第301話 進化9


 『ヴァンパイア・オリジン (王)

  名前  レト・ノックス

  【異能】

  魔眼Lv8 (解析)

      (魔力視)

      (遠見)

      (停止)

      (高速思考)

      (魂視)

       (石化)

       (魅了)

  傲慢

  【魔物能力】

  血液魔法

  音支配

  影支配

  眷属化 (20/30)

  感覚狂惑

  鬼王纏鎧

  神速再生

  眷属大強化

  下級吸血鬼召喚         』



 「ん…んあ…?」


 「キュン!!」


 ただいま世界。

 なんかふっかふかのベッドで寝てるなと思ったら、俺の滅多に活用しない私室で妲己に包まれて寝ていた。


 「おはよう妲己」


 「キュンキュン!」


 なんか妲己が滅茶苦茶びっくりしてるんだが? 一体どうしたのかね? いつも通りの進化だったと思うんだけど。あ、ノックス様には会ったか。


 進化した俺に見惚れちゃってたり? その気持ちは分からんでもない。なんか今は全能感が凄いからね。進化する度に滅茶苦茶強くなってたけど、上がり幅が今までの比じゃない。これは新しく進化した体に慣れるのに苦労するかもしれないな。





 「まさか一ヶ月も寝てたとは…」


 とりあえず眷属を集めて色々話をしたいよと思って、会議室に集まってもらったんだけど、そこで衝撃の事実が。


 なんとレト君は一ヶ月も寝てたらしい。進化の光は比較的早くなくなったのに、そこから俺が目覚めない。眷属達はてんやわんやの大騒ぎだったらしい。


 テレサやグレースが毎日回復魔法をかけにきてくれてたり、ウェインが特製の気付け薬を使用しようとしてたり。ウェインはこんな時でもぶれないのね。


 「この一ヶ月間の妲己は怖かったですね。眷属達に明確に殺意を向けてましたから」


 「あらま」


 グレースがホッとしたような顔をしている。妲己は近付く者はぶっ殺すと言わんばかりに、俺の護衛をしてくれてたらしい。どうやら中々取り乱してた様子。


 「どうやら色々ご心配をおかけしたみたいで。妲己もありがとうね」


 「キュン」


 妲己は恥ずかしいのか狐状態で顔を尻尾で隠してる。可愛い。ローレライよりも可愛いぞ。


 「それで何があったのですか? 進化しただけなら良いのですが…」


 「あー、じゃあ説明しようかな」


 眷属のみんなは仕事を中断して会議室に集まってくれている。何があったかきちんと説明すべきだろう。


 って事で、向こうで上位存在に会った事を伝える。名前も言ってみたんだけど、それを理解したのは妲己とアシュラだけだった。


 俺とおんなじ名前だよって言っても認識出来ないらしい。一体どういう事だってばよ。神様プロテクトすげぇ。魔王の中でも分かる分からないの差があるんだねぇ。


 個人的には竜王に次いで古いアギャインも分からなかったのが意外だったが。


 「なるほど…。そういう事ですか…」


 眷属のみんなは理解したようなしてないような。オロフリンとテレサ辺りは魂の話に興味深々だったけど。ローレライなんかは俺の膝の上でウトウトし始めてる。難しいお話ばっかりで飽きちゃったんだろう。


 「面白いね。だからレト様の眷属の魔物はポンポンと魔王になってたんだ」


 キンブルがなるほどと頷きながら、納得したような表情を浮かべている。


 ノックス様に聞いたんだよね。なんか魔王がぽんぽこ生まれすぎじゃない? って。

 理由は俺の【眷属強化】にあったらしい。今は進化して【眷属大強化】になってるけど。


 念話ぐらいにしか使えないなぁ、失敗したなぁって思ってたんだけど、どうやらこれがあるお陰で俺の眷属はぽんぽこ魔王になっていってるらしい。


 レト君グッジョブ。良い仕事をしたね。

 これがなかったら妲己とアシュラは魔王になってただろうけど、それ以外は魔王になるかどうかは怪しかったらしい。あの時の俺ちゃんナイス判断ですよ。


 キンブルが魔大陸に来てからハーレム化した、ハーピー、セイレーン、ラミアのクイーン達は進化してエンプレスになって最終進化になっている。


 サマーはサキュバスクイーンからエンプレスになって魔王になったし、魔物三娘も魔王になるんじゃないかって期待してたんだけど、異能の獲得がなかったから残念に思ってたんだよね。


 今なら俺の眷属にしてなかったからだって分かる。ちょっともったいない事したかなって思ったけど、キンブルは変わらず愛してるみたいだし、まあいっかって事で。


 「外見等はあまり変わってないんですね。内に秘めてる力はとんでもないモノがありますが」


 「ふっふっふ。実は変わった所があるんだよね」


 グレースは俺をまじまじと見ながら言ってくるけど、確かに見た目はほとんど変わってない。


 身長が若干伸びたかなって程度だ。

 しかし決定的に違うのはこれである。


 「じゃじゃーん!」


 「なるほど。翼が増えたのですね」


 軽いな…。もっと驚くと思ったのに。

 翼が増えてちょっとかっこよくなってるんだけど…。


 「私達にはヴェガがいるんですよ? 今更翼が増えた程度で驚きませんよ」


 「それもそうか」


 あんなびっくり生物と比べられたら敵わん。いくらでも翼を増やせるし。


 ささっ。

 次はお待ちかねの能力チェックですよ。

 

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