第296話 黒い悪魔ゾーン攻略
「ヴラド・ツェペシュ」
辺り一面の影から槍を無数に出して、黒い悪魔をどんどん串刺しにしていく。殺される度に卵を産み落としていくが、産まれるまでに少し時間はある。その卵も串刺しにして、とにかく数を減らす。
魔法だけじゃなく、ブラッド・チェーンも振り回して攻撃。もう技術とかそんなの関係なくとにかく振り回して数を減らす。
「あーキモいキモい」
俺は今、黒い悪魔ゾーンを突破しようとしている。出来れば手を出したく無かったけど、ここをなんとかしないと先に進めないし、こいつらが氾濫でもして、国に襲い掛かってきたら、それこそキモい光景になる。
今回は大元のマザー種まで仕留めてやるぞと意気込んで頑張ってるんだけど、戦闘を始めて三時間。数は微妙に減ったなぐらいで、まだまだ先は長い。
前回ここにちょっかい掛けた時は妲己がいたから手伝ってもらえたけど、今日は一人。
眷属のみんなにはここを攻略するまで帰らないって言ってある。何日掛かっても攻略する所存です。
誰かついてきてくれないかなって、チラチラみんなを見てたんだけど、不思議な事に誰とも視線が合わなかった。妲己は前回でこりごりって感じで、他のみんなは俺や妲己の話を聞いて、ついてきたくないと思ったみたいだ。
インテリ脳筋戦鬪狂のクリスティーナ辺りは食い付いてくると予想してたんだけどね。
キモいのは相手にしたくないらしい。わがままな奴だぜ。ミミズとかワームよりはキモくないと思うんだけどな。この辺は個人差があるから仕方ないか。
「ヒャッハー! 汚物は消毒だー!!」
結果、一人で挑む事になった訳だけど、何も準備せずに来た訳じゃない。長丁場になるだろうから、魔力回復ポーションだって持って来てるし、ウェインにいくつか武器を作ってもらっている。
その一つが俺が今使ってる火炎放射器。
右手にブラッド・チェーン、左手に火炎放射器のスタイルで暴れ回ってる。
俺は【火魔法】を覚えてないからね。
こうやって道具に頼らないといけないのです。
森の中で使うと延焼とか気にしないといけなかったんだけど、正直そこまで気にかけてる余裕がないってのが本音です。最悪この黒い悪魔ゾーンや近辺は焼け野原になっても良いかと思ってます。
なんか黒い悪魔ゾーンでパチスロみたいだなと思ったのはさておき。
Gって油を体に纏ってるイメージがあったんだけど、そうじゃないのかな? 全然燃えないんだけど。せいぜい焦げてるぐらい。火力不足なのかなぁ。ウェインに言っておこう。
「ん、卵は燃やせてるなら問題ないか」
影、ブラッド・チェーン、火炎放射器、時には【血液魔法】も使って、戦いを有利に進めていく。一匹自体はそんなに強くない。蟷螂と同じくらいだ。それでもこれだけ数がいると驚異的だな。
「俺が範囲攻撃をあんまり得意にしてないってのもあるんだけど…サウンド・クラッシュ」
影で広範囲を串刺しにしたり、【血液魔法】で強引に血を抜き取ったり、音の衝撃波を飛ばしたり。もっと魔法の練習もするべきかな。
「進化して魔法系が支配になってくれたらもっと変わるのかもしれないけど」
まっ、良いや。せっかくだしこの機会に魔法を積極的に使って狩っていこう。何か新しい発見があるかもしれん。
「これで終わり!!!」
黒い悪魔ゾーンの攻略を始めて一週間。
ついにマザー種にトドメを刺して戦いに終止符を打った。
「多分全部殺し切ったはず」
一週間休みなしに戦い続けたのは初かもしれん。少しでも休んだら数を増やしやがるからな。休憩する暇がなかった。
吸血鬼ボディに感謝だな。ずっと戦ってた疲労感はあるけど、一週間戦ってたとは思えないぐらい元気だ。
経験値もこの一週間で爆上がり。一気に器が二割ぐらいは溜まったと思う。この調子なら、後一年しないぐらいで進化出来るんじゃなかろうか。
「それもこの黒い悪魔ゾーンの先の魔物次第か。効率の良い魔物が出てくれる事を祈る」
先に進む為にキモいここを攻略したんだ。是非それに見合う魔物が出てきて欲しいなと思っております。
「軽く覗いてから帰るか。三日目ぐらいから眷属達が念話でまだ帰って来ないのかって、うるさかったし」
一番うるさかったのはグレースね。心配してる風だったけど、欲求不満なのが隠し切れてなかった。手伝ってくれたら良かったのに。
まあ、グレースはいっぱい仕事を抱えてるから仕方ないんだけど。
「げぇ!」
そんな事を思いながら遠見で次の魔物を確認。思わず変な声が出てしまった。
いや、いると思ってたけど、とうとう出てきたかって感じだな。あいつには昔迷宮で苦労させられたんだ。
「ムカデ系か。厄介だなぁ」
迷宮にいる奴とは比べ物にならないぐらい強いんだろう。あの時は結構苦労したけど、今回はどうか。耐久性が半端ないんだよな。
「よし。とにかく帰ろう。お風呂入りたいし」
先の事は先の俺に任せる。
今は頑張って黒い悪魔ゾーンを攻略した自分を褒めてあげないとね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます