第295話 休日
「ん? 美味いなこれ」
「レト様の知識を元に料理人が再現したみたいですね。中々の出来です」
今日は蟲狩り休日の日。
我が国ではなんとか完全週休二日制を目標にしてホワイト国家を目指してる為、きちんと休暇日は設けている。
上の人間が休まないと、下の人間も気まずくて休めないからね。急ぎじゃないなら仕事が溜まってても休むようにしてます。まあ、俺は毎日が休日みたいな感じで好き放題やらせてもらってるけど。
グレースは俺の蟲狩り休日に合わせて休みを取ってるから当然絞られまくる訳だ。昨日も夜から朝まで絞られて、軽く仮眠を取って起床。
特にやる事もないからグレースと城をブラブラしてたら、なんとなく足が食堂に向いた。
魔物は基本的に魔力のみで生きていけるから、ご飯を食べる必要がない。それでも最近は嗜好品として、1日1食は何かしらを食べるようにしてる。
食文化も進んできて、普通に料理が美味しくなってきたからね。首都にある料理屋さんとかにも偶に顔を出してる。
で、俺が今食べてるのは肉まんだ。なんか偶に無性に食べたくなるんだよね。で、食べたくなったから、適当な知識を伝えて使ってもらった。
蟷螂の肉を使ってるって言われたからちょっと大丈夫かなって思ったけど、普通に美味しい。言われなければ気にならないね。
「今現在は蟷螂が一番国で供給されるからなぁ。こうやって有効活用出来る手段を見つけてくれるのは嬉しいね」
「この質で味わえるのは良いですね。量と質、両方兼ね備えた素晴らしい魔物です」
一体当たりから取れる肉の量はそんなに多くないけど、とにかく数がやばいからな。
毎日万単位で殺してるし。逆に消費が追いついてないレベルである。
もっとノックス魔帝国の国民が増えたら足りなくなるかもしれないけどね。ようやく、人類種や魔物を合わせて3万人を超えたぐらいだ。まだまだ余裕はあるね。
「あの黒い悪魔にも使い道があると良いんだけど」
「蟷螂も中々ですが、ギガ・コックローチでしたか? あれは流石に食べたいと思わないですね」
案外美味しいかもよ? 確か前世でも食用のやつが存在したはず。美味しいのかどうか知らないけど。なんか踊り食いしまくって死んだ人とか居たような気もするな。
「血は美味しかったけどな」
「私はダメでしたね。人間の血の方が美味しいです」
俺は魔物の血が、グレースは人間の血が好きなんだよね。元の種族が影響してるのかなとか思ってます。
「よくあの血を飲もうと思いましたね」
「吸血鬼として初めての血はしっかりと確認させてもらわないとな。最早義務ですよ、義務。それでも美味しさは海の魔物が一番だけど」
ゴブリンの血ですら美味しいって思えるんだぜ? そりゃ大抵の魔物の血は美味しく感じれるでしょうよ。残念なのは眷属の血を飲んでも無味だって事だな。
妲己とかアシュラの血とか絶対美味しいと思うんだけど。
「その点では向こうの大陸にいる魔王に期待してるんだよね。殺すのか眷属にするのか友好関係を築くのか分からないけど、絶対に血は飲ませてもらおうと思ってます」
「アギャインに血液はありませんでしたからね。魔王の血は私も気になります」
竜王とか発狂するぐらい美味しいんだろうなーって思ってる。大体だけど、魔物の血の味は強さに比例するからね。
「海の魔物から魔王とか誕生しないかな」
「眷属にせずに養殖してみれば良いのでは? 手頃な相手を見繕って、経験値用に魔物を与え続ければ可能性があるかもしれませんよ」
流石にそこまでするのは面倒。
魔王になるかも分からないしね。大体なんで俺の眷属達はこんなに簡単に魔王になれるのかも分かってないんだ。
ただ単に最終進化までいけばいいって事じゃないと思うんだよね。それなら今までもっと魔王が誕生してたはず。ゴブリン・エンペラーとかも魔王になってないし。
俺は最終進化に至ってないのに異能を獲得したりと分からない事だらけ。上位存在とやらが悪さをしてるんじゃないかなと睨んでるけど、どうなんだろうね。
まあ、別に現状は困ってないし、むしろ眷属が魔王になるのはなんかカッコいいし、嬉しいからプラスって事で、あんまり深く考えてないんだけどね。
「血の話してたら美味しい血が飲みたくなってきた。グレース、海行こうぜ」
「勿論お供します」
まだまだストックはあるけど、今日は休日って事で時間もあるしね。グレースと海デートに洒落込もう。
美味しい血を持つ海の魔物狩って飲みながら、ダラダラするのも悪くあるまい。
むしろ理想的な休日の過ごし方である。
………グレースが血に酔って砂浜で致してしまったのも仕方ないことなのである。
俺も普段とは違う感じでノリノリになってしまったのは認めよう。非常に良かったです。
毎回こういう感じなら俺も素直に楽しめるんだけどな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます