第66話.決定的証拠
「にしても、彩良ちゃん疑う素振り一切見せなかったな。やっぱましろさんの技術力ヤバいわ」
「さすがに彩良さんに申し訳ないんだけど……」
ましろさん作の盗聴器──本当は
超軽量の小型盗聴器。耐水性・耐衝撃性はもちろんのこと、どういう原理か伸縮性もあって、あのハンカチみたいに仕込んでもバレないレベル。
しかし、とんでもないほどの高音響で、付属のイヤホンを耳に挿してみると、普通に足音まで聞こえてしまう。
こんな感じで犯罪性が高いので、ましろさんからの許可が降りた人しか渡されていない。
それでなんで僕が持ってるの、っていう話になると思うんだけど、もちろんみずな関連。以前、祐希が深空にみずなのことを頼んだときに、それならとこれが送られてきたんだよね。
当初、これが送られてきたときは罪悪感がすごかったんだよね……。できることなら使いたくなかったけど……。
まぁ、証拠がつかめないからって割り切るしかないよね。
そうして、彩良さんにできることは全てやりきった、
日が沈むまでの時間が長くなったとはいえ、流石に暗くなってきたので僕らは家に帰ることにした。こんなことしてるけど、明日まで学校もあるし帰らないとね。
☆
金曜日は何事もなく終わり、土曜日になった。
今更だけど、土曜課外とかないのもうちの高校のいいところだよね。休みも多いとか最高じゃん。
あの日の夜、付属イヤホンは深空に送った。どうやら、音声を機械で読み取って、なにもないところは自動でカットするらしい。科学ってすごい。
それはいいとして、進展があったら知らせてくれるらしいんだけど、今のところは音沙汰がない。
まぁ、なにもないのが一番だからいいんだけど、彩良さんに至ってはなにもないわけが無いと思うんだけどなぁ……。
そんなことを課題をしながら考えていると、近くに置いていたスマホが震えた。
深空から音沙汰がないといってからスマホが震えるというフラグが出来上がっているので、届いたチャットはもちろん深空から。
僕は課題をする手を一旦止めて、届いたチャットを開く。
〔凪さん、これ聞いてみて。ちょっとだけ聞こえるけど、なんかDVっぽくない?〕
いつも通り敬語の一切ない文面と一緒に、音声ファイルが送られてきた。
ファイルを開き、そこから聞こえてきたのは、かすかに聞こえる怒鳴り声と暴力、そして彩良さんのかすかな悲鳴。
〔ありがと。今聞いてみたけど、そんな感じがするね。ごめんね? こんなことさせちゃって……〕
〔問題ない。私は3期生みんなのマネージャー。これも仕事の一貫(*^_^*)〕
ましろさんの素晴らしさに改めて気付かされる。ほんとにありがと!
ただし、このファイルを警察に持っていくことはできない。なにせ、盗聴で手に入れたものだから。
まぁ大丈夫か。ここまでの決定的証拠を手に入れられたなら、僕たちでも対応できると思うし。
あとはこの情報を3期生とミックスライブに共有して、多分また作戦会議かな……。
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