第49話.初配信 by零

 りーの歌枠が始まってすぐ、VTuberを知らない人たちもりーの歌を聞くために、たくさんの人が配信に訪れ、一時同接数が15万人を突破した。


 けれども、初配信は初配信。50分ほどたったところで、配信は幕を閉じた。


 その様子を事務所にある、配信環境の整っている部屋から確認した僕は、すぐに配信の準備を始めた。


「深空? わかってると思うけど、サプライズってことで深空には出てもらうから、僕が声かけるまで喋らないでね?」

「ん、大丈夫」


 そうそう、深空にも事務所に来てもらった。


 深空が渋谷に住んでるのを前に言ってたのを思い出して、深空にサプライズで出てほしいと最上さんに話したところ、「まぁ、初配信ですしね。わかりました。迎えに行ってきます」と笑いながら言ってくれた。


 つまり僕の初配信は、ママとのコラボ雑談配信ってこと。他の3人よりは荒れてない……と信じたい。


 そうして深空と配信の準備を終わらせていると、8時を迎えた。




:きちゃ!

:おっ! 待機画面が個人の頃よりちょっと豪華になってる!

:わかってたけど、流石にイラストは同じか

:今頃零くんはゲームの準備かな?

:草

:違うんだよなぁ。これゲーム配信じゃないんだよなぁ

:同接数はさすがに落ち着いてきたか

:Rinaの15万人超えはやばかった

:それでも8万はいる時点で十分多い




「皆さん、こんれい! 皆さんに笑いと感動を届ける神宮寺零ですよ! 本日は、私の初配信に来てくれてありがとうございます!」




:こんれい〜!

:こんれい!

:こんれい!

:あれ、ちょっと前にも初配信あったような……

:ん? 何を言っているのだ?

:初配信は初めてだから初配信なんだぞ?

:ちょっと前にあるわけないだろ




「そうですよ、何言ってるんですか」




:あ、零くんもそっちに合わせる形なのね

:そっち? 合わせる形? ちょっと何言ってるのかわからない

:ほらほら、初配信の人を困らせたらダメだぞ




「とまぁ、冗談はこれくらいにしておきまして。皆さん、見ましたよね? 私の同期たちの配信」




:もち

:見たよ〜

:みんなめちゃくちゃにしてた

:妹ちゃんも頑張ってたね〜!

:妹??? 誰が?

:あれ、そういえばリナの配信で言ってなかったっけ? りーちゃんは零くんの妹やで

:!?!?!?

:ま、マジか……

:兄の声もかっこいいなぁ

:それで、それがどうかしたの?




「まぁ、見てたらわかると思うんですけど、私って元々VTuberだったから、挨拶とか決めることないじゃないですか。つまり、あの3人よりすることないんですよ」




:確かに

:つまりは──

:ゲームするってことですね、わかります




「いやまぁそれでもよかったけど、なんと私はちゃんとすることを作ってきました! それじゃあ早速登場。本日のスペシャルゲスト、ましろさ〜ん!」

「ん、どもども」




:ましろさん!?

:まぁ、スペシャルゲストって言っても、ミックスライブの先輩は来れないから、呼べるのましろさんくらいしかいないもんな

:それ、零くんに友達がいないように聞こえるわw




「うぐっ! と、ということで、配信に初めてましろさんが来てくれました〜! ご主人様方、今回はましろさんとの雑談回なので、どんどん質問していってくださいね〜!」

「答えられるのには答えてあげよう」

「なんで上からなんですか……。よし、これで3人みたいなはちゃめちゃ配信で伝説を残さなくていい……」




:零くん、本音漏れてますよ

:まぁでも、実際ましろさんに質問とかしてみたかったから嬉しい




 そこからはましろさんへの質問が続いたけど、ましろさんに初めて質問できたから、真面目な質問が多かった。


 ……だからってさ、真面目過ぎる初配信と他の3期生と違う形で伝説を残すことになるとは思わなくない?











《あとがき》


フォロー800人ありがとうございます!


ちょっと伝えておきたいことがあります。


実はなろうでは40話くらいのときに、みなさんがイメージしやすいようにと、知り合いに簡単な3期生のイラストを描いてもらったんですよね。


しかし、カクヨムだとイラストを公開する機会が近況ノートしかないので、公開しない方針にしていました。


ただ、わたしの独断だけで判断するのは違うかなと思い、今こうして書かせてもらいました。


もし気になるという方がいましたら、なろうの38話〜41話のあとがきで公開していますので、見てみて下さい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る