第40話.ネッタークイーン

「皆さん、集合が早いですね。今日はすいません、未成年なのに自分たちで来るようにしちゃって……」


 ましろさん──改め、本名白雪しらゆき深空みあという。あ、本人の希望でみんなみあって呼ぶことになってるよ。


 ちょいとご紹介。


 白雪深空。中西中なかにしちゅうのなんとまだ1年生。学校では誰とも関わりたくなくて、自ら陰キャの道に進んだらしい。僕より上級者の陰キャです。


 まぁそれはいいとして、みんなでみあと話していたら、最上さんが小走りでこちらに来ながら話してきた。


「いやいや、俺らと違って最上さんたちは忙しいんですからいいんですよ」


 本社に入りながら、僕達を代表して祐希がそう言う。この中だと圧倒的に祐希が一番コミュ力高いからね。


「ありがとうございます! そう言ってくれたらとても助かります!」

「ちなみにですけど、やっぱり3期生関係でいろいろと?」

「まぁそうですね〜。凪くんのモデルはましろさんのおかげで3Dまでできてるんですけど、あと3人は2Dモデルからですからね。うちでは、デビュー決まってから初配信まで時間がかからないように心がけてるので、みんななるべく急ピッチで仕上げているところなんですよね」

「「「……ごめんなさい!!!」」」

「あっ、別に責めてるわけじゃないですから! これがミックスライブの方針ですから! ちょっ、そんなに頭を下げないでください!」


 まぁそうだよね。僕以外はもともとのモデルすらなかったからね。


「……え、ちょっと待ってください。今、零くんはもう3Dまでできてるとか聞こえたんですけど……」

「ぴーすぴーす」

「え、3Dモデルって半年くらいはかかるものって聞いたことあるんだが……。みあは何日で?」

「ん? 2日」

「「「「「ふ、2日!?」」」」」


 え、僕も3Dまでできてるとか聞いてないんだけど!? あ、でもそういえばそっか。


 ──イラストレーター、ましろ。またの名を、ネッタークイーン。

 ネットでの技術は、一流の技術者のはるか上を行く存在のため、ネッタークイーンネット界の女王って呼ばれているんだった。


「まぁ私だからね」

「う〜む……それを言われるとなんとも言えないのがみあなんだよなぁ」


 身をもって、ネッタークイーンの凄さを感じたよ……。


「ま、まぁそれは一旦おいておいて、今日呼んだってことはなんでかわかりますよね?」

「あ、やっぱりもうモデル完成したんすね」

「そういうことです!」

「はやっ!」

「すご……さすがミックスライブですね……」

「3人のモデル気になるなぁ……」


 うわぁ、どんな感じになってるんだろう……?


 そんなことを思いながら、最上さんについていくように事務所内へと入っていった。


 ──最上さんの言葉に心を躍らせていた僕たちが、隣を歩いていたみあがいつもイラストを描くときの目になっていたことには、誰も気づくはずもなく。











《あとがき》


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