第39話.ましろさんとご対面
火曜日は特に何もなく、運命の──は言い過ぎかな。まぁなんでもいいや。とにかく水曜日になった。
ミックスライブのスタッフさんたちは忙しいらしく、交通費はあとで渡すから各々で来てほしいとのこと。
ということで、僕は祐希と一緒に向かっている最中だ。
りーは、まだ中3なので実家のある山梨に住んでいるから、特急で来るみたい。そんな何時間もかけてでもましろさんに会いたいんだ……。
そうらさんは、本社の近くに住んでるから自転車で来るって言ってた。……え? 港区住んでたの?
こうして考えると、みんな忙しいから部活に入ってないんだろうなぁって改めて思うんだよね。
ん? 僕? そんなの人と話したくないから入ってないに決まってるじゃん! べ、別に悲しくないんだからねっ!
ふぅ、久しぶりの一人芝居、ありがとうございました。
「いやぁ、ましろさんはどんな人なんだろうな〜」
そんなことをやってると、祐希が僕に話しかける。
あ、そうそう。運転手さんはミックスライブが手配してくれた人だから、こういう話しても問題ないんだよね。ほんと、ここまでしてくれる事務所、優しすぎる……!
「チャットの文面見てもらったらわかると思うんだけど、絶対僕とか祐希より、下手したらりーたちよりも若そう何だよね〜」
僕は「ほら」と言いながら、一昨日のチャットの部分を祐希に見せる。
「あ〜、確かに。なんかそんな感じがするな。でも、俺でもたまにそんな感じのチャットするし、意外と同じくらいかもしれねぇぞ?」
え、友達とチャットとかしたことなかった──否、できなかったから、知らなかったや。
「そういえばさ、きゅいあさんの2Dモデルってもうできたの?」
「いや、俺は多分今日データ渡されるんじゃないかって思ってるけど」
「あ〜、そうかもね〜。でも、普通配信の4日前に渡されるものなの?」
「それは、俺らは配信経験があるからじゃね?」
「そういうことか〜」
そんなことを話していると、本社に到着。
入り口前には、既にりーとそうら……じゃなくて優奈と……………え、誰?
見た目はりーたちより若そう……いや幼そうで、だいぶダボダボなパーカーとミニスカートの少女。前髪が少し長くて顔はよく見えない。
……ヤバい。りーたちより年が下の可能性がある、っていう条件に当てはまる人が1人いるんだけど。まさか……?
「あ、おにーちゃん、祐希さん! やっほ〜!」
「りーちゃん、こんちゃ〜」
「りー、その人ってもしかして……」
「そそ! ましろさんだよ〜!」
やっぱりか〜。想像以上に若いんだけど……。
「あ、その声はもしかして零くん?」
いや、名前の通りくらい声が透き通ってるんだけど……。え、こういう仕事に関わってる人たちってみんな声きれいなの……?
「そうですよ〜。神宮寺零こと吉村凪です!」
「俺は青山祐希。きゅいあだぞ〜」
とりあえず僕たちもましろさんに挨拶。
「凪さんと祐希さん、と。覚えた」
「年上にも敬語を使わない姿勢……う〜ん、素晴らしいな!」
「祐希……」
「凪さんと祐希さんもタメ口のほうが話しやすい」
「オッケ〜」
「把握」
そうして、僕にまた年下の友達ができた。
……思った以上に、チャットのままの性格だったね。
《あとがき》
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