結構あるか。この国にも娯楽が増えてきたからなぁ。カメラの誕生で、更に何か面白い事が増えるかもしれないし、ビデオが発明されたら、そこからテレビだのなんだのって、増えるはずだ。ってか、増やすつもりだ。
やっぱりみんなに気持ち良く働いてもらうには、ある程度息抜きがないとダメだよね。息抜きがあるからこそ、仕事にハリがでるってもんよ。
ほとんど働いてない俺が言うことじゃないけどさ。
「カジノとかの街でも作るか。ラスベガスみたいな」
いや、でもなぁ。絶対借金で首が回らないやつも出てくるし、治安も悪くなるし…。せっかく俺の国に似合わず、民度が良い国に育ってるんだから、勿体無い事はしない方がいいか…。
まあ、皇帝である俺が人間大陸の方をおもちゃとしか思ってなくて、それに疑問を思わない国民の民度が良いのかどうか、かなり疑問ではあるけど。
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神のお告げ(コメント)
コメントしてくれた人ありがとうございます。パクらせてもらいました。
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