第303話 召喚
「あーなるほど」
【下級吸血鬼召喚】を使って、出てきたのはレッサー・ヴァンパイアとノーマルヴァンパイア、男爵のヴァンパイア。これは選べたから1人ずつ出してみた。
進化して魔力量が滅茶苦茶増えたってのに、ごっそり魔力が減った感覚がある。男爵クラスを出すと結構持っていかれるな。
で、アギャインのアンデッドみたいに、下級だからと言って単純行動しか出来ない訳じゃない。能力は【吸血】【貯血】以外はランダムで付与されて出てくるっぽいけど、普通に賢い人材として使える。
欠点は進化しない事。これはアギャインの召喚と同じだな。男爵級でも超越者よりちょっと強いくらいだし、戦闘面ではあんまり使えないかも。人類種でいうところの、レベル200ぐらいって感じかな。
「魔力効率が悪いな。ごっそり魔力を持って行かれて男爵級までしか出せないとは」
「内政方面で使えるのでは?」
「俺から召喚された奴だぞ? そんな能力が備わってるとは思えんが」
「そこは教育次第でしょう。レト様もやれば出来る人なんですし」
「それ、褒めてないよね」
グレースが召喚されたヴァンパイアの周りをウロウロしながら、言ってくる。まじまじとみられて居心地悪そうにしてるのが興味深い。しっかりと自我はあるっぽいな。
あと、やれば出来るは褒め言葉じゃないからね。それは結局やってない人に向けて言う言葉です。まあ、俺は自分の興味がある事しか頑張ろうと思えないから、その通りなんだが。
因みに吸血鬼の性別も選べる。
今回は男バージョンでしか出してないが、翼さえ出さなきゃ普通の人にしか見えないな。ちょっと肌色が体調悪い人に見えなくもないけど。
「ってか、俺がレッサー・ヴァンパイアの時はショタっ子だったのに、普通に成人サイズで出てくるんだな」
「成長しないからじゃないですか?」
「なるほど」
レッサー・ヴァンパイアは召喚する事ないかなぁ。使い道が見当たらない。超越者よりも弱いし。頭の出来もレッサーよりノーマルが、ノーマルより男爵が優秀って感じになりそうだし。
「とりあえず何体か男爵は出してみて、内政方面で使ってみるか」
「それはありがたいですね。いつまで経っても人手不足なので」
「仕方ない。国を一から作ってるんだから、上手い事いく方がおかしいんだよ。教育してるとはいえ、使ってるのが元々孤児だった奴ばっかりだし」
こういうのは積み重ねが大事なんですよ。
今は国民が少ないからなんとかなってるけど、増えてきたらもっとてんやわんやになるぞ。
それまでに基礎部分が完成してると良いね。
「まあ、この召喚能力も上位化すれば、男爵以上も召喚出来るようになるでしょ。それを楽しみにしておこう」
「むぅ。体が上手く動かせん。ここまで肉体スペックが上がるとは思ってなかった」
進化してからしばらく経って。
軍人の訓練迷宮で、進化した体の慣らし運動をしてるんだけど、肉体スペックが上がりすぎて、振り回される。
自分が思ってる動きと結構なズレがあって、頭がバグりそうになるんだよねぇ。
「ゆっくり慣れていくしかないか。時間はあるしな」
俺の進化イベントが終わっても国は平常運転だ。みんなそれぞれの仕事を頑張ってくれている。
召喚した何体かの男爵級ヴァンパイアは、軽い教育を受けて早速内政方面で活躍している。元からレベル200ぐらいの強さは持ってるし、俺が召喚した影響なのか基礎教育もする必要がなかった。即戦力として重宝されてるみたいだ。
戦闘経験は皆無だけど、内政方面の仕事をするならほとんど戦闘に出る事はないからね。魔力に余裕がある時は、もう数体召喚しようと思ってます。
「召喚・妲己」
「キュン?」
一人で訓練してても捗らねぇと、妲己を呼び出す。これは【眷属大強化】になってから出来るようになった能力。今までは念話しか出来なかったけど、俺の元に眷属を呼び出せるようになったのだ。
まあ、この能力の本領は俺の眷属を魔王進化に促す事だと思うけど。残りの能力はおまけなんじゃないですかね。
「ちょっと訓練に付き合ってくれ。いつまで経ってもちゃんと体を動かせん」
「キュン」
【傲慢】の能力を使って、妲己に圧勝した俺だけど、その能力さえ使わなかったら、妲己は普通に動ける。
この体を万全な状態で動かせるようになったら、【傲慢】を使わずに模擬戦で勝ちたいな。多分圧勝とまではいかないけど、勝てるはず。それぐらいスペックが上がってるんだから。
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