第305話 他の魔王
「元人類種組には仕事はないのか? レト様達だけ楽しんで私達にもう100年我慢しろというのはちょっと辛いぞ」
「そうは言われてもねぇ」
クリスティーナはどうしても参加したいらしい。インテリ系脳筋はこういう面白そうなイベントを無視出来ないらしい。
「テレサも行きたいの。対人間への魔法を試したいの」
そしてそれに追随するのがテレサ。魔物相手じゃなくて、人間相手に魔法を試す絶好の機会だからな。そんなチャンスを逃す訳にはいかないと言ったところか。
「うーん。魔王一人につき、補助を一人用意するってのもありか…」
「クリスティーナや、テレサは補助ではなく、主戦力として自分勝手に動くと思いますが」
グレースが尤もな事を言うけど、ほんとそうなんだよなぁ。一応今回の目的は魔王のお披露目って事もあるし。あんまりそれ以外の活躍は望ましくない。だって、テレサとか魔法の使い方によっちゃ、魔王以上の活躍が出来るし。
殲滅力で言ったらうちの眷属随一ですよ、テレサちゃんは。雑魚を相手にするなら、単体性能に特化してるアシュラよりもテレサの方がやばい。
その点、クリスティーナはアシュラと似てるから、そこまで大きく被害は出ないだろうけど。組む相手を考えればなんとかならない事もない。迷いどころですなぁ。
「クリスティーナやテレサしか意見を聞いてないけど、他はどうなの?」
「僕は特にないね。お好きにどうぞって感じかな。あ、エルフの森を攻めるなら、知り合いが何人いるからその人達は見逃して欲しいかな」
キンブルは同族にほとんど何も感じてない様子。むしろエルフの森を攻めるなら案内は任せてよって感じで、ちょっぴり乗り気よりである。それでも知り合いは助けて欲しいみたいだが。
「わしは戦いについていけるほど強くありませんからの。それにそんな時間もありませんのじゃ。こっちで大人しくしておきます」
おじいちゃんのミネリは行きませんぞと断固拒否。まあ、本当にミネリは忙しいからかぁ。
ウェインは死体を確保してくれるなら、どうでも良いらしく、ゲイルも何人か助命の話をしたが、参加する意思はないみたいだ。
ラローシュとマデリーンの巨人小人生産者組も、参加する意思はゼロ。我関せずでウェインと生産談義をしている。
ローレライとパトリックは俺の膝の上で寝てて、最初から話に参加してないし、立派なワニになったボスコも、のほほんとしてる。
どうしても参加したい組はクリスティーナとテレサだけみたいだ。
「じゃあこうしよう。人間達の国で遊ぶついでに、竜王以外の魔王に会いに行く予定なんだけど、その時に同行するってのはどうだ? テレサは人間相手じゃなくて申し訳ないけど、古くから存在してる魔王だし、色々面白い事も出来るんじゃないかと思うんだけど」
「むっ」
「むむっ」
テレサとクリスティーナがいい反応。
魔王と遊ぶなんて、中々出来る体験じゃないからな。いい交渉材料だろう。………俺達は抜きにしてね。知らない魔王って事に意味があると思います。
「まあ、会いに行くだけで戦いになるかは分からないけどな。フェンリルの方はわりと短気らしいし、ワンチャンあると思うけど。フェニックスはなぁ。逸話が昔の超大国を滅ぼしたってくらいしかないからなんとも」
フェンリルはね。結構情報があるんだ。今は縄張りで大人しくしてるみたいだけど、昔は結構やんちゃしてたみたいで。
ふらっと人間の国に現れては、適当に暴れて散らかして帰って行く。その被害が洒落にならんらしく、竜王が抑えてなかったら、どうなってたことやらって感じらしい。
その竜王が抑えた、フェンリルと竜王の喧嘩も物語になってるしね。羨ましい。妬ましい。
「あー、俺達の事を広めてもらおうと思ったら、生き残りを用意しないといけないのか」
一応勝手に自分達で本にしてばら撒いてやろうと思ってるけど、実体験した奴の話も重要になってくるだろう。知識層とか生き残りは用意してあげないとな。
しっかりと俺達の恐怖を他国に、そして世界に広めてもらわないと。
「魔王、魔王か。ここにいると感覚がおかしくなるが、物語の魔王と戦えるのも悪くないな」
「仕方ないの。テレサもそれで我慢するの」
って事で、クリスティーナとテレサは魔王に会いに行く時に連れて行く事に。戦えるか分からないけど、クリスティーナとテレサが組んで戦えば、結構いい線いくんじゃないかな。
日々の模擬戦で中々頑張ってるみたいだしさ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます