第304話 眷属会議
「チキチキ! 第ふんにゃろ回眷属会議ー!!」
さあ、今日もやってまいりました眷属会議。もう何回開いたか分からないけど、前まで良い反応をしてくれてた妲己やアシュラ達でさえ、なんの反応も示さなくなった。
多分飽きたんだと思う。俺も飽きたけど、ここまで長く続けてると、やめ時が分からなくてね。なんだかんだで続けちゃってます。
「本日の議題はこれ! じゃじゃん! 『もうすぐ魔大陸に来て100年経つよ! そろそろ人間達で遊ぼうか! 一体何カ国滅ぼすの! 教えてレト君!』です! みんなバシバシ意見してくれえい!」
「レト様、情緒の方は大丈夫ですか? 何やらいつもより頭がおかしく見えますが…」
「はっはっはっは! 何を言うのかね、グレース君! 俺はいつだって平常さ!」
嘘です。滅茶苦茶テンションが高いですね、ええ。なんたって、ようやく100年が経つからね。これまで大人しく竜王の言う事に従ってたが、しっかり約束は守ったんだ。
俺のやりたい事をさせてもらうぞ。
「ふむ。戦争か? 腕が鳴るというものだ」
「実験体がたくさん確保出来るんだぞ!」
「対人間用の魔法もいっぱい試せるの」
クリスティーナ、ウェイン、テレサのやる気が漲っている。しかし残念ながら君達は不参加の予定だ。
「申し訳ないけど、元人類種組は今回の出番はない予定だ。実験体の確保ぐらいなら出来るかもしれんが」
俺の言葉に人類種組は様々な反応をする。
クリスティーナやテレサは不満そうだ。ウェインは実験体が確保出来るならなんでも良いんだろう。あんまり気にしてない。
まだ眷属になって日が浅い竜人のゲイルはちょっぴり複雑そうな顔をしてる。結構旅とかして仲良くなった奴とかいるみたいだからなぁ。割り切れないんだろう。
気にするんだったらこっちで保護してやっても良いが。後で聞いておこう。
「まだ俺達の国は兵士が少ない。戦争したくても頭数がいないと見栄えが悪いだろ?」
前にも説明したと思うが、俺は向こうに国として戦争を吹っかけるなら、まずは黒船で人間大陸を脅かしたいんだ。まだ高性能の船すらも完成してないし、満足に動かせる人間もいない。
それが出来るようになるまでは国として戦争するのはお預けだ。大艦隊を組んでドヤ顔で砲艦外交とかもしてみたいし。
「それでは誰がやるんですか?」
「魔王組だ。向こうの大陸で魔王の恐怖ってのを存分に知らしめてやろうかと」
1人1国とかでどうかなって考えてます。俺も良い加減魔王として名前を売りたい。人間大陸では竜王人気が凄いしさ。負けてらんないよね。
で、少ししたら俺達の襲撃を本にしてばら撒くんだ。こっちの国でも物語を書くような作家もちょっとはいるし。
「レト様、妲己、アシュラ、ヴェガ、アギャイン、サマー、ミシェル。合計で7人の魔王が居ますが、7カ国も滅ぼすんですか? 少々やり過ぎでは?」
「一応小国を狙おうと思ってるんだけど、ダメかな?」
「竜王次第ではないかと」
グレースが流石にやり過ぎじゃないかと言ってくるけど、どうなんだろう? 竜王に【傲慢】さえ仕掛ける事が出来たらそんな事気にしなくて良いのになぁ。正直会いたくない。うるさいし。
「あ、因みにシュルペニア神聖王国は狙わないぞ。あそこは、放っておいたら超越者をどんどん生み出してくれるからな。もしかしたら将来面白い事になるかもしれん」
あの国だけが魔王に対して本腰入れて動いている。正直今更超越者が何人増えようが、俺達にはあんまり関係ないが、国同士で戦争したらちょっとは面白くなるんじゃないかなぁって、少しだけ淡い期待を抱いている。
それに今回の魔王襲撃で更に警戒心を持って、軍拡を進めてくれるかもしれない。頼りにされてる大国が、俺達の国にやられて絶望していくのをみるのも一興だろう。
「これが俺が考えてる事なんだけどどうかな?」
眷属達の意見を聞きたいね。戦争に参加したそうな眷属も何人かいるし、やっぱり参加させてあげるべきなのかなぁ。
人類種は連れてると俺達のアピールにならなそうな気がするんだけど。でもこれを逃すとまた100年、もしくはそれ以上の時間を待たないといけない。
寿命がないとはいえ、100年は長いからね。中々我慢するのは難しいだろう。俺は良く耐えたと思うよ。なんかいつの間にか経ってたけど。
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