第14話:最高峰の名刀、鬼灯丸

目の前でホリィが崩れ落ち、キリヤマ一行は勝利の余韻に浸っていたが、

ホリィを倒し終わってからもいくつか問題はあった。

まず、ホリィの体から出てきた石。何だこりゃ。二個もあるし。

そして街がボロボロだ。これじゃしばらく温泉がお預けだ。

しばらくと言うより、温泉が復興する前に俺等帰ることになるだろうな。

そんなこと考えてたらユルリカちゃんがとある発見をした。


ユルリカ

「これ、魔石じゃないですか?」


ホリィから出てきた2つの石の内の一つ、青く光る石を指して言う。


「まじ?」


ユルリカ

「ええ。しかも超高純度のやつですよ!」


「すげぇ!じゃあこれアマツさんに渡そう!」


ユルリカ

「そしてもう一個のこの石は...魔石とは色が違いますね。

 これ、何でしょう?鑑定士の資格はありますけど、わかりません。」


アマツ

「そりゃ、魔心石じゃな。思考を持つ石とでも考えるといい。

 どうやら脳と同じ電波?電気信号?を放つみたいでよ。

 まぁ、石状の脳みそとでも考えていいんじゃねぇか?

 つっても子供くらいのIQだがな。この石はすんごく珍しくてな。

 40年この仕事をしてるが見るのは3回目くらいだ。ハハッ、懐かしいな。

 魔石と間違えて魔心石を持ってきた客もいたな。滅多に目にかかれないから、

 別に鑑定士でも知らねぇ人は多いぜ。」


ピンク色に淡く光るもう片方の石を指してアマツが言う。


「この世界にIQって単語存在してたんだ。ってかアマツさん!?」


アマツ

「よっ!お前等が無事で良かったぜ。まぁオメェらの戦闘、音が激しかったからな。

 止んだら勝敗がついたって事だろ?

 あの女の子が勝ってたら俺はどっちみち死ぬからな。」


俺&タチバナ

(かっけぇなこの人)


ミラ

「あの...つまりホリィちゃんはその2つの魔石で動いていたってことですかぁ?」


アマツ

「そういうことだろうな。

 この人形自体も魔心石に応じて動く仕組みみたいだな。」


「なるほど。ん〜、そうだ、アマツさん。刀の件が終わったらもう一個、

 お願いしたいことがあるんですけどいいですかね?」


アマツ

「何だ?内容によるな。」


「前ユルリカちゃん家泊まった時、

 実は盗人が入ってきそうだったんすよ。」


ユルリカ

「そうだったんですか!?」


「まぁその時は俺がいて半殺しにしたから良かったけど、俺がいない時、

 もしかしたら今も空き巣に入られているかもしれない。

 だからコレを応用してロボットでも作って欲しいなって思ったんですよ。

 材料なら何でも集めてきますし。」


アマツ

「ん〜、そいつは厳しいんじゃねぇか?」


「何でですか?」


アマツ

「その石、呪い...っていうか精神魔法的の類がかかってる。

 例え依代となる体を作っても、洗脳は解けてないぞ。

 俺の鑑定スキルもそう言ってる。」


「そうっすか...」

 (てなると、タチバナとミラに精神魔法かけたのも魔王で確定でいいのか。)


でも、タチバナやミラみたくこの石を気絶させるってどうやんだ?

また電気ショックでもやってみるか?


「気絶雷拳(スタンハンド)!!!!!!」


正直、この技名後悔してる。ダセェもん。こんな技で魔法が解ける訳...


アマツ

「凄ぇなあんちゃん!呪縛が溶けたぞ!」


「マジかよ!?」


アマツ

「マジだ。魔心石から出ていた光が消えてる。これは気絶している証拠だ。」


「それ死んだ時もそんな反応したりするんじゃ...?」


アマツ

「いや、完全に死んだ時、思考は止まり、ただの石ころになる。

 そうなってねぇってことは生きてるってことだ。」


「そっか。良かった。刀っていつ頃完成しそうですかね?

 鍛冶場も壊れましたし...」


アマツ

「それに関しては別の鍛冶場の別荘的なところが近くにあるから気にすんな。

 明日の昼までには間に合わせる。ロボットの方はそれが終わり次第伝える。」


「わっかりました、ありがとうございます。よしお前ら!

 一旦馬車戻って明日の朝報酬貰いに行くぞ!」


ユルリカ&ミラ&タチバナ

「了解!」


今日の疲れは豪邸馬車の風呂で癒やした。



ー後日ー



「何だと!?報酬5000G!?」


ニホニアの首都長(以下首都長)

「本当に申し訳有りません!」


「謝られても、こっちの努力に見合わねぇっすよ!」


首都長

「これ以上出すと復興するどころか、まともに衣食住ができるどうか...」


「...」


首都長

「そしてこのお金は家を失っても寄付してくれた国民からの報酬で...」


(そこまで言われたらこれ以上要求するの、厳しくなっちゃうじゃん。)

「ちょっといいかい、ミラさん。」


ミラ

「はいっ!?」


「アンタ、馬車代何G使ったんだっけ?」


ミラ

「4800G...」


「こっちの利益200Gじゃねぇか!」


ミラ

「いえ、冒険者割引もありますので正確には205Gですよ?」


「だから誤差だろ!」


アマツ

「まぁまぁ、落ち着けや。思ったより興が乗って早く作業が終わったぜ。

 間違いなく俺の鍛冶人生40年の中で一番の傑作だ。

 見た目はちと禍々しくなっちまったがな。」


「おお!またいい所にアマツさん!」


アマツ

「その名も"名刀・鬼灯丸"!!!

 これなんて売ったら何〜何十万G(数億円)は下らねぇだろうからな。」


「おお!」

(これはカッケえ!柄の部分は薄紫の帯が巻いてあって、

鍔は漆黒で縁が金、刀身は薄い紫、刃先は赤でできて、

金粉がまぶしてある。鞘も黒い漆塗りがあり、所々金の装飾が施されてる。

...でもまぁ、勇者サイドが持つ刀ではないな。)


アマツ

「これをタダでやるってんだから元気だしてくれや。」


「...わかりました。これ以上の報酬は求めません。

 それはそれとしてミラさん、アンタの分前は減らすからな!」


ミラ「えぇ!?ケチ!」


タチバナ「しゃーねーだろ。」


こうして分前は、

タチバナ60G、俺50G、ユルリカちゃん70G、ミラさん25Gとなった。

(キリヤマ自信が決めた報酬分前。)

その後、鬼灯丸の説明を受ける俺。


アマツ

「アンタの魔力と魔質はハッキリ言って人間じゃねぇ。

 これに魔力を込めて放つと切れ味と魔法の斬撃の威力を増幅させるんだ。

 そして、属性も自由に付け放題!」


「なるほど。っていうと、例えば氷属性の魔力を込めると、

 氷属性の斬撃が出るってことですか?」


アマツ

「まぁそんなとこだ。

 そして切れ味も魔力無しで並大抵の剣は切れる。」


「ほえぇ。」


アマツ

「魔力を込めれば威力も切れ味も上がる!

 そしてもう一つ、えげつない性能がある!」


「なんですとぉお!?」


アマツ

「それは、刀に込めた属性ごとに特殊な能力が付与される!

 コレは使ってみてのお楽しみだな。どれも強いがチート程ってじゃねぇ。」


「十分すぎますよ!炎水草土風雷闇光...8個の能力が使えるって事っすか!?」


アマツ

「そうだな。あんちゃんにはお誂え向きの刀だろ。」


「大切にします!」


アマツ

「失くしたらタダじゃ置かねぇからな!」


「ホントに有難うございました!じゃあ俺等、そろそろ行きます。」


アマツ

「おう!ロボットは材料さえ送ってもらえれば作るからな。」


俺達は馬車に乗り、住民たちに手を振られながら見送られた。


「あっ、米の確保忘れてた。今度またココに来るか。」


ユルリカ

「ですね。」


タチバナ

「一番大事なの忘れんな!」


「お前も米食いたかったの?」


タチバナ

「ったりめぇだろ!」


「じゃあお前も米の確保忘れてんじゃねぇかよ」


タチバナ

「あっ」


新生パーティ、ほぼ日本へ行く編〜終〜

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